第5話 三者面談のお知らせ。
家に着くと美羽がソファに座りながら紙をじーっと見ていた
美羽は俺が帰ってきたことに気が付いていないらしく、静かに紙とにらめっこをしていて、俺はコッソリ後ろからテスト用紙だと思われるものを見ようと覗きこむと三者面談が行われるという知らせの紙だった
「きゃっ!お、お兄ちゃん!!」
「ただいま」
「おかえり・・・じゃなくて見た?」
「うん」
美羽は俯いたと思うとテーブルに置いてある紙をくしゃくしゃにしてゴミ箱に投げた
「今日はお姉ちゃん来るのかな?」
「さぁ?それよりゴミ箱に入ってない」
「気にしないで、あとで捨てるから」
「・・・はぁ。美羽はもっと可愛い子だったのに・・・チィ姉の影響が・・・」
「いいもん。私、お姉ちゃんみたいになりたいし」
「美羽は美羽でいいよ」
俺はゴミ箱に入らなかったくしゃくしゃの紙を拾い上げて、綺麗にしわを伸ばす
その姿を美羽は何とも言えないような表情で俺の方を見てくる
「・・・三者面談かぁ・・・いいよ、俺が行く」
「・・・来なくていい」
「なんで?」
「お兄ちゃん忙しいでしょ。私1人で良いよ・・・」
「そんな悲しそうな目で言われてもなぁ・・・本当に来てほしくないなら行かないけど、たまには1人で抱え込まずに俺に頼ってみれば?この家に住む時に言ったでしょ、もう1人で抱え込まずに俺に甘えてもいいって」
「・・・・」
「そりゃ今まで1人で何でもしてきたから人に甘えるのが難しいとは思うけど、ここでは俺と美羽は家族なんだから。な?」
俺は美羽の頭を撫でながら言うと美羽は小さく頷いてこっちを見てくる
「いいの?」
「もちろん、俺でよければなんでも行かせてもらうよ」
「・・・お願い」
「了解。んじゃ一応先生にも言っておいて」
「わかった」
俺はさっきの紙を美羽に渡してソファに座ってTVの電源を付けると美羽が横に座ってきた
「・・・とうね、お兄ちゃん」
「ん?」
「何でも無い。それよりね、今日テスト帰ってきたんだ。ほら」
カバンの中から美羽は紙を取り出して俺の方へ見せてくる
テストは数学で79点だ
「へえ、すごいな」
「お兄ちゃんに教えてもらったところ出たんだ」
「まぁ美羽の実力でしょ。それを覚えてたんだから」
「そんなことないよ~」
美羽は照れながらも嬉しそうに笑っていて、その笑顔を見ていると俺まで嬉しくなってくる
「そういえば、英語も今日返ってくるって言ってなかったっけ?」
「き、今日は返ってこなかったんだ」
「・・・まぁいいけど。いつかは返ってくるんだから」
「う・・・」
「別に怒らないから見せて」
「絶対に怒らない?」
「怒らない。どこをどう間違ったか見て、それをあとで一緒に解くだけだから」
「・・・・・」
美羽は渋々といった感じにカバンの中から紙を取り出して俺の方に渡してきた
俺はその紙を見ると、点数は55点だった
「・・・」
「・・・・」
「・・・まぁ全部書いてるし、解こうとしてるから上出来」
俺は笑いながら言うと、ほっとしたような顔をしてからニコッと笑った
「さてっと、俺はやることあるし何か用があったら呼んで」
「うん。わかった」
「美羽、ちゃんと宿題しときなよ」
「わ、わかってるよ!」
「あ、三者面談の前の公開授業見に行っていい?」
「私、それ出ないよ」
「なんで?」
「私行ったら学校が大変なことになっちゃうって先生が」
「あ~そっか・・・でも、見に行っていい?」
「ダメ!!!」
美羽は勢いよく立ちあがって俺の方を睨んでくる
そこまで学校に見られたくない物でもあるんだろうか?
そう考えるとドンドン行きたくなってくるのを抑えながら自分の部屋に向かった
「才色兼備な姉と普通な俺」を読んでいただきありがとうございます。本当に申し訳ないのですが、これから少し更新が遅れるかもしれません。
2日に1回更新から3日になるかもしれないですが、なるべく2日に1話をやっていきますので、よろしくお願いします。