表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/125

第6話 自分の気持ちに気がついた時

今回は千夏目線です

 朝起きると私の目の前にふーちゃんの寝顔があった

 私はまたふーちゃんのベッドで寝てしまったらしい

 

「んん〜・・・・スゥスゥ・・・」

「・・・ふーちゃん・・・」

 

 ふーちゃんは寝がえりをして、私に抱きつく形になった

 すると、ふーちゃんの匂いが私を包む

 そして、さっき以上にふーちゃんの寝顔が近くになった

 

 今は少し間抜けな顔をしているけど、あの時のふーちゃんの顔は凄くカッコよかった

 

 

 私が中学1年生の2学期、人生で初めて彼氏ができた

 その相手は同じ中学校の3年生

 学校の中では一番かっこいい人で人気者だった

 

 ある日放課後に呼ばれ、私は告白されて特に断る理由もなかったし、付き合うということに興味があったので付き合うことにした

 もちろん最初の方は楽しかった

 

 いつも皆に賢いからと羨ましがられた感じと違い、なぜか自分はこんなカッコいい人と付き合っているんだと優越感に浸ったりしていた

 

 でも、そんな時間は長いこと続かない

 相手は思春期の中学3年生

 少し雰囲気が出るとキスをしてこようとしていた

 

 私もそういうのに興味がなかったというのは嘘になるけど、その人とキスをしようとすると、ふーちゃんの顔が浮かんできて、キスはしなかった

 

 そしてある日、私は公園に呼び出される

 内容はなんとなくわかっていた

 だけど、不思議と悲しい気持ちというのはなかった

 

 しばらく待っていると彼が来る

 でも、彼は今までと違う感じで急にキスをしようとしてきた

 

「ちょ、ちょっとやめてください!」

「なんで?俺たち付き合ってるんでしょ?キスぐらい良いじゃん」

 

 そんなことを言って私に無理やりキスをしようとする彼だったけど、6時を知らせる音がするとパッとやめて、さっきまで私と彼しかいなかった公園の物陰から5〜6人出てきた

 

「はい〜俺たちの勝ち〜」

「くそ〜、すぐできると思ったのになぁ」

「あはは、バーカ」

 

 物陰から出てきた人と彼は親しげに話していて、私は急な展開についていけない

 するとそれに気がついたのか、彼が笑いながら説明し出した

 

「賭けしてたんだよ。お前とキスできたら5万もらえるはずだったんだ。それなのにお前全然させてくれないだろ?だから俺、5万損したよ。5万円分お前の体で払ってくれない?」

 

 私はその言葉を聞いて、体から力が抜けその場に座りこんだ

 別に言われた言葉にショックで座り込んだわけじゃなくて、ただそんなバカみたいなことに気がつかなかったことにショックだった

 

 彼以外の5人は私に近づいてきて私の肩に手を置いた

 

「やめてください!!」

「あはは、カワイイ」

 

 触られたことで現実に戻って、これからされることが怖くなって、叫んだけど今の時間帯に人はあまり通らない

 それにここは通りから見通しが悪く公園の中に入らないと見えない場所だった

 見ず知らずの男に囲まれ、彼氏であった男は携帯で誰かに笑いながら話している

 

 そのとき、私は何故か心の中でふーちゃんが出てきた

 

 すると私を囲んでいた男の1人が倒れた

 

「ぐわっ!」

「だ、誰だ!」

 

 私は何が起きたか分からないから顔をあげるとそこには見なれた後ろ姿があった

 そして、その人はこっちに振り向いて笑みを浮かべながら話しかけてきた

 

「大丈夫?チィ姉」

「・・うぅ・・・うん・・・ひっく・・・」

 

 なぜ涙が出るのかわからなかったけどさっきまで不安とか怖かったものがふーちゃんの笑みですべて消え去った

 

「ちょっとだけ待っててね、チィ姉」

 

 ふーちゃんはしゃがんで、涙を拭き取りながら小さな声で私に言って、そして再び男たちの方に顔を向けた

 

「誰?チィ姉泣かしたの?」

「お前だれ?くそがきは家に帰ってゲームでもしてろ」

 

 男の1人がふーちゃんに殴りかかっていったが、それより早くふーちゃんはその男を殴る

 そして、それが引き金で小学6年1人と中学3年5人の喧嘩が始まった

 

 もちろん勝てるわけがない

 

「くそガキが!喧嘩強くもねぇくせに調子こくんじゃねーよ!もう行こうぜ」

 

 男の人たちが倒れたふーちゃんに一発蹴ってからどこかに消えていった

 私はふーちゃんのところに急いで近づく

 すると、それに気がついたふーちゃんは私を見て喧嘩する前と同じ笑みで話してきた

 

「大丈夫だった?チィ姉」

「うん。ふ、ふーちゃんの方こそ大丈夫なの?」

「ちょっと痛いかな。口切れてるし・・・いてて。カッコ悪いね、俺」

 

 ふーちゃんは口を触りながら痛そうに笑ってくる

 その笑顔に私の心の中はある気持ちでいっぱいになった

 

 そして、次に気がついたときには私はふーちゃんにキスをしていた

 

「・・・」

「ど、どうして・・・」

 

 ふーちゃんは訳分からないという顔をしていた

 

「私、ふーちゃんのこと好きだったの・・・」

「・・・・・・それは弟としてでしょ?」

「最初は私もそう思ってたけど今わかった。私ふーちゃんのことが異性として好き。大好きなの」

 

 本当はもっと前から好きだったのかもしれない

 だけど、ずっと弟として好きだと思っていた

 だから、どうして私たちは本当の姉弟じゃないのだろうかと心から神様を怨んだこともあった

 だけど、今は感謝している

 もし、本当の姉弟ならこれは報われぬ恋だった

 だけど私たちは姉弟であって姉弟ではない

 

「ごめんね・・・こんなお姉ちゃんで。

 ふーちゃんのこと大好きだから・・・気がついちゃったの。

 もうお姉ちゃんとしてふーちゃん見れないよ・・・ひっく・・・

 これから色々甘えちゃうかもしれない・・・」

「よく分からないけど、いいよ。チィ姉が泣きやんでくれるなら甘えてきても」

「うん・・・ありがとう・・・」

 

 

 

 

 そこから私はふーちゃんに甘えるようになった

 キスしたいと思った時はしようと頑張った

 料理も一層ふーちゃんに喜んでもらえるように頑張った

 ふーちゃんが勉強で困ったときに教えられるように勉強も頑張った

 

 全部ふーちゃんのために

 

 

 今のふーちゃんは私をなんだかんだ言いながら受け入れてくれてる

 でも、ふーちゃんは私のことをどう思ってくれてるか分からない

 

 この前、お母さまが“ヤンデレ”という言葉が私に少し当てはまると言われたけど、それでもいい

 だけど、ふーちゃんにもし今後好きな子ができたら応援してあげたい

 それは私がふーちゃんのお姉ちゃんだから

 

 でも、今の間だけは・・・ふーちゃんに好きな子がいないと思う今の時間だけ甘えさせてね・・・ふーちゃん

 

 

 

 

 

 

 

 


初めて女の子目線に挑戦してみました

いけるかなぁと思ってましたが、意外と苦戦しました(笑)

それでは今日中にもう1話更新予定なのでそちらの方もよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ