第9話 三者面談前って緊張するよね・・・
土曜日
美羽の公開授業と三者面談の日
美羽は特別に休みで、俺と美羽は特にやることが無いので三者面談の時間までゆっくりとしていた
「・・・なぁ、本当に行ったらダメ?」
「ダメ」
「久々に高校って言うのを味わいたいなぁって・・・」
「ダメ」
「どうせ三者面談で向かうんだから良いでしょ」
「ダメ。絶対ダメ!」
「なんで?」
「とにかくダメ」
こんなにまで断られると何故か行きたくなる
でも、美羽がここまで言うのには何かの理由があるわけで・・・
俺は悩みながらTVを見ていると携帯が鳴り、画面にチィ姉と書かれていた
「何?」
「あのね、今暇?」
「今は暇だけど、昼から美羽の三者面談があるかな」
「美羽ちゃんの?・・・・それ行っていい?」
「は?チィ姉仕事でしょ」
「それが無くなっちゃったの。お昼から何にも予定無いんだ。ね、小牧さん」
電話の向こうの方で「はい」という小牧さんの声がした
「ね?だから行っていい?」
「美羽に聞いてみる」
俺は横でPSPをしている美羽の方を見ると視線を感じたのか目があった
そして、首を傾げてこっちを見てくる
「チィ姉が三者面談に参加したいって言ってるんだけど」
「お姉ちゃんが?」
「そ、昼からの仕事が無くなったらしい。だから美羽のに参加したいって」
「来てもらおうよ!一緒に行きたい」
「了解・・・だってさ、チィ姉」
「それじゃお昼前にはふーちゃんの家に着くから待っててね~」
「お昼は食べるの?」
「ふーちゃんが作ってくれるんでしょ?食べるに決まってるじゃん」
「・・・了解。んじゃ気を付けて」
「うん。大好きだよ~ふー」
最後まで聞かずに電話を切った
俺は背伸びをしながらTVを見て時間を潰し、お昼前になると昼飯の準備をする
昼飯を作っている時に家のインターホンが鳴った
「美羽出て。たぶんチィ姉だから」
「うん」
美羽は玄関に走っていき、しばらくするとチィ姉と共に戻ってきた
「ただいマンモス~」
「久々に聞いたなぁ・・・それ」
「・・・マンモス?」
「わぁ美味しそうなチャーハンの匂いだ。さすが私の婿さまだよ」
「美羽、そこの皿持っていって」
「あ、うん」
「無視された・・・寂しいなぁ・・・昔のふーちゃんはいつもチィ姉、チィ姉ってカマってくれてさ・・・私に何かあったら飛んできてくれたのになぁ・・・」
「はい、味見」
チィ姉の言うことを無視して、スプーンをチィ姉の口元へ持っていく
チィ姉は“あ~ん”と自分で言いながらパクッと食べてグッと親指を立てた
「バッチグーだよ」
俺は皿に人数分分けて、テーブルに持って行く
そして、皆でご飯を食べ始めた
「美羽ちゃんは学校楽しい?」
「うん。同じ歳の人と話せるの楽しいよ」
「そっか。高校は楽しいよね~、好きな人もできたんじゃない?」
「っぶ!」
「あ~その反応は脈ありだ」
「ち、ち、違うよ!何言ってるのさ、お姉ちゃんは。あ、アハハハハハ」
美羽は次々と口の中にチャーハンをドンドン入れていき、食べ終わると学校に行く準備をすると言って自分の部屋に逃げた
そして、その原因を作ったチィ姉はビックリしてオドオドしていて俺の方を見てきた
「どうしよう、ふーちゃん・・・美羽ちゃん真っ赤になっちゃった」
「知らないよ。それよりやっぱり好きな人できてたんだなぁ」
「美羽ちゃんだってもう高校生だよ?」
「そうだよね。でも、高校生で初恋って遅いなぁ」
「え?」
「ん?」
「もしかして・・・ふーちゃん気が付いてなかったの?」
「何が?」
「美羽ちゃんってふーちゃんのこと好きだったんだよ?」
「美羽が?」
「うん。私もデビューしてから知ったんだけどね。私と同じぐらい好きだったみたい」
「ふ~ん。そうだったんだ」
「そうだったんだって・・・それだけ?」
「いや、なんとなくそうかなぁとは気が付いてたけど」
俺と美羽が一緒に暮らし始めた頃、なんだか話すのさえ顔が赤くなってモジモジしてたことがあった
その表情を見る限りで、なんとなく勘付いてはいたが改めて教えられると少し動揺はしてしまう
チィ姉はその動揺を見逃さなかったのか、少しだけキツイ目でこちらを見てきた
「ふーちゃん、まさか私を裏切って・・・」
「裏切るって何さ」
「私を捨てて美羽ちゃんに行くってこと!」
「はぁ・・・拾っても無いって」
「あ、また付き合ってない発言だ!」
「いやいや、付き合ってないから」
「酷っ!ふーちゃんは好きじゃない人にでもキスできるんだ・・・ふーちゃんはそういう人なんだ!」
「違うって」
「じゃあ、ふーちゃんは私のことが好きなんでしょ?キスできるんだから」
「はぁ・・・そうです。そうですよ」
俺はこれ以上言っても無駄なのを昔から知っている。どうせチィ姉に敵うわけがない。
俺は適当に言ってチャーハンを食べるとチィ姉はさっきまで怒っていた顔から、にこ~っとだらしなく笑い、俺の腕にチィ姉の腕をからめてきた
「にひひひひ」
「食べにくいんだけど」
「だってふーちゃんが私のこと好きって言ってくれたんだもん」
「言わせたの間違いだよ」
「も~正直になれば良いのに~」
「だから正直になって言ってるでしょ。食べにくいって」
「にししし、も~ふーちゃん可愛すぎてキスしたくなっちゃった。ちゅ~」
「だから、食べずら」
「な、何やってるの・・・お兄ちゃん、お姉ちゃん・・・・」
俺がチィ姉に犯されかけている所に、制服に着替え終わった美羽が後ろで見ていて唖然とした顔をしていた
チィ姉は美羽の存在に気付くと慌てて俺から離れて、苦笑いをする
「い、いや・・・あのね、美羽ちゃん!これにはふっかーーーいわけが」
「美羽、俺は襲われた立場だから」
「・・・・」
「美羽?」
「美羽ちゃん?」
「・・・・・初めて好きな人同士でキスしてる所を見た。凄い・・・」
「見せちゃった・・・きゃー」
「お、お姉ちゃん!どんな気持ち!!」
「恥ずかしいよ~も~」
美羽はチィ姉に問い詰めるように近づき、マスコミのごとく様々な質問をして、チィ姉は恥ずかしそうにしながらも律儀に答えては、2人で盛り上がっていった
「才色兼備な姉と普通な俺」を読んでいただきありがとうございます。
この場を借りて・・・。コメントの方で美羽はどうなの?というコメントのがありました。そのことに関しては今、書いている途中ですが予定では次の次ぐらい?に投稿しようかなぁと思います。もしかすると、知りたいこととは違うかもしれないですけど・・・(苦笑)
それではこれからもよろしくお願いします。