第14話 ・・・
しばらく「才色兼備な姉と普通な俺」は休止させてもらいます。
俺が沙羅さんから聞いたのはロードバイクで走り終わって家に帰っている途中だった
家のドアを開けると美羽が慌てて俺の所へ走ってきた
「お、お姉ちゃんが!!!お姉ちゃんが!」
「わかってる、わかってるから。落ち着いて、美羽」
「落ち着いてって!お姉ちゃんが何も言わずにいなくなっちゃったんだよ!!!」
「わかってるから、とりあえず落ち着いて」
俺は美羽をソファに座らせて、水を一杯飲ませる
「とりあえず、美羽はチィ姉の携帯に電話しつづけて」
「う、うん・・・お兄ちゃんは?」
「俺は沙羅さんに詳しいこと聞くから」
俺は自分の部屋に入って、携帯を開いて沙羅さんに電話をかけるとすぐに出てくれた
「楓太くんか。千夏は見つかったかい?」
「まだです。いなくなったって、いつからですか?」
「小牧さんが言うには昨日の朝からなんだかテンションがおかしかったらしく、午後の仕事が終わった途端、いなくなったらしい」
「テンションがおかしかったって?」
「それは君が一番わかってるんじゃないかい?」
「・・・・・・」
沙羅さんの声はいつもみたいな声じゃなくて、真剣に怒っている感じの声だった
そして、俺とチィ姉が喧嘩していたこともお見通しらしい
「この前、スキー場での撮影の日の夜に電話がかかってきたよ。またふーちゃんと喧嘩しちゃったって。私が悪いのに、私が悪いのに・・・って何度も言ってきてたよ」
「・・・」
「まぁ仲直りをさせる時間を作らせなかった私も悪いとは思うが、君はいつでも千夏に会いに行けたはずだよ?それに君はこの前、撮影を見に来ていた女の人を背負って歩いていたらしいね」
「な・・・・」
「これも千夏から聞いた。ふーちゃんに彼女ができた、どうしたらいい?って留守電に入っていた。これはどういうこと?」
「それは彼女じゃなくて、ただの先輩です」
「ただの先輩を背負って楽しそうに歩く君を見た千夏はそんな冷静に判断できるわけないだろう」
「・・・でも見てたんなら言ってくれれば」
「はぁ・・・言えるわけないだろ。千夏は君のことが好きだと言っても君の姉としての千夏もまだいるんだ。そんな千夏が君にあの人は彼女なの?って聞けると思うかい?」
「美羽の時は言ってきました・・・」
「それは君が美羽に対して恋愛感情を抱いてないって分かってたからに決まってるだろ。美羽だってそれが分かってるから君のことを諦めたんじゃないのか?・・・楓太くんは今まで千夏の何を見てきたんだ?」
「・・・・」
「どうせ君は、千夏のことが好きだけどやっぱり姉という壁があって悩んでいるんだろうけど、本当の気持ちはどうなんだい?姉としての千夏が好きなのか?それとも、星井千夏が好きなのか?」
「・・・・・・」
俺が黙っていると沙羅さんはため息を付いて「千夏が出てくるまで仕事は病欠にしておく」と言って電話を切った
沙羅さんはチィ姉が自分から戻ってくるまで探さないつもりなのだろう
それは、俺に探せと言っているようなもの
「・・・。美羽、ちょっと出かけてくる。飯とかは適当にやっておいて、あと寝る前は戸締りよろしく」
「え?あ!!」
俺は財布と携帯を持って、家を飛び出し、チィ姉がいるであろう場所へと向かった
4月1日ってことで・・・すみません・・・変なこと言っちゃって。
まだまだちゃんと続きますよ(笑)でも、ちょっと今後の話の展開?を見直している途中なのでまた更新が遅れるかもしれないです。すみません。
それでは、これからもよろしくお願いしますね。