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第61話 チィ姉は立て籠もり犯

 

 文化祭も終わり、チィ姉の猫ファッション事件も収まって、何日か経った

 その間、大した問題もなく過ごしてきていたのだが・・・


「ふーちゃぁぁん・・・」

「いい加減泣くのやめたら?」


 俺の部屋でそれも俺のベッドの上でチィ姉がさっきから泣いている

 こんな状況になったのは1時間ぐらい前

 俺が勉強を済ませ、ゲームをしていると急に部屋に入ってきて飛びついてきたことから始まった


「だから嫌だって言ってるでしょ」

「ふぅ~ちゃぁぁ~ん・・・」


 チィ姉は高校生最大のイベント“修学旅行”のことで泣いている

 普通は喜ぶべき所なのだが、修学旅行期間が1週間ということで“俺に1週間会えない”

 だから、今日の夜は一緒に寝ようと言ってきたのを俺が断ったら今の状況になった


「だって1週間も会えないんだよ。私、死んじゃう・・・」

「死なない」

「死んじゃうよぉ・・・」

「死なない、人間そんなんで死なない」

「うぅぅ・・・」


 こんなやり取りが1時間近く経つ

 そろそろ俺は寝たいのだがチィ姉がベッドを占領しているため、寝られない


「そろそろ自分の部屋に戻りなよ、明日早いんでしょ」

「だから、ここで一緒に・・・」

「寝ない」

「うぅぅ~」


 チィ姉は人の布団を人質に取り、要求をしてくるがそんな要求は通らせない

 そして、勝手に眠らせない


「チィ姉、寝たらダメだよ」

「寝てないよ・・・」

「ほら、眠たそうな声してるじゃんか。早く自分の部屋に行きなよ」


 俺のベッドに立て籠もって、チィ姉を強行手段で引き離そうとすると、騒ぎ出した


「嫌~、嫌だ~、絶対ふーちゃんと寝るの!!」

「子供か!」

「子供だもん!16歳の子供だもん!」

「16なら甘えるな、早く出ろ」

「嫌~」

「楓!!うるさい!!」


 俺とチィ姉が戦っていると、急にドアが開き、母さんが怒りながら入ってくる

 そして、俺とチィ姉のベッド際の攻防を一瞬見てニヤリと笑った


「詳しく説明しなさい、楓」

「え、なんで?」

「いいから」

「・・・チィ姉が俺と一緒に寝ろと騒ぐ。そして俺は嫌なのでチィ姉は自分の部屋に帰そうと頑張ってました」


 詳しくはどうかは分からないが、十分理解できる説明をすると母さんは思っていた通りだったのか、チィ姉の方を見て来るように手で合図をする

 さすがのチィ姉も母さんには反抗できず、俺のベッドを名残惜しそうに離れ、母さんの所に向かい、コソコソと2人で話をする

 そして、話し終わるとチィ姉は俺の部屋から出ていった


「楓、千夏ちゃんは自分の部屋で寝るそうよ」

「え?・・・あ~よかった」

「ちなみにカギ閉めておいたほうがいいかもね、さっき夜這いしちゃえって言ってあるから」


 母さんはそれだけ言うと楽しそうに部屋から出ていった

 俺は言われた通り、ドアのカギを締め、一応窓のカギも閉めておく

 そして、十分安全を確認した上で、さっきまでチィ姉が立て籠っていたベッドで寝ることにした


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