第7話 起きてすぐの自転車全力は結構シンドイ
楓目線に戻ります
俺が起きるとチィ姉と抱き合っている形だった
それになぜかチィ姉には涙を流したあとがある
とりあえず、チィ姉から少し離れて壁にかけてある時計を見る
「8時半か・・・今日もいいや・・・休も・・・」
どうせ学校に行っても、受験勉強をしている友達の邪魔になるだけだから行かない方がいい
それにまだ眠たい
俺はそのまま布団の中に潜り、再び目を閉じた
しかし、ふと俺の中で疑問が湧く
隣で気持ちよさそうに寝ているチィ姉は学校があるのではないのか?
俺とは違い、行った方がいいのではないのか?
そう考えると俺の眠気はどこかに行ってしまい、布団からガバッと起き上がる
「チィ姉!起きて!」
「ん〜・・・ふーちゃん・・・もうちょっと寝かせて・・・」
「ダメだって!起きなって!もう8時半だよ!」
「んん〜・・・」
チィ姉は首をフルフルと振っているが意味がわからない
首を振るのが終わるとムクッと体を起こして半開きの目で俺を見てくる
「・・・・・・」
「チィ姉?早くしないと学校遅れるよ!ん・・・」
「・・・えへへっ、ふぅ〜ちゃん」
じーっと俺の顔を見ているかと思うと、いきなり笑い俺の唇を奪った
「おはよう。ふーちゃん」
「・・・・おはよう。いきなりキスしないでよ・・・」
「おはようのチューだよ」
「はぁ・・・まぁいいや。それより遅刻するよ?」
チィ姉は時計を探して部屋の中を見渡し、見つけると慌てだす
「あわわわ、どうしよ!遅刻する!」
「だから言ってるじゃんか、それなのに寝ボケてたりするから」
「ふーちゃん!自転車の用意よろしくね!着替えてくる!」
チィ姉は急いで俺の部屋から出ていって、俺は適当に着替えて自転車のところでチィ姉を待つ
時々チィ姉は行くのがメンドクサイと言っては俺の自転車の後ろに乗って送らせることがあった
俺は「自分で乗っていけば?」とチィ姉に言ったことあるけど、チィ姉は自転車に乗れない
昔、自転車に乗る練習をしていたときに電信柱にぶつかり、それ以降、1人で乗ることはなかった
「ふーちゃん、おまたせ」
チィ姉は制服姿で俺の自転車の後ろに座る
「んじゃ行くよ」
「うん。れっつご〜」
俺は後ろにチィ姉を乗ったのを確認してこぎ出す
「早い早い〜」
「ちょ、そんな抱きつかないで。こぎづらい」
「だって〜ふーちゃん温かいんだもん」
「俺はカイロですか・・・」
ギュッと抱きつかれた状態で必死に自転車をこぐ
15分ぐらいすると、高峯学園が見えてくる
「チィ姉、そろそろ着くよ」
「ん〜・・・このまま学校さぼってデートしよっか?」
「それだけは勘弁して・・・俺が自転車全力でこいだ意味無くなるから・・・」
俺は高峯学園の校門の前に自転車を止めて、チィ姉を下す
遅刻ギリギリなせいか生徒は少ないけどチィ姉を自転車に乗せている俺のことを不思議そうに見て行く
「・・・着いたよ」
「うん。それじゃ行ってくるね」
「がんばって」
チィ姉は自転車から下りると、家にいた時の表情から外モードに変える
そうすると、顔まで変わったような感じで、キリッとした大人な感じになる
俺はそんなチィ姉を見ると、ちゃんと俺が言った通りしてくれているんだと安心した
チィ姉は学校の中に入っていくと、友達らしき人にあいさつされ話しながら中に入っていった
俺はそれを見届けてから家の方へ自転車を向け帰った