電力の利権とAI開発
電力の利権とAI開発
ある日の夕食の時だった。テレビではニュース番組が流れていて、その中で室温は「冬は20度、夏は28度が適切です」と強調されてあった。
「決して無理をせず、エアコンを使ってください」
僕はそのニュースキャスターの言葉を聞いて、無意識のうちに皮肉めいた笑顔を浮かべてしまっていた。呆れたと言うか、諦観と言うか。
何故なら、国が電力消費量予想を高く見積もっている事を知っていたからだ。
原子力、最近では再生可能エネルギー、恐らくは火力発電も(化石エネルギーだけじゃなく、アンモニア発電もあるし)、それぞれに恐らくは利権が存在している。その利権の維持や拡大の為には、電力消費量は多くなくてはならない。だからこそ、電力消費量予想を国は高く見積もっている訳だ。
ところがどっこい、少子化による高齢化や人口減少の影響で、電力消費量は減少し続けているのだった。
国がテレビ局に影響力を持っている事は周知の事実だ。だから、「決して無理をせず、エアコンを使ってください」などと訴えて、電力利権の為に、電力消費をできる限り促そうとしているようにしか僕には思えなかった。
「そう言えば、あの話はどうなったのだろう?」
ニュース番組が終わった後、僕はそう呟いた。
“データセンターや生成AIの普及で、電力消費量が増大する”
実は国はそのような予想も立てているのだ。ただ、具体的にどう動くつもりなのかはさっぱり分からない。そもそも日本はAI後進国なのだ。
軽く検索してみると、
『AI 半導体産業に7年間で10兆円以上の公的支援の方針』
などという記事がヒットした。
この程度の金額で、日本がAI後進国の立場から盛り返せるとは思えない。ただ、それでも、恐らくは国家予算のぶん取り合いの為に予算をかけることを避けていただろう態度が変わった点は評価するべきだろうか? 何か奇跡的な事が起こって、AI産業が日本で成長する可能性がないとも言い切れないし。
もっとも、電力消費量を増やす目的で行われるようなAI開発では、やはり期待はできないかもしれないけど……
中国のディープシークの影響で、日本でもAI開発が始まった…… なんてニュースもありましたが、どうなるのでしょうね?