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コウアーション・ルーラー  作者: Sir.徒和
一章 新米局員編
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九話 仕事終わり

 これは問い詰めても意味がないな。

 俺は諦めることにした。


 「ところで、この後はどうするの?」

 「あとは後処理チームがいるから、その人たちに任せるかな 。だから、後処理チームが来るまで待期だね」


 確かにこれを二人で片付けるのは大変すぎるな。

 終わらないと思う。


 「来るまでは拳銃を集めたりすると、好今度上がるよ」


 そう言うと、敵が持っていた銃を奪って、一箇所に集めていく。

 俺は自分が倒した敵のところに行くと、持ってた武器を全て奪っていく。

 奪ってて思ったが、俺はこんな奴らに素手で向かっていったのか。

 自分で自分のことがすごいと思った。

 俺は奪い終えると、倉庫の中へ向かう。

 そこには、俺たちが乗ってきた車があった。

 美玖が車の荷台に拳銃を積んでいた。

 俺も積み終え、ひと休憩しようとすると。


 「今回は大量だね」


 そう言いながら、アタッシュケースを両手に抱えて持ってくる。

 確か現金が入ってる鞄だっけ。


 「重そうだね」

 「重いよ。1億円はあるかな」

 「そのお金ってどうするの?」

 「ルーラーの運営資金にするかな。取っておいても意味ないからね。この銃も売ったり分解して、お金に変えると思うよ」


 そんな感じで、他愛もない話をしていると後処理チームが到着する。

 俺たちは軽く挨拶をしたあとは、邪魔にならないように撤収した。


 「少し寄り道してもいいかな?」

 「別にいいけど」


 車に乗込むと、美玖が提案をしてくる。

 いつも、任務終わりに立ち寄る場所が在るらしい。

 俺達はそこへ行くことにした。

 車に揺られること数十分。

 着いたのは、都内にある山の頂上付近にある公園だ。

 行ったことないし、知らなかった。

 かなり高い山なのに。

 暫く歩くと、美玖が麓を見下ろせるベンチに座る。


 「待ってて」


 俺もベンチに座ると、美玖が立ち上がり、どこかに行ってしまう。

 待つこと数分。

 俺の頬が急に温かくなる。


 「私の奢りね」


 そう言うと、美玖が缶ジュースを渡してくる。

 いや、缶スープか。

 美玖もベンチに座るとスープを飲み始める。

 俺もスープを一口飲む。


 「あ、これ幽霊さんのぶんね。飲めるかわからないけど」


 美玖がベンチにもう一つ、缶スープを置く。

 喜ぶだろうけど、タキナは着いてきてないんだよね。

 俺はタキナに、お土産として持って帰ろうとして手に取る。


 「私のだよ!」


 タキナが俺の手を払う。

 薄々勘づいていたが、やっぱりついてきていた。

 タキナが缶を手にすると、飲み始める。


 「美味しい」


 ゴクゴクと飲み干してしまう。

 とうもろこしが出てこなくて、困っているのが面白い。


 「それで、このあとは何をすればいい?」

 「もう、帰っていいよ。車で帰ったほうがいいと思うけど」

 「美玖はこのあとどうするの?」

 「私も帰るよ。初任務も無事終わったんだし、今日はゆっくり休むんだね。まだ、学校休みでしょ」


 確かにあと3日?は休みなのか。

 宿題もないし、のんびりできるな。

 それに、魔素も完全回復させておかないと、今後の任務に支障が出るからな。

 今日は帰ったら、ゆっくり休むとしよう。









 




 俺は家に帰ると、ソファーに寝転がる。


 「疲れたー」


 本当に疲れた。

 精神的にも肉体的にも。

 魔素がスッカラカンだから、動くのが面倒くさい。

 もうこのまま寝ていたい。


 「疲れたね」

 「ホントだよ。魔素を使い切るなんて、予想外だよ」


 そう、美玖があんなことをするからこんなに疲れたんだ。

 急に爆弾を使うとか、意味分からない。

 せめて、事前に一言言ってほしかった。

 まあ、言ったとしても止めて欲しいけど。

 時間を確認すると、2時半を過ぎている。

 もう、寝るか。

 シャワーを浴びるのも面倒くさい。

 俺は着替えると、そのままベットで眠りについたのだ。


 「寝ちゃった」


 タキナが呟く。

 タキナは、幽霊だから寝る必要がないのだ。

 まあ、維貔叉も寝る必要がないと言われたら無いだろう。

 だが、維貔叉の様に、娯楽の一瞬や魔素や精神疲労の回復のために睡眠をする生物は多い。

 タキナも偶に寝るのだか、今日は寝る気分では無い。


 「何しようかな」


 維貔叉の部屋を(床をすり抜けて)出ると、ゲーム機の電源を入れる。

 今のタキナのお気に入りはFPSゲームだ。

 ちなみにだが、過去に大会で一位を取ったことが何回もある。

 当然だが維貔叉はそのことを知らない。






 

 数時間後。


 「寝よっかな」


 飽きてきた。

 けど、タキナはそれを躊躇う。

 タキナは究極に寝相が悪いのだ。

 屋根裏部屋の布団で寝ていたら、起きて屋根裏部屋のどこかにいたら寝相がいい。

 家の中に居たらいつも通り。

 家の外にいたら、寝相悪かったな。

 というレベルなのだ。

 今までは誰にも見えていなかったから良かったが、維貔叉に見られるのだ。

 それに美玖も眼鏡をかけていたら見られる。

 どうしようか。

 タキナは思案する。

 今日は流石に疲れた。

 寝たい気持ちはあるが、寝たくない気持ちもある。

 そんなことを思いながら、タキナはゲー厶を続けた。











 「おーい。起きろ」


 俺は美玖の肩を叩く。


 「ん?維貔叉?どうした?」


 タキナがあくびをしながら、問う。


 「なんで外で寝てるの?家の中で寝たら?」

 「え!?あ、いや、それは、その…ね?」

 「別に家の中で寝ればいいじゃん。寝具あるでしょ?」


 まあ、確かに男と一つ屋根の下で寝たくないのは分からなくない、傷つくが。

 たが、一つ屋根の下で暮らしてるのに、寝るのは嫌だとか訳がわからない。

 もしかして、襲われるとでも思ってるのか?

 それにしても、外で寝るのはないと思う。

 誰にも見られてないかって、心配になる。


 「まあ、偶には外で星空でも見ながら寝たいんだよ」

 「そうなの…か?それだったら、地面ギリギリじゃなくて、もっと上空で寝れば?それこそ、雲の上で」

 「あ、こ、高所恐怖症なんだよ、私。高いところは無理で」


 そうなのか。

 俺は、せめて家の敷地の中で寝てと、言うと家に戻った。


 「タキナなって着替えなくていいの?服持ってる?」


 俺は朝食を食べていると、ふと疑問に思った。

 お風呂に入ったときも、服は変わらなかったし。


 「別にこれで不満はないし、この服じゃないと不便だから」

 「なら、いいけど」

 「なに?そんなこと聞くってことは私のお洒落姿でも見たいの?維貔叉の性癖に刺さるようなものでもある?」

 「違うわ!ただ、気になっただけだ。いつも同じ服でいいのかなって」


 とんだ誤解を生まれた。

 俺は朝食を食べ終えると、視線を向ける。


 「なんで、美玖がいるの?」

 「今日は暇だから」


 美玖がスープを口にする。

 コンスープだ。

 昨日、というか今日の朝も飲んでたじゃん。

 しかも、そこそこに良いお値段するやつだし。

 楽しみに取っておいたのに。


 「それで、本当に暇だから来たの?」

 「もちろん。暇じゃなかったら来ないよ 」

 「友達いないの?前に仲良さそうに話している人がいたじゃん」


 食堂で話していた、渡邉葵さんだっけ。

 年齢も近そうだったし、その人といればいいのに。


 「あの子は基本的にパソコンが友達だから。それに、他のみんなは任務中か、遊びに行ってる」


 確かに、今は10時過ぎだし。

 朝食にしては遅く、昼食には早い時間帯。

 それに美玖の友達は既に外出中だと。

 ルーラーが夜行性なのは仕方ないけど、学校との両立は辛いな。

 俺はそのことを聞くと、意外な答えが返ってくる。


 「別に、土日だけ任務に行けばいいでしょ。君は副業みたいな感じでやってるんだから、平日は基本的に任務はないと思うよ」

 「基本的にってことは例外があると」

 「もちろん。そのためのスマホだよ。緊急時は授業中だろうが来てもらうよ。その代わり、特別手当は出るけど」

 「福利厚生しっかりしてるね」

 「当然でしょ。こんなことやってんだから、これくらいしてもらわないと」


 言われたらそうかもしれない。

 仕事内容を考え無いなら、相当素晴らしい職業だと思う。

 圧倒的な体力と精神力がいるけど。

 これは昨日で嫌なほど理解した。


 「この後はどうするの?」

 「居てもいいなら、一日中居るつもり。誰か来るの?来ないはずだけど」


 なぜ、誰も来ないことを知っているんだ?

 ホント、怖いな。


 「幽霊さん。良かったら一緒にゲームやろうよ」


 美玖がそう言うと、席を立ち、テレビの前に座る。

 すると、テレビの電源がつく。


 「一緒にやってくれるのかな?」


 コントローラーが2個浮くと、一つは美玖の手の中に収まり、もう一つは美玖の隣で浮いている。

 タキナもやる気のようだ。

 完全に俺は邪魔にだな。

 俺はカバンを自室に取りに行くと、家を出る。


 「楽しんでね」


 そう言いながら、家を出る。

 あいつら所に行くか。

 最後に会ったのは、春休み期間中か。

 忙しかっからな。

 偶には会わないと、心配される。

 俺はそこで一日を潰すことにしたのだ。

 

 

読んでくださりありがとうございます。

これからも応援していただけると幸いです。


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