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第6話 変装はチィ姉直伝!!

 

「送信・・・っと。よし、終了」


 パソコンのモニターから目を離して、目頭を押さえる

 パソコンで書くのは楽だし早いけど、目が痛くなるのは辛い

 それに最近、視力も落ち始めている


 俺は自室から出て、リビングに行くと美羽は携帯で誰かとメールをしているみたいで、楽しそうにしていた

 美羽が携帯を触ることがあまり無い上に、こんなに楽しそうにしてるなんて一緒に住んでから初めてな気がする


「・・・彼氏?」

「ひゃ!?お、お兄ちゃん!!!」

「そんなに驚かなくても」

「み、見た?」

「いや、見てないよ。珍しいな、美羽が携帯楽しそうに触るなんて」

「う、うん・・・」

「まぁ、高校生だし楽しみなよ。あ、今から買い物行くけど何かリクエストは?」

「・・・・」

「美羽?」

「え?あ・・・ハンバーグ」

「この前食ったじゃん。ん~まぁ和風にしたらいいか。そういや、今日はチィ姉来るの?」

「お姉ちゃん?来るよ」

「ふ~ん、そっか。んじゃ行ってくるよ」


 コートを羽織ってドアを開けようとすると後ろから美羽が付いてきた


「・・・あの、美羽さん?」

「私も行く」

「いや・・・あのぉ・・・今、少し休業中とはいえ、トップアイドルのあなたが来るのは・・・」

「大丈夫!変装したから」


 サングラス、マスク、無駄に髪が長いカツラ、そして学校の制服

 これが美羽の変装なのだろうか?

 制服にサングラス+マスクは怪し過ぎて逆に目立ってる


「・・・本気で付いてくるの?」

「うん」

「携帯で暇つぶしは・・・」

「もうできないよ」

「・・・分かりました。とりあえずその変装はやめない?怪し過ぎるから」

「え?バッチリだと思ってるのに・・・」

「サングラスとそのカツラは止めよう、制服でそれは怪しい。マスクしてれば大丈夫だと思う」

「ん~・・・わかった。お兄ちゃんがそう言うなら」


 サングラスとカツラを取って、俺と美羽は近所のスーパーまで歩く

 スーパーまでに何人か人とすれ違ったが、見向きもしない

 アイドルが普通の制服着て、普通に歩いているなんて思いもしないだろう


 スーパーに着くと今日の夕食の和風ハンバーグの材料と今後の食事のためも物を買っていく

 キャベツ、ニンジン・・・豚肉、玉ねぎ・・・白菜、ネギ・・・


「・・・あ、最近魚食べてないな・・・って、おい」

「ん?」

「ん?じゃない。なんか重いなぁと思ったらお菓子入れすぎだって」

「え?」

「え?・・・って、この前いっぱい買ったから今回は買わないよ。返して」

「えへっ」

「笑ってごまかせると思うな。豆ご飯にするぞ?」

「嫌ぁ、それだけは止めて」

「それじゃ返してきなさい」


 美羽はしょうがなくと言った感じに数個お菓子を返しに行き、俺はその間にお会計へ行く

 これ以上、無駄なお金を使わない為に


「8590円です・・・9000円お預かり・・・・」


 店員さんはポケ~っとした顔で俺の横を見ている

 俺はその目線の先にあるものを見る


 俺の横にはマスクを外した美羽が立っていた


「ん?あ、マスクしてると息苦しくって・・・あ・・・」


 マスクをしていない美羽は、少し前に超が付くほどのスーパーアイドルだった小雪だ

 店員さんの見た目年齢は20少し、小雪を知らないわけがない


「・・・ちょっと向こうで待ってて」

「うん」

「ちゃんとマスクして」

「・・・ごめんなさい」


 とりあえず問題が大きくならないようにして店員さんに残りのお釣りをもらうように言う

 店員さんはものすごい慌てっぷりで小銭を渡してきたが、目は完全に美羽に向かっていた

 俺はお釣りを貰ってから、籠を持ってさっさと物をビニール袋に入れて、スーパーから出る


「美羽、帰るよ」

「あ、うん」

「・・・バレたよな?」

「ごめん・・・」

「まぁ別にいいけどさ。ここらへんに住んでるってことはすでにバレてることだし」

「・・・・」

「そんな気落とさなくていいよ。大丈夫」

「ううん、私は別にいいの。でも・・・お兄ちゃんが・・・」

「俺?」

「・・・お兄ちゃんのことバレたら」

「バレないでしょ。近くに俺と美羽のこと知ってて気づいてない人いるんだから」

「・・・」


 美羽は納得できていないのか、まだ申し訳なさそうな雰囲気を出しながら俺の横を歩いている

 しばらく、美羽と帰り道を歩いていると後ろから嫌なオーラを感じる

 このオーラはなんとなく誰だかわかるのだが、振り向く勇気が無い

 というより、振り向きたくないと言うのが心情だ

 しかし、そんな俺の儚い願いも虚しく、嫌なオーラは俺たちの方へ声をかけてきた


「やっぱり!九十九くんと美羽っちだ!!」

「真美ちゃん」

「真美先輩・・・」

「九十九くん、うわっめんどくさい人が来た・・・って感じは止めなさい」

「なんですか?」

「いや、暇つぶしに散歩してたら見覚えのある姿を見つけたから」

「そうですか、それじゃさようなら。美羽行こう」

「あ、これからご飯なの?食べに行っていい?美羽っち」

「ダメです。真美先輩の分無いです」

「私は美羽っちに聞いてるんだよ?九十九くん」


 真美先輩は美羽を引っ張っていき、コソコソと何かを話している

 俺はその風景を注意深く見ていると何かを見せたような気がした

 すると、美羽の身体がビクっと震えて、俺の方をチラッと見てくる

 目が合うと顔を赤くして目を背け、真美先輩が美羽を連れて俺の所まで来た


「美羽っちは来て良いよって言ってくれた」

「何見せたんですか」

「な・い・しょ。行こ~美羽っち」


 真美先輩は美羽の手を引いて、俺たちの家に向かう

 でも、真美先輩は俺たちの家に来たことが無いし、道も知らない

 手を引く方が逆転して、美羽が真美先輩を引っ張っていた


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