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11日目「放浪者たけし」

 チョコバナナはそんなに好きな方ではなかったが、元いた世界と同じ見た目と味のこれに安心感をおぼえていた。たけし先輩の奇行が順応するこの世界に、元いた世界との文化的な隔たりを感じてすっかり疲弊していた。

 街の人々の視線にも慣れてきたが、王座がどこかわからずぼくらは適当に歩いていた。街の人々はきまってぼくらの頭の上の何かを「読んで」驚いては、また元の生活に戻るのを繰り返していた。

「どうも、キリがねえな。交番とかねえのかな」

「交番あったんですか?」

「そりゃ、あるさあ。だいたいそこに行けば解決するんだけどよ、初めての街でどこにあんのかもわかんねえな」

「本当にあるんですかねえ」

 食べ終えたチョコバナナの串を持っていると、不思議と裸である意識が薄らいだ。ドンキーコングは人間なら裸にネクタイだけという状態だが、あれで平気なのはあのネクタイが着衣の概念を与えているのかもしれないと思った。しかし、それに比べると、棒切れ一本というのは何となく頼りないが、自分のアイデンティティを手に入れたかのような安心感を得た。

「なんかこうしてると旅人みたいだな」

「同意しかねますが……」

 たけし先輩がそう言ったのを否定しつつも、ぼくらは人生の旅人かもしれないと思った。街の人たちはぼくらの頭上をみて目をそむける。またかと思った。

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