第62話 …あれ?
心地よいベッドの中で寝ていた、数分前までは
しかし、さっきからガサガサと言う音が小さいながらも確実に鳴っていて、その音で目が覚めた
最初は風の音だと思っていたが、そんな感じでも無く、雨でも降っているのだろうかと外を見てみたが外は真っ暗で何も見えず雨も降っていない
そんな奇妙な音は俺の睡魔も吹き飛ばし、俺はベッドの中でそのガサガサと言う音を聞いていた
すると、一定のリズムで鳴り続ける音は睡魔を呼び戻してきて俺は夢の世界へと墜ちた
「・・・・ん・・・?」
それからしばらく経ち、時間も丑三つ時
俺は少しだけ横に違和感を感じたので、すごく重い瞼をちょっとだけ開ける
そこには何か大きな物体があり、頭もはっきり動いてないのでなんなのか分からない
何かは知りたいが、瞼が自然と閉じていき、再び夢の世界に墜ちた
あれから時間が経ち、寒さで目が覚めた
俺は近くにある時計を見ると6時半を指していている
「もう少し寝れるかな・・・・・・?」
再び布団を首辺りまで上げようとしたとき、横でモゾモゾ動く物体を見つけた
俺はまだ夢でも見ているのだろうかと思って頬を少しだけつねってみたが痛い
そして、なんとなく動く物体の頬もつねってみると痛いのかモゾモゾ動いている
「ううぅぅ・・・すぅ・・・すぅ・・・」
横でモゾモゾ動く物体は俺のベッドを半分占領し、さっきから俺の手を取り自分の顔に押し付けている
「・・・なんで?」
「すぅ・・・すぅ・・・」
「ちゃんとカギ閉めたはず・・・なのになんで・・・」
寝る前にちゃんとカギを閉めたことは確認した
どこからも入れないようにしたのに、なぜ昨日ここで駄々をこねたチィ姉がいるのかが、不思議で堪らない
チィ姉が俺のベッドを占領していることより、そっちの方が気になっていたので、あることを忘れていた
俺はそのことを思い出して慌てて再び時間を見る
さっき見た時間より10分過ぎていて6時40分になっていた
「チィ姉!!起きろ!!」
「んん~・・・ニヒヒ・・」
「起きろ~!!」
俺は横で眠るチィ姉の体を揺すってみるが、何故かチィ姉はニヤニヤと笑いだした
その姿を見ていると良いことを思いついた
俺はチィ姉の耳もとに向かって小さい声で「早く起きないとキスするよ」と言う
すると、チィ姉は一瞬ビクっと震え、さっきまで横向きで寝ていたのにも関わらず、突然仰向きに変わり、唇が少しだけ伸びた気がする
そして、頬辺りがほんのり赤くなった
「・・・・・」
「・・・・・起きてるね。さっさと着替えて」
「・・・・寝てるよぅ・・・すぅ・・・」
「寝てるなら答えるな・・・もう寝た振りはいいから早く着替えなよ。遅刻するよ!」
チィ姉は俺の言葉を聞くとガバッと起きて時計を見る
そして、ものすごく焦っているが、焦りすぎて手をブンブン振って口をパクパクしているだけだった
そんなチィ姉を見て、俺はため息をついてベッドから出て、チィ姉の部屋に向かい制服を持ってくる
「はい、着替えて。あと寝癖とか直す時間ないからこれ使って」
制服と俺のニット帽をチィ姉に渡す
そして、俺は部屋から出て、リビングに向かいパンを焼く
ちょうどパンが焼け、ジャムを塗り終わった頃にチィ姉が着替えて、自分の部屋から荷物を持って下りてきた
「ふ、ふーちゃん!間に合わないよぅ・・・」
「はい、パン。とりあえず、頑張ってみるから」
俺は外に出て自転車を取り出し、チィ姉の荷物を載せる
正直、載せているというより置いているの方が正しいが、とりあえず落ちないように支えながら行くしかない
チィ姉を後ろに乗ったのを確認して、ペダルを踏み込んだ
バランスを取るのが難しかったが、なんとか走る
「うぅぅ・・・間に合うかな?」
「はぁ・・・はぁ・・・そう願ってるよ」
数十分漕いでいると、ようやく学校が見え始めると校門前にバス何台か止まっている
俺は少しだけ安心して、最後の力を振り絞った
学校に着くと、なるべく校門近くの学校内からは死角になるところに自転車を止める
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「ありがとう、ほんっとありがとう。ふーちゃん」
「い、いいから・・・早く・・・はぁ・・・はぁ・・・」
チィ姉は泣きそうになりながら抱きついてきた
「外・・・離れて・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「ほんっとありがと、ふーちゃん」
別れ際に一瞬キスしてきて、急いで学校内に入っていった
俺は一瞬のことで何をされたか分からなかったが、時間が経つとチィ姉がしたことを理解して怒りたい気分になったが、もうチィ姉はそこにおらず、俺は1つため息をついてから家へと帰った