一話 今の日常
最後まで見てくださると嬉しいです。
俺は目覚めた。
まだ寝ていたいと思いつつもあくびをしながら窓のカーテンを開けてベットから出る。
俺はいつものように学生服に着替え、リビングに行こうとしたら、スマホのアラームがなった。
今日もアラームが鳴るより早く起きたのか、と思うと少し憂鬱になってしまう。
あと5分は寝れた。
そう思いながらも、スマホを手に取りアラームを止めた。
階段を降りキッチンに行くとパンをトースターの中に入れる。
今日は目玉焼きも食べるか、たまにはパン以外も食べるか。
俺は冷蔵庫から卵を一つ取り出し、フライパンの上で割る。
他の家だったら母親が作ってくれるのだろうか?
それとも自分で作っているのだろうかと、ふと疑問に思った。
俺には親がいないわけでわない。
いることにはいるのだが仕事が忙しく一週間に一回帰ってくるかどうかだ。
だが、別に子供より仕事を優先させるの?―などとは思ってあらず感謝しかない。
そもそも俺は孤児院にいて、子供に恵まれなかった親が僕を引き取ってくれたのだ。
それに親が家に帰ってこないのは俺が望んだことでもある。
俺の親は実業家で企業十数年で世界有数の会社となっていた。
まあ、そんな会社の社長が忙しくないわけがなく多忙な日々をおくっているのだ。
なのに以前は毎日家に帰ってきてくれていた。
だが、夜の12時に帰ってきて明日の5時に家を出る生活を繰り返していたのだ。
そんな生活を数年も続けていたら人間は倒れる。
そう、倒れてしまったのだ。
原因は言うまでもなく、過労。
親が倒れて入院しているときに秘書さんから聞いたのだが、 朝、飛行機に乗って海外に行き、直談判で契約をしたあとに、その日のうちに家に帰ってきていたらしい。
流石に俺もこのことを秘書さんから聞いたときには呆れた。
そりゃあ、倒れるよ、と俺は親に対しての心配や不安を通り越して呆れたのだ。
そして、俺は親が起きたあとに「倒れるぐらいなら無理して帰ってこなくて大丈夫だよ」と言ったのだ。
そんなこともあり今の俺は優雅な一人暮らしを一人なりに楽しんでいるのだ。
執事やメイドはいないかって?
いるわけ無いだろ。
そりゃあ、親は俺が一人で暮らすことになったときに何人か雇おうとしていたよ。
でもそうなったら、規則正しい生活をしないと行けないだろ!
「起きてください」とか「宿題しましたか?」なんて言われるのはヤダね。
おっと、3ヶ月前のことを思い出していたら、とっくにパンが焼けていた。
目玉焼き?なにそれ。
俺は朝に目玉焼きなんて食べないんだけど?
皿を出し、冷め始めたパンをその皿の上にのせる。
何故か、パンの上に石炭?があるけどまあいいや。
俺はパンを食べながらテレビをつけると朝のニュースが流れていた。
『今日は富土山異常現象から15年となりました。 なお、未だにこの事件の解明の兆しは見えていません。』
と、ニュースキャスターが言っているのを聞き俺はもう15年になるのか、とつぶやいた。
富土山異常現象とは、富土山で起こった異常現象。
ある日突然、富土山の中腹付近に木や石や家の残骸や生物の残骸と思われる様々なものが現れた事件のことである。
今も頑張ってこの事件について調べている研究者がいるのか、と少し関心をした。
だが、真相を知っている俺からすれば無駄なことしているようにしか思えない。
この星の人間ではこの事件を解決することはできないだろう。
理由は簡単。
この事件が魔法によるものだから。そう、これは魔法による現象なのだ。
何故そんなことを知っているのか、というと俺は、その被害者の一人なのだ。
俺は、元々この星の人ではない。
魔法の存在するこの世界とは別の世界の人間なのだ。
そして、俺がこの世界に来た原因となったのが富土山異常現象なのだ。
つまり富土山の中腹に現れたものは、俺の住んでいた星と同じ星にあったもので、俺と一緒にこの星に来たのだ。
来たと言うよりは転生といったほうが良いかもしれない。
というか確実に転生しているだろう。
だって外見があっちの世界とは全くの別人だから。
黒髪に青色の目で身長は約170cm。
友達いわく、顔は物凄く整っている美男子らしい。
俺は、学校にいくための支度を済ませる。
俺の行く高校─日本帝国東兆高校は全国トップクラスで偏差値の高い学校である。やっぱ家から近い学校って良いよね。
歩いて10分で学校に着くから8時に家を出ても間に合う。
まあ、2番目に近い学校だけど。
ホントは1番近い学校が良かったけど、先生や中学校に君なら大丈夫!絶対合格するよ。 って、言われ続けて受験したら(させられたら)受かっちゃったんだよね。
だから、本当だったらもっと寝てられるんだけど。
まあ、愚痴っても仕方ないので気持ちを切り替よう。
今は、7時半か。
少しゲームでもやるかと思ってゲーム機の電源を受けようとすると、『ピンポーン』とインターホンがなった。
「おーい。維貔叉開けてー」
と、俺の名前を呼ぶ声がインターホンの画面から聞こえてきた。
「桜弥?なんで来たの」
「早起きして、暇になったからに決まってるだろ。どうせお前、ゲームでもやってるだろうし、一緒にやろうぜ」
さらっと貶されたきがする。
だが、追い返す理由はないか。1人で遊ぶより2人で遊ぶほうが楽しいし。
「今開けるから待ってて」
と、言うと玄関に行きドアを開ける。
「お邪魔しま〜す」
「おい、勝手に入るな。あと、2階に行こうとするな!」
「ちょとぐらいいいだろ。俺とお前の仲だろ」
「いいから行くな」
「なんでだよ。もしかして見せられない叡智な本でもあるのか?」
「あるわけ無いだろ。いいから降りるぞ。家族の部屋もあるの」
そう言うと、俺は桜弥の手首を掴み階段を降りる。
まじでこいつ、少し油断したらこれなんだから。
「なんで家に来たの?」
「さっきも行っただろ。早起きしたんだよ。」
「お前が?あの遅刻ギリギリのお前が?」
「うるせえな。俺にだって早起きしたいときはあるんだよ」
どんなときだよ、と内心で突っ込む。
こいつが早起きね。ありえないな。絶対に何か理由があるに決まってる。
だが、何だ?何か特別なことってあったっけ?
あ、もしかしてこいつ2年生になるから緊張してる?
案外そういうこと気にするんだよね、桜弥は。
「お前、今日から2年生で緊張してるだろ」
「は、はぁ?なんで俺が学年が一つ上がるだけで緊張するんだよ」
「なんでって、春休み中ずっと『俺、先輩になるけど後輩から嫌われたりしないよな』って、ゲームやってる時ずっと言ってただろ」
「いっ、言ってねーし」
ふーん、と俺は桜弥を見つめる。
やっぱ緊張してるな。
というか、後輩に嫌われるかなんて心配することか?もしかして、こいつ中学のとき後輩から嫌われてたりして。
「そんなことよりさ、冷蔵庫の中にあるもので何なら食べていい?」
「全部ダメに決まってるだろ。というか、なんで食べようとするの?朝食食べたんだろ?」
「食べてないから、食べようとしてるんだよ」
「なんで食べてきてないの?」
「今食べるから」
「家で食べて来ればよくない?」
「1人で作って1人で食べるなんて、孤独死するだろ」
するわけ無いだろ。
そんな理由で他人の家の冷蔵庫を漁らないでほしい。
「何食べていいか聞いてるんですけど〜」
「パンなら食べていいよ」
はぁ、と俺はため息をしながら桜弥に言ったのだ。
「バターは塗っていい?」
「塗ればいいしょ。それより、なんのゲームする?」
「何がある?大乱闘スマッシュシスターズがあるならそれで」
「りょーかい」
ゲーム機の電源を入れようとすると、桜弥がまた変なことを言ってきた。
「維貔叉〜。あんまり時間がないだろうし魔法で作ってよ」
「面倒くさいから、嫌だね。嫌なら食べなくて良いよ」
「ちぇっ。」
そうか、自分でも忘れてたがこいつは俺が魔法が使えて、別世界から転生したことを知っているのだ。
そう、あれは8年前の出来事…………と言ってもこいつの前で魔法使っちゃっただけのことだけど。
そんなことを思い出しながら俺は大乱闘スマッシュシスターズのカセットをゲーム機に入れる。
すると、パンをトースターに入れた桜弥が俺の横に座る。
「いつも何時に家出てる?」
「8時15分ぐらい」
「めちゃくちゃ遅いじゃん。羨ましい〜。俺、この家に住もうかな」
「やめろ」
と、桜弥が言い終えるよりも早く俺は断る。
こいつが居たら楽しいかもしれないが、それよりもうるさいに決まってる。
「だって、朝にぐうたらできるんだろ」
「それはお前が早起きすばいいんじゃない?」
と、言いながら桜弥にコントローラーを渡そうとしたら、桜弥が固まっていた。
「ん?どうかした?」
「ねぇねぇ維貔叉君。あの時計ってこういうデザインのオブジェなんだよね」
「それがどうかしたの?少し変わってるデザインかもしれないけど……」
あ、針が止まってる。
「桜弥って何時に俺の家に来た?」
「知らない。けど、家を出たのは8時ぐらいだった気がする」
「君の家から俺の家まで歩くと20分ぐらいするよね」
「するね…」
「君、全然早起きしてないじゃん」
「いや、起きたのは6時」
そうなんだ、と俺は返事をしながらスマホを見る。
スマホの画面には‘8時25分’と表示があった。
俺は桜弥に“遅刻するぞ!”と言うと2階に急いで上がり自室に入ると、カバンを取り1階に降りる。
あと5分で遅刻とかヤバいって。
2年生初日から遅刻はヤバいって。
「先行ってるぞ!!」
そう言うと、俺は靴を履いて家から飛び出た。
俺は走りながら意識を集中させ、魔法を発動させる。
発動させた魔法は、付与魔法−移動速度上昇と跳躍力上昇だ。
あと、幻覚魔法−認識阻害と、中級能力−思考速度上昇も要るか。
ありえない速度で走ってるやつがいたら、後々問題になってしまうし、俺自身が移動速度についてこれなくなるだろう。
今の俺には桜弥のことなど頭の中になかった。
俺は普段なら10分かかる道のりをわずか30秒足らずで移動した。
危なかった。
今日は、始業式とクラス分けがあるんだな。
確か、グラウンドに集合だったような。
ということで、グラウンドに行く。
「一年生のクラス順に並べよー」
と、先生が来た人に対し指示をしていた。
一年生の順に並んで、点呼をしたらクラス発表ってことか。
え〜とっ、2組はどこだ?
「お〜い。維貔叉くーん」
と、一年生で同じクラスだった女子が手を振っていた。
俺は自分のクラスの付近に来ると場所を教えてくれた女子に
ありがとう、と伝えた。
すると、その女子がやけに喜ぶ。
これだから面倒くさいんだよね。
いやいや、そんなことはどうでもいいんだ。
早く座らないと。
見たところ、来た人から並んでいく感じか。
俺は一番後ろに行くとふぅ、息を吐き安堵する。
少し休憩しようと思ったら弦話しかけてきた。
「お前にしては、珍しく遅いな。2年生初日から寝坊か?」
「違うよ。家の時計が壊れてた」
「ハハハハ。ついてないな」
「まあ、こんなこともあるよ」
「それにしても、桜弥は早速遅刻か?」
「あ……」
「ん?どうかしたか?」
「いや、なんでもない。大丈夫 」
やらかした。
アイツのこと完全に忘れてた。
ナックのポテトかチキンナゲットで許してもらうか。
いや、もしかしたら間に合うかもしれない。
そう思って、スマホを見る。
8時29分。
終わったな。
初日から遅刻とは、流石としか言いようがない。
あ、8時30分になった。
「おはようございます。皆さんは、どんな春休みを過ごしていましたか?遊んでいた人もいれば、勉強していた人もいると思いますが、先生が出した宿題はやってきましたか?春休み中に2年生としてふさわしくなれましたか?今日から皆さんは、2年生です。去年までは一年生で先輩に頼ることも出来ましたが
今日からはあなた達が頼られるます。つまり皆さんは、他人から頼らせるような人間になれましたか?また、―――」
長げーーーー。
長すぎるだろ。
まじでずっと逆光で眩しいし、話も長いし(しかもクソつまら ない)初日から嫌になる。
恐らく、このおじさん先生とは今年も学年が一緒だし……。
早速、憂鬱になる。
担任にだけはなりませんように。
こんなことなら遅刻すればよかった。
俺が愚痴っていると、やっと話が終わった。
「えー、これで先生のお話を終わります。それでは、皆さんが待ち望んでいるであろうクラス発表をしたいと思います」
待ってました! 、と言わんばかりに生徒全員がざわめく。
今年は、何組になるのか。
騒ぎすぎだろ 、と思っていたら先生が一枚の紙を渡してきた。
「この紙にクラスが書いてあります」
無駄にこだわってるな。
さて、何組かな?
ワクワクした気持ちで紙を開く。
2組だった。
去年と同じか。
あのおじさん先生か担任じゃないけどいいけど。
「維貔叉は、何組?」
「2組」
「おんなじか。今年もよろしくな」
「あぁ。」
早速、仲間発見。
少し安心した。
「それでは、今から新しい教室に移動します。まずは、1組になった生徒は荷物を持って立ってください」
他のクラスメイトは誰がいるんだろ?
仲の良いやつがいるといいけど。
俺が少し心配になっていると 2組になった生徒は荷物を持って立ってくだい 、 と先生が言う。
先生の指示で2組になった人が立つ。
このメンバーが2組か。
そう言ってもあんまり変わってないけど。
「2組の皆さんは、先生についてきてください」
と、言ったのはあのおじさん先生だった。
終わった。
「終わったな。維貔叉」
「終わったね。まあ、頑張ろ」
絶望している俺たちに、呑気な声で誰かが話しかけてきた。
「なあなあ、何でそんなに暗いんだよ」
桜弥だった。
俺は、桜弥におじさん先生のクラスになったことを言おうとすると、桜弥が肩を組んできた。
「なあ、何で俺を置いていったの?」
「………」
「ねえ、聞こえてるでしょ」
「ナックのポテトで許して」
「セット」
「はい」
だめだ。
今、反抗すると関係が崩れる。
ただでさえ友達が少ないんだから、これ以上減らすわけにいかない。
そもそも、喧嘩したくないし。
「ところで桜弥は何組か知ってるの?」
話を変える。
「え。もう、皆知ってるの?」
「さっき知らされたぜ」
「何で?」
「紙で」
そう言いながら、弦が自分のクラスの書かれた紙を見せる。
「俺、持ってない」
「だろうね」
「どうしよう」
「先生に貰いに行ったら?」
「どの先生?」
「おじさん」
「え、嫌なんだけど」
「いいから行って来い」
俺は、無理矢理桜弥の背中を押す。
桜弥が先生のところに行った。
あ、怒られた。
これは説教コースだな。
「初日から大変だな」
「ホント凄いよね」
と、俺は桜弥に苦笑いしながら尊敬の眼差しを向けたのだ。
暇だ。
教室に入って、もう30分は経っている。
説教長すぎだろ。
あーあ、まだかな〜。
いい加減来てほしい。
さらに数分後。
やっと先生がきた。
あと、その後ろから桜弥も来た。
桜弥も2組なのか。
「改めまして、皆さんこんにちは。今日から、君たちの担任をする丹下成彦です。一年間よろしくお願いします。これから一年間皆さんと過ごすにあたって、色々お話したいことがありますが、時間があまりないので後ほど話すとします。え〜、これから始業式がありますので廊下に並んでください」
後で話すんだ。
話さなくていいのに、と俺を含むクラス全員が思っただろうが口には出さない。
出したら桜弥の二の舞いになる。
ということで、誰も何も言わずに体育館に移動する。
当然というか何というか、他クラスはすでに座っていて、2組を待っている状況だった。
これだからおじさん先生のクラスは嫌なんだよね。
俺たちが悪いことしたみたいになってる。
まあ、今回は桜弥の所為せいなんだけどね。
だが、俺の所為ではないことは、間違いない。
やっと終わった。
まじで話長すぎる。
他のクラスの生徒が帰ってから50分は話していた。
12時半には帰れるはずだったのに1時10分だよ。
お腹が空いて力が出ない。
家に一刻でも早く帰ろうと桜弥が外食をしようと言ってきた。
「せっかくだし、どこかに食べに行こうぜ」
「まあ、それもいいかもね。どこ行きたい?」
「ナックに決まってるだろう。お前が奢ってくれるんだし」
「じゃあ、ナックにするか」
「おう。じゃ、行こうぜ」
と、俺たちは昼食を食べに行くことにした。
初日から痛い出費だな。
まあ、これからの出費(???)だとポジティブに考えよう。
こうして、とある学生―日暮維貔叉の新たな1年が始まることになる。
だが、この1年は維貔叉にとって大きな変化をもたらすことになるが、そのことを本人が知る由もないのだ。
はじめての投稿で誤字脱字しかないと思うので、指摘のほどよろしくお願いします。