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18日目「鼻ほじリストたけし」

 口を挟むたけしに衛兵たちがまた槍を構えるが、もはやその槍は意味を持たずたけしは話し続ける。

「“観測者”ってのは覚えてねーけどよ。そいつがいなくなればいいんだろ?」

「それはもう無理じゃ……」

 王は悲しげに呟いた。

「この国はすでに新たな観測者”によって“観測”されてしまった。そして、観測されることでウエノクニや我々は創作物の登場人物になってしまったのじゃ」

 王は静かに言葉を続けた。

「こうなるとワシらはもう何も産み出すことは出来ないし、出来たとしても全ては創作物の範疇なのじゃ」

 そこまで言ったとき、王の声がわずかに震えた。

「ワシらが観測される側になったことで、ウエノクニの者たちは初めて“自分たちも物語の登場人物にされてしまった”ことに気がついたはずじゃ。

 これまでは、ただ観測する側の存在だったはずの者たちが、クリエイターどころか、いつの間にか創作の登場人物として引きずり降ろされたのじゃ。おまけにここ数日、彼らに物語をいくら送っても何も返事がない。

 今頃——彼らは怒っているかもしれん、あるいは……」

 王の言葉が途切れる。

 その瞬間、ぼくの背筋がゾクリとした。

 ぼくがことの重大さに思い至ったとき、側近や衛兵たちが震えながら涙を流し始めた。ぼくと、鼻くそをほじってはその辺に飛ばすたけし先輩を除いて——。


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