妖精と或る男の子の物語
それは 男の子と その子に恋をした妖精の 忘れられた物語
《《とーおい、とーおい昔の、或る国のお話です。
妖精は自分の姿が見えない、どこか大人びた様子の少年の男の子に恋をしていて、人間になってその子と結ばれたいと願う。
別の場所ではその男の子が人間関係のしがらみに疲かれ、妖精になって静かなところで無邪気に過ごしたいと願っていた。
そこで暇を持て余していた神様が、二人の願いを聞き入り姿を変える術を施す。
しかしその願いを叶えたのは、邪心を持つ神として存在している神様だった。
邪心ある神は、妖精に男の子の願いを秘密にしていた。
男の子が妖精になると分かっていたら、人間になるという選択はしなかっただろう。
男の子には、妖精界も人間界みたいにお互い関わり合いながら生活をし、おしゃべりな妖精はすぐ揉め事に発展するということを知りながらも黙っていた。
しばらくして、人間になり、妙齢の美しい女性になった元妖精は男の子の事をなかなか探せず一人虚しい思いをしていた。
妖精になった男の子は、妖精界はとても賑やかで毎日ケンカばかりして争い事が絶えないと気づき、困り果てる。
それから数年後、二人は姿を変えた事を後悔しながら過ごしていた。
そんな二人を眺めていた妖精の長は、元妖精と現妖精のことを可哀想に思いつつも、神のことには口出しできずにいたが、ひょんなことから権力のある神様と出会い相談してみる。
そして話を聞いた神様が、邪心ある神に追及すると気の弱い神は退屈しのぎに騙したとすぐ認めた。
神様の計らいで妖精と人間は会うことになり、人間になり月日と共に成長した元妖精は初めて男の子が妖精になった事を知り驚くが、どうりで見つからないはずだと納得する。
妖精になった男の子は、目の前にいる綺麗で優し気な感じの女性が妖精だったことに、こんな妖精もいるのかと驚く。
お互いの事情を知るとさらに仲良くなり、神様が元の姿に戻してあげようと言ったときには二人して返事に迷うこととなった。
二人は話し合い、元妖精は姿の戻ったら自分より年下の男の子の事を、そばで見守りながら人間として生きていくことを決心する。
男の子は、人間の姿に戻ったら姿を変える前の幼い自分に戻るが、大人になったらこの女性を幸せにしよう心の中で誓い、人間に戻る事を選択する。
だが人間に戻った男の子は、青年の姿へと変わっていた。
実は神様が迷惑をかけたお詫びとして男の子が成長した姿に戻したのだ。
二人は神様と心配してくれた妖精の長に感謝し、森の外れにある小さな家を住みかとし、やがて子供が生まれ綺麗な女性と青年は末永くに幸せに暮らしていきました・・・・・・・・・・・おしまい》》