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Chapter4 前編

あなたが幸せであることが、一番の願いだった。

どんなことがあっても、あなたのことを信じてる。


・・・本当に?

******

 あの日、屋上で会って以来、三國有也は私のクラスに来るようになった。

「遠野サンはいるー?」


「・・・三國有也。・・・なにか用?」


「いたいた!もう昼休みデショ?一緒に昼ご飯食べようと思ってさー。」


「姉さんは?一緒に食べるんじゃないの?」


「久美サンはさぁ、東堂センパイと食べるって言って断られたんだよね。彼氏がいるのに酷いよねぇ。」


そう。あの日から、彼は私を誘ってくるけど、その理由は姉さんが剣治と昼休みに一緒にいることが多くなったからのようだった。私と別れてから、前よりも二人は一緒にいる姿を見るようになって、私の胸は痛むばかりだった。



「それじゃあ、遠野サンは借りていくねー。」


「ちょっと!私は一緒に行くなんて・・・引っ張らないでよ!」


そんな私達のやりとりはあの日から毎日二週間は続いていて、クラスメートたちは、私達の関係について、訝しがっていた。彼が姉さんの彼氏だって噂は学校中に広がっていたから、姉さんを利用して私が彼に近付いたとか、なんと根も葉も無い噂が、クラスで囁かれるようになって、数少ないクラスの友人とも距離をおく状態になってしまった。




「やっぱ屋上はいいねぇ。ほとんど誰も近付かないしさ。」


「どうしていつも私を誘うの?アンタって友達多そうだし、ルックスはいいんだから、一緒に食べる人なんてたくさんいるんでしょう?」


「まぁね。でもさ、オレの本性?ってやつを知ってるのは優美チャンくらいなんだよね。だから、一緒にいて楽なわけ。それに、オレは優美チャンともっと仲良くなろうと思ってね。」


「自分勝手だわ。こんなことされて、私はまたクラスで孤立するのに。」


「でも、あんまり堪えてないデショ。だって優美チャン全然悲しくなさそうだし。・・・それよりも、あの二人が一緒にいることのほうが堪えてるみたいだし?」


「それはそうよ。・・・だって私達は三人で居るのが普通だった。お昼だって、いつも一緒だったのに。」


「ホント二人のこと大好きだよねぇ。・・・それも、あともう少しだけどね?」


有也が言った言葉は、風に紛れて優美に聞こえることはなかった。


私が、剣治に久々に会ったのは、そんな会話をした放課後だった。放課後は、いつも三人一緒に帰っていたはずなのに、私たち二人が別れてから、剣治と姉さんは二人で帰ることが多くなった。そのかわりに、あの三國有也が、放課後まで私に付き纏うようになってしまったのだけど。


「なんか、久しぶりに会話する気がするね。この頃二人で帰っちゃうから、なかなか話す機会がなかったし。学校でも前より一緒みたいだし・・・?」


「・・・」


剣治は黙ったままだ。


「なにかあった?」


「・・・あの噂は本当なのか?お前が実はアイツのことが好きだったって。」


「アイツって三國有也のこと?・・・あんな根も葉も無い噂を信じてるの?」


そんなこと、剣治から聞かれるなんて思わなかった。だって今でも私は剣治のことが好きなのに。



「久美から相談されてたんだ。この頃アイツが冷たいって。昼休みも、久美のとこに来ないってさ。そしたら、お前の噂を聞いたんだ。・・・お前、別れたときも、あんま未練なさそうだったし、ありえるかもって思ったんだよ。・・・いくらお前でも久美を悲しませたら、許さないからな。」


「なに言ってるの!?そんなことあるわけないじゃない!!私は、剣治のことが・・・」


その時、教室のドアが開いた。


「優美チャーン?お話は終わった?」


入って来たのは、三國有也だった。


「やっぱりお前たちは・・・。最低だな。久美が可哀相だ。」


そういって、私たちの前から剣治は去ろうとする。


「待って!誤解よ!・・・剣治!!」


そう呼び止めた私に、剣治は冷たく一瞥をくれただけで去ってしまった。


剣治は私のことを信じなかった。姉さんのことは信じても、私のことは信用してなかったのかもしれない。それが悲しかった。


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