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コウアーション・ルーラー  作者: Sir.徒和
一章 新米局員編
4/65

四話 ストーカーさん

 まじでどうするんだよ。

 俺はタキナと一緒に、濡れた床を雑巾で拭いている。

 腐らないといいけど。


 「ごめん。本当にごめん」

 「もう、いいって。怒ってないよ」

 「ありがと。でもごめんね。まさか雨が降るなんてね」


 確かに、とてつもなく不運だ。


 「ところで、泥棒ってどうなった?」

 「ああ。学校の校庭の真ん中に置いてきたよ」

 「誰にもバレなかった?」


 校庭の真ん中?

 何でそんなところにおいてきたのか問い詰めたいが、ぐっと我慢する、

 「魔法を使ってたから、バレてないと思うよ」


 取り敢えずは大丈夫かな?

 明日は休校になるだろうけど。

 二人で色々と話しながら、雑巾がけをしているとあっさりと終わった。

 時間を確認すると6時過ぎだった。

 夜ご飯何にしよう。

 今から作る気力がないな。

 疲れた。

 肉体的にも精神的にも。

 

 「今日の夜ご飯、何がいい?そもそもタキナってご飯食べれる?」

 「ひと手間加えれば」

 「ひと手間?」

 「私は幽霊で、基本的に全部すり抜けるでしょ。けど、今、雑巾にひと手間を加えたから雑巾を持ててるんだよ」

 「ホントだ。言われてみればなんでなんだ?」

 「それは、幽霊が魔法元素を含むものしかさわれないからだよ」

 「そういうことね」

 「流石。これだけで理解するとは」

 「まあな。この星の物質には魔素・妖素・霊素のどれもが一切ないからね。だから、何もさわれない。でも、自分の持っている魔素を物質に移せばその物質をさわれるから、雑巾に魔素を含ませたり、移したたりしたんでしょ」

 「お見事!90点」

 「なんで100点じゃないの?」

 「私は魔素じゃなくて、霊素を持っているからです」

 「そこ?」

 「そこ?─じゃないよ。これは重要なことなんだよ」

 「なんで?」

 「そ、それは。重要だから重要なんだよ」


 そうなんだ。

 重要だから重要なんだね。

 それはそれとして、夜ご飯は食べるということでいいのかな?


 「結局、夜ご飯は食べるの?」

 「食べていいなら」


 タキナがチラッチラッと、こちらを見てくる。

 幽霊なんだから飯なんて要らないだろと、でも言うと思ったのだろうか。

 俺は「食べていいよ」と、言うとくるくる飛び回って喜ぶ。

 「ご・は・ん!」と、繰り返し言っている。

 よほど食べまかったんだろう。


 「今日は疲れたし、コンビニでもいい?」

 「いいよ。何か食べられるなら何でも自分いい」


 10年ぶりぐらいかな─と言いながら水の入ったバケツを持ちながら、階段を下りていく。

 そんなに食べてないんだ。

 幽霊は食べなくていいし、ここ十数年ご飯なんて残して何からな。

 今日は少し奮発してもいいかもな。

 たまには豪勢なものを食べるのもいいだろう

 コンビニだけど。


 「何買ってきてほしい?」

 「ついて行くに決まってるじゃん」

 「今から行くか」

 「オッケー。玄関で待ってるね」

 「了解」


 案の定、床に消えていく。

 俺は鞄に入っている財布を取りに行き、玄関に行くとタキナが少し残念そうな顔をしてきた。


 「なに?」

 「いや。制服で行くんだなって」

 「別にいいでしょ」

 「おしゃれしないの?」

 「コンビニに行くだけでしょ」

 「はぁ。これだから男子は女子からモテないよ」

 「今から着替えてこようか?」

 「結構。早く買いに行くよ」


 俺の服装より飯か。

 それに、着替えていないのはタキナが原因でもあるんだけど。

 俺は家を出ると鍵が閉まっていることを確認し、歩き出す。



 



 


 維貔叉は気づいていない。

 誰かに見られて、付けられていることを。

 その者は維貔叉とタキナが捕まえた泥棒と似たような服装をしている。

 だが、その者の気配は先程捕まえた泥棒たちとは比べ物にならないほど希薄だ。

 一般人なら視界に入らない限り、気づくことができない。

 その者は何食わぬ顔で、維貔叉が入っていたコンビニに入っていく。

 だが、一つミスを犯していた。

 それは、タキナが見えていない、タキナの存在を知らないことだ。

 これは仕方のないことなのだが、ミスはミスなのだ。






 





 「私はこれ!」


 タキナが唐揚げ弁当を指差す。


 「唐揚げ好きなの?」

 「食べてみたかった。ハンバーグは食べたことあるからね」


 ハンバーグは食べたことあるんだ。

 俺たち(家族)の食べ残しじゃないだろうな。

 もしそうなら、よほど食に貪欲なやつだ。

 俺は何にしよう。

 もう、カップ麺でいいや。

 俺はカップ麺コーナーに行くと、シーフード味のカップラーメンを手に取る。


 「カップラーメンもあったか」


 タキナが“あちゃ〜”と、言いながらこっちを見てくる。


 「どれがいい?明日のお昼ご飯も必要だから」

 「同じので良いよ」

 「わかった」


 俺はもう一つカップラーメンをカゴにいれる。

 明日は普通に学校がある─はず。

 学校に連れていくわけにもいかないし、家にいるにしてもお昼ご飯はあったほうがいいだろう。

 俺が会計をしている間も、店内をウロウロと浮いていた。


 「帰るぞ」


 店員に、何こいつヤバ─みたいな目で見られた。

 忘れてた忘れてた。

 タキナは俺以外には見えないんだった。

 気をつけないと、周りから変人扱いされるな。

 俺はコンビニを出ると、タキナもついてくる。

 改めて考えると今、凄い状況なんだよね。

 この星に転生して、始めて同郷と会ったのに何とも思わないな。

 これから、タキナ(同郷)と同居するんだろ?

 これまでも、俺が知らないだけで同居してたんだけど。

 どうすればいいのだろう?

 今まで通り過ごせばいいのだろうか?

 だが、幽霊とはいえタキナは女性だ。

 気をつけていかないと、セクハラで訴えられるかもしれない。

 裁判にならない(出来ない)にしても、タキナとの関係は最悪になるし、同郷として心を許せている自分がいるから、仲良くやっていきたいものだ。

 いってみれば、なんで俺の家に住み着いていたんだろう。

 別に他の家でもいいような。


 「ねえ。なんで俺の家に住み着いていたの?別の家とかでも良くない?」

 「あぁ。それね。でも、今はそんなことはどうでもいいの」

 「え?なんで?」


 俺はタキナに理由を聞こうとする前に、シッッ─と言われ、黙る。


 「誰かにつけられてる。恐らくは今日の泥棒の仲間だと思う。だから、絶対に振り向いちゃダメ出し、私と会話したらダメだよ」


 俺は頷く代わりに、瞬きをパチパチとする。

 マジか。

 まだ、仲間がいたのか。

 もし、タキナがいなかったら詰んでたな。

 それにしても、一体俺の家に何があるというんだ。

 貴重品は他の家よりはあると思うけど。

 やっぱり、未成年者の一人暮らしだからなのか?

 だが残念だったな。

 これからの日暮家には自宅警備員が年中無休でいるんだ。

 俺は頭の中で泥棒を馬鹿にしている間に、家に着いた。

 俺は玄関に入ると、鍵をすべて掛け、シャターを全て閉め、念の為にカーテンも閉めておく。

 俺がリビングに戻ってくると、タキナがダイニングで唐揚げ弁当を食べていた。

 しかも、丁寧に俺のカップラーメンも作ってくれている。

 それにしても、よくのんびりしてられるな。

 俺は椅子に座ると、タキナにさっきのことを聞く。


 「それで、誰かにつけられてたって本当?」

 「ホントだよ」


 唐揚げをパックっと食べながらこたえる。

 マジか。

 さて、どうすればいいのかな。

 また、不法侵入でもされたらたまったものじゃない。


 「これからはタキナが自宅警備員してくれるの?」

 「言い方は気に入らないけど、そのとおりだよ」

 「また泥棒が家に入ってきても追い返してくれる?」

 「もちろん。それがこの家に住む対価でいい?」

 「まあ、いいけど」


 ちゃっかりしてるな。

 取り敢えずはタキナに任せるか。

 親に泥棒が家に来たことを伝えるかどうか悩むな。

 伝えたほうがいいんだろうけど、メチャクチャ心配されるんだよね。

 また、泥棒が来たら親に言うか。

 俺はラーメンを食べながら、そんなことを思ったのだ。

 

 




 




 俺とタキナは夕食を食べ終えると、作戦会議を始める。


 「さて、タキナ。これからどうする?」

 「どうするって…。私が倒すだけだよ」


 倒すって…。

 確かに倒せるだろうな。


 「さっき、俺たちをつけていた奴は今も外にいるのか?」

 「見てくるね」


 タキナは壁をすり抜けると、外を確認しに行く。

 

 〜数分後〜


 「まだいたよ、まだ肌寒い時期なのに張り込んでるよ」

 「どんな見た目だった?」

 「え?何?気になっちゃうタイプ?君もお年頃だね」


 笑いながら言ってくる。

 そんな訳あるか。

 今後、出会ったときに警戒しするために決まってる。

 というか、タキナがこんなことを言うってことはストーカーは女なのか?


 「そんな訳ないでしょ。警戒するためだよ」

 「なーんだ、つまんないの」

 「それで、どんな見た目だったの?」

 「近くでは見てないけど、身長は普通の高校生ぐらいで、髪は黄色でショートヘア。目の色は青系かな。あと、ロングスカートだったよ」

 「よくそんなにわかったね」

 「私にかかれば、こんなの余裕だよ」


 胸を反らして、鼻を高くする。 

 ありがとう、と言っておく。


 「もう、今日はお風呂入って寝るね。色々あって疲れたし」

 「私もお風呂入っていい?」


 お風呂…。

 これはいいのか?

別に問題はない…のか? 


 「タキナは別にいいの?」

 「ん?そういうの気にしないよ。それに女子の残り湯に入れるんだから、うれしいでしょ」

 

 と、言うと浴室に行ってしまう。

 気長に待ちますか。

 俺はテレビを点ける。

 ゲームでもやろ。

 朝出来なかったし。

 俺はゲーム機の電源を入れようとすると、テレビのニュースが流れてくる。


 『ニュースをお届けします。今日、午後5時半頃、日本帝国東兆高校にて、縄で縛られていた数十名が気絶した状態で校庭で発見されました。この事件について警察は、縄で縛られていた者に事情聴取をするとしています。また、学校は明日を休校にし、今後への対策を取るそうです』


 …………

 開いた口が塞がらないとはこのことか。

 ヤバイなー。

 俺はスマホを確認すると、学校から休校のメールが届いていた。

 はぁ、ホントにヤバイな。

 よし、ゲームしよ。

 俺は逃げることにしたのだ。






 「お風呂上がったよ」

 「あ、あぁ。たきな。これ見て」


 俺は学校から来たメールをタキナに見せる。


 「ハハハハハハ!ヤバイ!まじで面白い」

 「笑い事じゃ無いだろ」

 「いや、ごめん。でも」


 そう言うと、また笑い出す。


 「で、でも。まあいいじゃん。学校休めたわけだし」

 「良くないでしょ」


 その日は、お風呂に入ったあとにすぐヘッドに入り、就寝したのだった。






 ふぁ〜、とあくびをしながら俺は起きる。

 俺が起きたのは起床時間とかだからじゃない。

 なぜなら、まだ朝の4時だからだ。

 いくら、昨日、9時ぐらいに寝たからといって朝が早いのは辛い。

 なのに、なぜ俺が起きてるかって?

 それはスマホがうるさいからだ。

 通知音がヤバイ。

 誰かがスタ連してるな。

 俺はスマホをみる。

 桜弥だった。

 薄々、わかっていたけど。

 俺は桜弥に『何?』と、送る。

 すると秒で返信が来る。


 『遊ぼうぜ!どこ行く?』


 こいつ、学校が無いからって…凄いな。

 休みの日は早起きするんだ。

 俺は『どこなら行ける?』と、送る。


 「遊びに行くの?気をつけてね」


 !!!!

 タキナか…。

 マジでびびった。

 心臓がバクバク言ってる。

 叫んでるよ。


 「脅かさないでよ」

 「え!?脅かすつもりはなかったんだけど…」

 「それで、どこ行くの?これって桜弥君だよね」

 「知ってるの?」

 「知ってるも何も、昨日も来てたじゃん」

 「言われてみればそうか。早速だけど今日、留守番頼める?」

 「任せといて!」


 これで、安心して遊びに行けるな。

 俺はベットから出ると、クローゼットから服を取り出す。

 タキナは俺が着替えるとわかったのか、天井に消えていく。

 屋根裏部屋がタキナの自室みたいなものなんだろう。

 俺はサッと着替えるとリビングに行く。

 当然だが、服装は外出用の少しきっちりしたものだ。

 制服ではない。

 タキナになにか言われることも無いだろう。

 スマホの通知音が鳴る。


桜『ショッピングモールにしようぜ。お金持ってこいよ』

維『りょーかい』


 タキナがダイニングの椅子に座ってる。

 座って、朝食を食べてる。

 俺の分もある。

 俺は朝食の置いてある─タキナの対面に座ると、朝食を食べ始める。


 「モグモグモゴモゴモグモグ」

 「口の中を無くしてから喋って」

 「どこに行くか決まったの」

 「ショッピングモールになった」

 「ふぅ〜ん。その服で行くの?」

 「ダメ?」

 「ふつー。Theふつー」

 「そんなこと言われても、服なんてそんなに持ってないし、モテなくていい」

 「ダメだよ、モテなきゃ。君の服装は私に任せなさい!」


 朝食を食べ終えると、天井に消えていく。

 何をするきだ?

 人の話を聞いてほしい。

 タキナが何か始める前に家を出たほうがいい。

 もう始めてる気がする。

 俺は家を出ようとすると、何時集合か聞いていないことに気づく。


維『何時に集合?』

桜『今すぐ家を出る!』


 マジか。

 休日ガチ勢か…。


 「タキナ行ってくるね」


 俺は一方的に告げると、外に出る。


 「!!!」

 「行くな!」


 一日に2回も同じ人にビビらされるとは。

 しかもこの短い時間で。


 「なんのようで」


 嫌な予感しかしない。

 着替えさせられるのか?

 俺が一歩下がると、タキナが一歩分進む。

 ハイ、と言い、服を渡してくる。

 やっぱり。


 「早く行かないと」

 「着替えなんて、すぐ終わるよ。化粧してないんだからこれくらいしないと」

 「でも、早く行かな─」

 「着替える」


 俺は“はい”としか言えなかった。

 俺は自室に戻り、サッと着替える。

 似合ってる?

 わかんね。

 一階に行くとタキナが待っていた。


 「行ってらっしゃい」

 「行ってきます」


 まさか、行ってらっしゃい、と言われるとは。

 改めて言われるとちょっと恥ずかしいな。

 タキナはそういうのにこだわるタイプなのだろうか。

 それに、この服なんだ?

 買った覚えもないし、貰った覚えもない。

 盗んだ?

 いや、違うな。

 俺は服を触るが、少し暖かい。

 霊素が含まれているのがわかる。

 もしかして、自作だったりして。

 そうだとしたら、技術もデザインセンスも相当凄いな。

 俺はそんなことを考えていたせいで、角を曲がったところで、人とぶつかってしまったのだ。

 そして、俺は腰が抜けて、マジでビビる。

 ぶつかるだけなら、まだいいだろう。

 だが、ぶつかる相手が悪かった。

 ヤンキーよりヤクザよりも怖い。

 ぶつかった相手は、身長は普通の高校生ぐらいで、髪は黄色でショートヘア。目の色は青系でロングスカートを履いていた。


 「あ、あ、あ、あの」

 「あ、いやこちらこそごめんなさい」


 そう言うと、ぶつかった相手は歩いてきた(であろう)方向に走っていく。

 怖…

 言葉が出ない。

 今日は家にいたほうがいいか?

 どこにいても同じか。

 だが、止めたほうがいい気が。

 




 来てしまった。

 色々考えていたら、ついてしまった。


 「お!こっちこっち」


 桜弥が手を振っているのがみえる。

 俺が桜弥の近くに行くと、桜弥が心配してくる。


 「お前、何かあった?」

 「え?わかる?」

 「顔色が悪すぎるし、負のオーラがヤバイ」


 負のオーラとかわかるんだこいつ。

 このことを話すべきか。

 桜弥には話しておいたほうがいいな。





 「と、いうことがあったんだ」

 「ヤバくない。それにしてもストーカーとか、羨ましい」

 「は?何で」

 「なんでって、そのストーカー女なんだろ。絶対、お前のこと好きじゃん」

 「気持ち悪いだけだよ。マジでやめてほしい」

 「言われてみればそうか。ちなみにだけど、あの柱にもたれ掛かっている女ってさ…」


 俺は振り返るのが怖くなったたので、基本能力(コモンアビリティ)─[光感知]でそっと桜弥が指差す方をみる。

 これは光を感知できる魔法で、うまく使えば後ろも視える。  

 そして、いる。

 俺は“そう” と、小さく頷く。

 怖すぎる。

 なんでストーカーされてるかは大体分かるけど。

 お仲間さんは警察署にいますよ。

 言えるものなら行ってやりたい。


 「何かあったら俺が守ってやるよ」

 「お前強いの?」

 「当たり前だろ。なんせ俺はお─」

 「お?」

 「おじいちゃんに鍛えられたんだから。舐めたら、痛い目見るぞ」


 桜弥のおじいちゃんの強さがわからない。

 というか、俺のほうが強いよ。


 「遊びに行こ」

 「いいのか。ストーカーは」

 「無視でいいよ。何かあったら警察に行く」


 「ならいいけどよ」、言うと、歩き出した俺に桜弥が追いつく。

 その時に、桜弥が何か呟いていたが俺には聞こえなかった。




 「今日、滅茶苦茶オシャレしてきてるな」

 「俺に言われても困る」

 「いつもは普通の服なのに、実はセンスあるんだな」


 俺が選んだ、というか買ってすらない。

 タキナに感謝。

 どうやら、俺を服屋に連れて行こうとしていたらしい。

 早速、予定が崩れた。

 愚痴っていたが、俺に言われても困る。


 「よし、ゲーセン行くぞ」


 俺と桜弥はゲーセンに行く。

 俺と桜弥はクレーンゲームをする。

 ストーカーはメダルゲームをする。

 俺と桜弥はカフェでフラペチーノを頼む。

 ストーカーはコーヒーとパンケーキを頼む。

 俺と桜弥は一応、服を買う。

 ストーカーは服を買う。

 俺はインスタント食品と食材を買う。

 二人分。

 桜弥はお菓子を買う。

 ストーカーはパンと飲み物を買う。


 「あー疲れた」

 「一日中、ストーカーいたな」

 「ホント。マジで疲れる」

 「気をつけて帰れよ。襲われないように、襲うのもだめだぞ」

 「するわけ無いだろ」


 俺と桜弥はそれぞれの帰路につく。





 さて、帰路についたものの、俺と同じ道を歩いている人物がいる。(一本違うけど)

 ストーカーさん、根気強いですね。

 しかも、ちゃっかりショッピング楽しんでたし。

 あれ?

 どこ行った?

 一瞬の間に消えたぞ。

 どこ行った?

 消えたぞ。

 一瞬、目(魔法)を離したすきにどこかに消えてしまった。

 俺は怖くなってきたので、早足で家に帰ったのだ。





 誰もいなかった。

 逆にそれが怖いんだけど。

 俺はガギを開け、扉を開けると、フライパンが飛んでくる。

 危な!

 俺は間一髪で避ける。


 「あ、ごめん」

 「お前、ヤバすぎるだろ」

 「ごめんって。泥棒が入ってきたのかと思って」


 だからといって、フライパンか…。

 幽霊なんだから捕まることなんてないと思うから、確認くらいしてほしいものだ。

 まあ、仕事はしてくれてたってことか。


 「これお土産ね」

 「え!やったー」


 タキナはガシッとお土産の袋を持っていく。

 今、食べるのか?

 6時だろ。

 おやつにしては遅いし、夜ご飯のデザートにしては早い。

 俺は「夜ご飯のあとね」と、言うと、タキナからお土産を取り上げ、冷蔵庫に入れる。


 「別にいーじゃん。食べようよ」

 「夜ご飯食べたらね」

 「どこの真面目くんだよ」

 「じゃあ、いらない?」 

 

 「分かったよ」と、言うと天井に消えていく。

 子供だな。

 俺はタキナを見送ると、苦笑いをする。

 さて、夜ご飯を作るとするか。





 




 それはいつもと変わらない一日。

 この二日に色々なことがあったが、それも今までの延長線のようなもの。

 明日からの日常と比べれば。

 

 

 

 




 


読んでくださってありがとうございます。

これからも応援していただけると幸いです。

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