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男飯食堂、神代亭へようこそ!  作者: 一之瀬 葵翔


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もものおたんじょうび(前編)

ぎっりぎり!笑

……もも、改めておめでとう。

 今年もこの日がやってくる。

 今までだったらただの日常の繰り返し。

 今年はもしかしたら……、少し期待している少女がいた。

 雪村桃叶。

 そしてその期待は裏切られなかった。


『お誕生日おめでとう』


 日付が変わると同時に届いたメッセージ。

 彼女の友人、観月莉子から届いたそれ。

 嬉しい、すぐに返信しようと思った時だった。


「ももー! おめでとー!!」


「おめでとう、もも!!」


 ノックもせずに部屋の扉を開けると、そう言って部屋に入ってくる二人の女性。

 来栖瑠実と澤城乃亜、今一緒に暮らしている親友である。


「ありがとー!」


 礼を言って二人を床に座るように促している間にも届くメッセージ。

 美森露羽、森川梓、夏目瑞穂。

 それぞれ今いる場所で出会った大切な人たち。

 嬉しいな、楽しいな。

 幸せな気持ちを感じながら二人で話していると、カリカリと何かをひっかく音。

 扉から聞こえるそれを不思議に思って、開けてみるとするりと脚の間に入ってくる温かいなにか。


『桃叶殿、おめでとう! 今日は桃叶殿のめでたい日って悟志が言ってたからおめでとう言いに来た!』


「ゴン太さまもありがとうございます」


『今日は一緒に寝ような! 今日だけは腹に頭のっけてもいいぞ』


 大切な人たちと出会ったきっかけ。

 それは自身に課せられた役目である。

 今住んでいるこの場所は桃叶の実家やシェアハウスではない。

 神代悟志、異世界の神の愛し子であり、不思議な力で人々を救える世界唯一の存在。

 その力はこの世界の表と裏。神のような正しき、妖や悪魔など悪しきヒトならざるものから狙われる。

 表と裏はそれぞれこの国の大物が対応に当たるが、ヒトならざるものとは戦う術がない。

 だからこの国の妖が狙ってきた場合に備えて、代々神道と陰陽道にて祓い清める仕事をしてきた雪村家から桃叶が派遣された。

 神との交渉は悟志を庇護する異世界の神プラム様より遣わされた乃亜が、悪魔などこの国以外の悪しきヒトならざるものには瑠実があたっている。

 そこにやってきたのが今桃叶殿と呼んだ犬。

 悟志の飼い犬であるゴン太だった。

 三十年近く前に犬としての生は終えているが、悟志と共にいたいという願いだけで神となり、悟志の元へ戻ってきた。

 そろそろ出会って一年が経つ。

 間違いなくこの一年が人生で最も鮮やかに軽やかに、あっという間に過ぎていった青春だった。

 ああ、誕生日だというのに家の手伝いでお仕事。

 これがオトナになるってことかしら。

 ハヤクネルジュンビシナキャ‼

 なんて思いつつも三人と一匹、正確には三柱と一人で夜更かし。

 ゴン太の


『しんぶんやさんの音がしたから寝るぞ!』


 の一声でようやく眠りにつくこととなった。





「いそがなきゃいそがなきゃ!!」


「どうしたの~? そんなお笑いの動画みたいな言い方して」


「時間がねえ!」


 夜が明けて、桃叶を送り出したあと、ついでに買い物に行った悟志。

 買い物終わりに昼食を作って、瑠実たちに食べさせたあと昼寝をしたらワープしたかのように数時間経っていた。

 そのことに少し慌てていた。

 そんな悟志を見かけた瑠実が思わず声をかけると、帰ってきたのがこの言葉。

 桃叶の誕生日を祝おうと、悟志は悟志で実は一週間前から色々考えていた。

 帰ってくる時間から調理時間を逆算すると、時間が微妙に足りない。

 それでもでもでも、日々の調理によって磨かれた腕なら!

 間に合わせてみせる!

 と意気込んで厨房に立った。


「ひっさしぶりにタフなシチュエーションだぜ」


 本日作るのはポトフと大人のお子様ランチ。

 旗を立てようか迷ったが、気が乗らなかったため取りやめる。

 もう大人だからね、仕方ないね。


 最初に作るのはポトフ。

スーパーで買ってきたカレー用にすでに下準備の終わった野菜パック。

 それにキャベツとソーセージを鍋にぶち込んで、野菜たちが浸るくらいまで水を入れて、火にかける。

 コンソメと塩コショウで味を付けたら完成。


 お子様ランチの中で、まず作るのはハンバーグ。

 ひき肉を刻み玉ねぎ、卵と一緒にこねて、成形をする。

 フライパンで中火二分から三分、ひっくり返してふたをして、弱火で八分。

 これをひとまず皿に移しておき、次の料理へ。


 お次はエビフライ。

 ハンバーグを焼いている最中にフライヤーの準備はできている。

 スーパーで買ってきた、エビフライ用に包丁の入った冷凍エビ。

 解凍もおわったそれに薄力粉、卵にパン粉をまぶして。

 揚げれば完成。キャベツはどうした?

 なんてツッコミが来ないようにちゃんと用意はしている。


 ウィンナーをじっくり焼きつつ、星の形をしたポテトを揚げて、再度の準備は完了。

 いよいよメインのオムライスだ。

 普段ドレスドっぽく、焼いた玉子をごはんの上に乗せることが多いが、今日はケチャップライスに玉子を巻いていく。定番のスタイルで行くことに。


「最近はホント便利になったよなぁ」


 ハンバーグに使った残りの刻み玉ねぎをフライパンで炒めながらぽつり。

 細かく刻んだベーコンブロックも加えて少し火を通していくと、そこにごはん。

 ケチャップを加えて混ぜるように炒めていく。

 最後に塩コショウとソースをちょろりと垂らして、ケチャップライスの完成。

 これも皿に移しておく。

 ボウルに卵を三つ割り入れて、生クリームを少々。

 しっかりかき混ぜておくと、ケチャップライスを作っていたフライパンを洗って、再度火にかけて温め始める。

 サラダ油を気持ち多めに入れて油が温まるのを待つ。


「よし」


 頃合いを見計らって、溶いた玉子をフライパンに入れるとすぐに菜箸でかき混ぜる。

 ドレスドと同じような火の通し方。

 コンロの火を止めるとまな板を用意。

 その上にラップを敷き、そこへ今焼いた薄焼き玉子を移すとケチャップライスを乗せてラップ越しに包んでいく。

 失敗しないオムライス。

 それを皿の真ん中に置くと、作ってきたハンバーグたちを添える。


「……野菜いるな」


 余ったスペースに千切りキャベツと切ったトマトを置いたら完成。

 時計を見ると、そろそろ桃叶が帰ってくる時間。

 ギリギリ間に合ったか……。

 そう思った瞬間だった。


「ただいま~」


 聞こえてきた桃叶の声。

 あっぶね~! なんて焦りは表に出さず、


「おかえり~。ちょうどごはんできたよ。さ、手洗いうがいして座敷いきな?」


「おお~、ベストタイミングみたいですね! わかりました!」


 座敷への移動を促すと素直に従う桃叶。

 今日から大人、でもこの素直さは忘れてほしくないなぁ。

 なんて思いながら桃叶の分を座敷の机に置いておく。


「玉子だけ一人分ずつしかできないから二人はちょっと待っててね?」


 先に座敷にいた瑠実と乃亜に声をかけると調理再開。

 ほどなくして三人娘の分を作り終えると、先に食べるように言って、悟志はまだ厨房へ。


「マジで昼寝しすぎたな?」


 本日まだまだ終わらない。

 誕生日と言ったらケーキでしょ!

 さすがにスポンジを焼くところからは難しいが、みんなが思い思いにデコって食べるおやつタイムでも今度してみようかと思い買ってあったスポンジケーキ。

 それを使うことに。

 しかし、クリームは手作業。

 そして二種類。もらえてよかったハンドミキサー。

 ボウルに氷と水を入れると、そこにもう一つボウルを重ねて、底を冷やす。

 生クリームと砂糖を入れてハンドミキサーでひたすらホイップしていく。

 けっこう固めにしたそれに、ポトフ作る際に一緒に解凍を始めていた冷凍のミックスベリーを入れて混ぜる。

 もう一度今度はベリーを入れずに生クリームをホイップすると、クリームの用意は完了。

 スポンジケーキの間にベリークリームを挟み、ホイップクリームを周りに塗り、上に桃を乗せたら完成。


「……ナッペって難しいな。でもまぁいっか」


 そう呟くとケーキを座敷に持っていく。

 たぶんきっと、食べ終わった頃だろうから。


後編は明日更新します!!

Xで写真載せてるからそちらもチェックお願いしますw

今日はお子様ランチ、明日はケーキ載せるよ!!

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