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第70話 熱がある時はお粥かプリン

 

 俺は少し急いで自転車を漕いで家に向かう

 途中でコンビニによってプリンとドリンクを買っていく

 そして、しばらく自転車で走って家の玄関を開ける


「ただいま~・・・って反応できるわけないか」


 俺はチィ姉が寝ているチィ姉の部屋に直接向かう

 もちろん、入る前にノックをする


「大丈夫?チィ姉・・・って寝てるのか」


 チィ姉はおでこに冷えピタを貼っていて、少しだけ苦しそうな感じもしている

 チィ姉が寝ている間は特にやることが無いのでキッチンの方に行く

 キッチンには朝、俺が作ったお粥がそのまま置いてあった

 俺はそれを温め直して、自分のお昼にする


「・・・」


 特に考えることもせず、ただお粥を食べていると上の階から大きなドンッ!という音がした

 何が起きたのか分からず、とりあえず上の階に行く

 そして、少し心配してチィ姉の部屋に入る


「うぅぅぅ~・・・」

「うわっ・・・ベッドから落ちた人初めてみた・・・」

「うぅぅ~・・・あれ?・・・」


 チィ姉は俺の存在に気が付いたのか、俺の方をうつろな目で見てくる

 チィ姉の顔は赤く、呼吸も早くてかなりしんどそうだ

 俺はチィ姉を持ちあげてベッドに寝かす


「よいっしょ。大丈夫?チィ姉」

「ふーちゃん?」


 チィ姉の目の前を手で振ってみるが、反応が鈍い

 俺は近くに置いてある温度計をチィ姉に測らせ、ピピッと音が鳴って数字を見ると38℃まで上がっていた


「はぁぁ・・・もっと早く帰ってこればよかったかも・・・」

「うぅぅ・・・・ふぅ~ちゃん・・・」

「はいはい、ここにいるから。とりあえずご飯食べれる?」

「・・・ううん」

「だよね・・・、プリンは?」

「・・・・少しだけ」

「わかった。ちょっとだけ待ってて」


 俺は急いで冷蔵庫まで向かって、氷枕と買ってきたものを持ってチィ姉の部屋に行く

 チィ姉の首辺りに氷枕を置く


「気持ちいい・・・」

「チィ姉、はい。プリン」


 俺はスプーンでチィ姉の口元まで持っていき、食べさせる

 それをプリンが無くなるまで続けて、無くなると布団を掛け直す


「どう?枕、冷たすぎたりしない?」

「うん・・・大丈夫ぅ・・・」

「病院とか行く?」

「ううん・・・大丈夫ぅ・・・」

「そっか、それじゃ何かあったらこれ押して」


 俺は前に100円で買った呼び鈴をチィ姉の近くに置いて部屋を出ようとすると、手を掴まれた


「・・・どこいくの?」

「どこって俺がここにいちゃ寝にくくない?」

「いてほしい・・・」


 チィ姉はしんどそうに息をしながら目を潤ませ、俺を見てくる

 俺もそんな姿を見て、断るほど鬼じゃないし、近くにいた方が色々楽だからチィ姉が寝ているベッドの横に座る


「それじゃおやすみ、チィ姉」

「うん」


 しばらくは苦しそうにしていたが、ようやくチィ姉が寝た

 俺はチィ姉が寝ている間、何故か俺のお気に入りの小説がチィ姉の部屋に置いてあったのでそれを読む

 そして、時々チィ姉の汗などを拭いて、時間が過ぎていくとチィ姉が起きた

 しかし、寝た時よりも今の方が顔が赤く、少しだけ呼吸が浅く早い気がする


「温度測ってみようね」

「うん・・・」


 ピピッとなり、数字を見ると38.7℃だった

 俺はここまで来ると病院に行かせた方が良い気がするがチィ姉は病院に行くことを嫌がる


「嫌・・・病院・・・」

「わかった、病院行かないから。大丈夫だから」

「うん・・・」


 ホントは無理やりでも行かせたいのだが、今のチィ姉を無理に動かしても状態が悪くなるだけかもしれないのでチィ姉をベッドに寝かせる


「ふぅちゃ~ん・・・」

「ん?」

「冷えピタがぁ」


 チィ姉のおでこを見ると、横を向いた拍子にぺラっとめくれていた

 俺はそれを貼り直して、チィ姉の顔の汗を拭いておく


「本当に病院行かないの?」

「うん・・・」

「それじゃちゃんと寝ようね」

「うん・・・」


 チィ姉が目をつぶり、しばらくするとしんどそうな感じの寝息を立てながら眠る

 そして、時々うなされてたりしたときは、手を握ったりする

 そんな感じで何時間か経った


「どう?調子良くなった・・・って見るからに悪化してるね・・・」

「はぁ・・・はぁ・・・うぅぅ・・・」


 顔は赤くなって、呼吸も苦しそうに浅く早くなっている

 チィ姉はもう話すことがしんどいのか、俺の言葉を首だけで反応していた


「やっぱり今からでも病院行こうよ」


 チィ姉は首を横に振る


「それじゃ母さんの知り合いの人に来てもらおうか?」


 またチィ姉は首を横に振る


「早く見てもらわないと死んじゃうよ?」


 チィ姉は首を横に振って、ベッドから手を出す

 そして、俺を指差して頷く


「・・・あ~もしかして、大丈夫だから横にいろって?」


 なんとなくそんな感じがして言ってみるとチィ姉は首を縦に振った

 俺は自分の知らない治癒能力的なものがあるんだろうか?

 そんなバカなことを考えながら立ちあがる

 すると、チィ姉が俺の方を目を潤ませながら見てくる


「大丈夫、タオルとか取ってくるだけだから。お粥とか持ってこようか?」

「・・・・」


 チィ姉は少しだけ悩んで小さくうなづいた

 俺は部屋から出て、ボールに氷とか入れて、お粥を作ってチィ姉の部屋に行く


「おまたせ。ということで・・・食べれる?」

「・・・うぅ・・」

「ちょ、しんどいなら無理しなくていいよ」


 チィ姉はお粥を食べるために身体を起こそうとしているが、腕に力が入らないらしく中途半端な体勢で止まっていた

 俺は近くの机に持ってきたものを置いて、起き上がるのを手伝う


「さっきも言ったけど無理しなくていいから」

「・・・でも」

「病気の時ぐらいは頼っていいから、俺がちゃんと看病してあげるから。ほら、口開けて」


 俺は食べやすいようになるべく冷ましてからチィ姉に食べさす

 何度かその行為をしていて、お粥の中身が少し減ったぐらいでチィ姉は首を振る


「もういい?」

「・・・・」

「それじゃ薬飲もうか」


 チィ姉に薬を飲ませてから、ゆっくりと寝かせる

 そして、さっきまで貼っていた冷えピタを剥がし、水を浸したタオルをおでこの上に置く


 それから少し経って、深夜4時、俺は寝ずにチィ姉の看病をしていて、どんどん瞼が重くなってくる


「・・・マンガみたいにすぐ乾くとか無いんだ」

「うぅぅ・・・」


 だから、変なことを考えては眠気を払っている

 チィ姉の容態は少しずつではあるが良くなっていっている気がする


「ふ・・ちゃん・・・」

「あ、起きた?なんか飲む?」

「ぅん」


 チィ姉が寝ている間にコンビニで買った飲み物を飲ませる

 ついでに体温計も渡して、数分待つ


「ん~・・・もうピークは過ぎたかなぁ」

「・・・・・」

「汗拭いてね。これ、乾いたタオルと服」

「・・・拭いて」

「それは勘弁してください」

「なんでも・・・頼っていいって」

「それはそれ、これはこれ。しんどいだろうけど、ごめんね」


 俺は謝りながら部屋を出て自分の部屋に戻る

 何かしてないと眠すぎて倒れそうなのでシリーズ系の小説を読んでおく

 そして、30分ぐらい経ってからチィ姉の部屋に戻る

 チィ姉はちゃんと渡したパジャマに着替えてベッドの上で座っていた


「ふぅちゃん・・・ごめんね・・・」

「ん、何が?」

「色々と」

「気にしなくていいよ。それより病気を治そう」

「うん・・・」

「それじゃ治すために寝ようね」


 チィ姉をベッドに寝かせ、俺はさっきまで読んでいた小説を読む

 しかし、しばらく読んでいるうちに目の前がどんどん暗くなっていった


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