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お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 第三王子オスカー・ダーフィト・ブザンヴァルの妻となるアグライア妃が多種多様な実験を行った結果、ラテニア北部にある神聖なる地として崇められていた聖なる泉を利用した、使用済みの魔石を元の魔石の能力に戻す方法を編み出した。


 ラテニアでの魔石の魔力補充は画期的な大発見となり、無理な採掘は行わずに、今まで使用していた魔石のリサイクル活動が活発化する事となったのだ。


 安定した安価な魔石の供給により人々の生活も豊かになり、新たな消費は新たな発展へとつながっていく。


 シャンプー石鹸、へちま化粧水は世界中で求められるようになり、フェイシャルマッサージ、全身マッサージ、ヘッドスパを求める観光客が争うようにしてブザンヴァル王国を訪れるようになった。


 マッサージの技術は王国を超えて世界各国に広がりを見せたが、世界最高峰の技術を持つアグライア妃の施術を受けるため、世界各国の王族が予約表に名を連ねているのもまた有名な話。


「お店もカントリー風にしたし!お庭には鶏がいて、ひよこだってぴょこぴょこ歩いているというのに!なんでお客さんが超超VIPになっちゃうのかしら!」


 ラテニアの昔ながらの王宮の屋根は藁葺で出来ており、王族の安全を守るために、今日も暗部の人間が何人も潜んで警護を続けている。


「仕方ないよ、転生前の前職を活かして伯爵令嬢からマッサージ師に転職して、知識を活かしてハッピー生活なんだから、その知識と技術にひかれた特権階級が次々現れるのは想定の範囲内だよ」


 もはや妻の護衛状態になっている第三王子は、今日も今日とて、お腹が大きくなった妻が転ばないようにと、後ろからつきまとうようにして歩いている。


「アグちゃん元気だったー〜?」


「マリア様!モア様!来てくださったんですかあ!」


「アグちゃんお久しぶりですー!」


「ウルスラさん!」


「妻が予約をしたっていうのだから夫がついてくるのは当たり前のことだからね」


「この人、ちゃっかりヘッドスパだけでもしてもらおうと思っているのよ」


「私はお二人の付き添いできました〜」


「父上、母上、ウルスラも、王国をほっぽり出して大丈夫なんですか?」


「それは宰相のノアとステファンが居るから大丈夫だよー〜」


「もうすぐ産月だからアグちゃんのマッサージが休止になっちゃうでしょう?早めに予約を入れておいて良かったわー〜」


「あんまり無理できないんで、フェイシャルとヘッドスパだけなんですけど、大丈夫ですか?」


「大丈夫!大丈夫!」


「問題ない!問題ない!」


「私はアグちゃんの出産まで付き添いますので、よろしくお願いしますね!」


 アグライアの後継者となったウルスラは、学校経営からマッサージの指導まで、後輩を多く育てて丸ごと任せているようなところはあるものの、概ね順調にこなしているらしい。


 モアレンティス王と正妃マリアの仲が良い事は有名で、次代に王位を譲る事を決めた王は後宮に集めた寵姫や愛妾を解散させることを決めた。褒美を賜って生家に戻る者もいるし、新たに結婚をする者も居るようなのだが、


「はーー〜、女たちの面倒を見るのは大変だったから、解散してくれて良かったわー〜」


後宮という名の最高級娼館の主人は顔のマッサージを受けながら、大きなため息を吐き出したという。


「王となる第一王子様は大変ですよねー〜、私は夫が第三王子で良かったですー〜」


 第三王子と聞いて顔をしかめていた妻が、今ではそんな事を言うようになったと知って、ほっと胸を撫で下ろしたダーフィトは妻に輝くような笑みを浮かべたのだった。


ここまでお読み頂きありがとうございます!これでこのお話は終わりとなります。もし宜しければ、☆☆☆☆☆ いいね ブックマーク登録よろしくお願いします。

『このギロチンは何回目?』 投稿中です、お読みいただければ幸いです!



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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです! 確かに後宮は超高級娼館!王妃は支配人…だれうま。心労ヘッドスパで癒やしたいわ~確かにね…!! 滅茶苦茶マッサージして貰いたくなる話でした。 家族以外に体を触って貰って揉ん…
[良い点] 読ませていただきました、面白かったです [一言] 最初から王子を名乗っていればイケメンを拾うスレ違いは起きなかったろうにw
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