生死を彷徨って目覚めたら上司が「結婚してくれ」botになった件
「俺と結婚してくれ!!」
「…」
「俺と結婚してくれ!!」
「聞こえなかったわけじゃないです!」
どうしてこうなった?
私に求婚してきた彼は私の上司であるヨハンさんだ。
「あの、お腹の傷なら大丈夫ですから」
私たちは魔物から民を守る騎士だ。そして、先日の任務でとても強い魔物が出たさいに私はヨハンさんを庇って生死の境を彷徨ったのだ。
その時に受けた傷が私のお腹には残っている。
それの責任を取って結婚するとかいう話しかもしれない。
「どういうことだ?」
「責任をとって結婚するとかそういうことではないんですか?」
「違うぞ! というか君は俺の事が好きなのだろう!!」
「な! なんの話しですか!?」
「君が言ったんじゃないか!」
「え?」
思い出せ私!
あ、言ったわ。もう死ぬかのと思ってたから「貴方のことを愛していました…ヨハンさん…」とか言ってたわ!?
目覚めたばっかで完全に忘れてた!!
「思い出したか! じゃあ俺と結婚しよう!!」
「え…」
嬉しいけど急すぎて困る!!
というか、死んだと思ったのに生きてて、目が覚めたら求婚されてるっておかしいでしょ!
頭の中パンクしそうなんですけど!!
「何を迷うことがある。君は俺を好きで俺は君を好き…もう結婚するしかないだろ!!」
「ほ、本当に私のことをす…好きなんですか?」
「ああ! 愛してるエリス!! 俺と結婚しよう!!」
「うぅ……」
なんでこの人は恥ずかしげも無く好意を伝えてくるんだ。
おかげで私の顔はリンゴみたいに赤くなってますよ!
「さあ! 俺と結婚しようエリス!!」
「わ、私のどういうところが好きなんですか?」
「いつも俺を支えてくれるとこ! 困っている人を見かけたら放っておけないところ! 周囲を明るくしてくれる花が咲くような笑顔、料理が凄く美味しいところ!」
「も、もういいですから!!」
は…恥ずかしすぎる。
「まだまだあるのに」
不満そうにいうヨハンさん…それ以上は私の心臓が持たないのでやめてくださいお願いします。
「本当に私でいいんですか? 一度受け取ったら返品不可ですよ?」
「大丈夫! 俺は君を愛しているからな!! 絶対に返品などしない!」
「もっと可愛い女の子だっていますよ」
「そんな事はない!! 俺の中では君が1番だ!! だから俺と結婚してくれ!」
そもそもテンパっているだけで私だってヨハンさんのことが好きなのだ。
「不束者ですがよろしくお願いします」
こうして私たちは結婚することになった。