第66話 土下座の綺麗さは経験じゃない、センスで決ま(ry
「ごめんなさい・・・」
俺が気絶から立ち直り、起きあがるとすぐにチィ姉が土下座で俺に謝ってきた
その土下座はものすごく綺麗な土下座でつい携帯で写真を撮る
「わっ、なんで撮るの!ふーちゃん」
「・・・俺、まだ許してないんだけど?」
「うっ・・・ごめん・・・」
再びチィ姉は頭を下げる
そして、俺はその姿をまた携帯で撮る。あまりにも綺麗な土下座だったから
何枚か撮っているとチィ姉が立って、部屋の端っこに向かって歩いていく
「・・・・」
「チィ姉?」
「・・・う・・・」
「う?」
「う・・・うぇぇぇええええ~~ん」
チィ姉が端に着くと、俺から顔を隠すように体育座りをし、突然大声で泣きだした
それも嘘泣きと言う感じもなく、正真正銘のマジ泣きだ
俺はその泣き声に戸惑って、唖然としているとドアが開いた
「楓!!あんた千夏ちゃんを!!」
「ちょ!ちがっ!」
「言い訳は聞かない。今すぐ泣きやまさないと半殺しにするわよ?」
母の目は本当に怒っていて、半殺しも本気の目だ
もちろん、半殺しの意味は母特製のごはんを食べさせられ、半殺しではなく死んだ方がマシだと思う1週間の事なのだが・・・正直そっちの方が怖い
俺は全身に鳥肌が立ち、チィ姉の方へ走る
「ち、チィ姉。泣きやんで!ねぇ」
「うぇぇぇええええん」
「ちょっと、本気で泣いてないで。お願い・・・泣きやんで・・・」
「うぇぇぇぇえええん」
「は、早く・・・ね?さっきの写真は残してないしね?なんでもしてあげるから。ね?」
「うぇぇぇえええええん」
必死で俺は泣きやまそうと頭を撫でたり、背中を撫でたりして試行錯誤してみたがチィ姉はまったく泣きやむ気配が無く、むしろひどくなっていく
俺はどうしてチィ姉にあんな態度を取ったのだろうと後悔して、チィ姉がどうしてこんな泣くのか、そして後ろでポキポキと手を鳴らす母の存在で泣きそうだ
「チィ姉・・・ほんとにごめんね?俺が全部悪かったからね」
「うぇぇぇええぇん」
「・・・・決めたわ。今から作ってくるから覚悟しときなさい」
「ひっ!?」
「ちなみに逃げたら・・・・わかってるわよね?二度と家に入れないわよ?」
そう言って母は俺の部屋から泣いているチィ姉と心の底から恐怖に染まっている俺を置いて出ていく
それからは、俺もチィ姉の横でこれから起きる恐怖体験について考えながら心の中で泣いていた