第48話 死亡フラグ
彼がこう言った
「俺、この仕事が終わったら彼女に告白するんだ」
そして彼らは戦争という仕事場に向かう・・・・・・・
「はぁ・・・いつも思うけどこのセリフ言うと確実に死ぬよね・・・」
「え?何が?」
「いや、何でも無い」
横でミカンを食べていたチィ姉は首を傾げながら綺麗に白い所を取ったミカンを口に入れる
そして、もう一つ綺麗に白い所を取ると俺の前に出してきた
「食べる?ミカン」
「いらない」
「おいしいのに」
チィ姉はパクッと食べると前の扉を見る
「さっきから前のドア見てるけど何かあるの?」
「え?、ううん。はい、ミカン。あ~ん」
「いらない」
俺は再び本に目を戻す
それからどのぐらい経ったかわからないが、俺が本に集中していると急に辺りが暗くなった
「おわっ!!な、何!?」
急に暗くなったせいで何が起きたか分からない
ただ分かるのは辺りが暗くなって本が読めないことぐらい
「だぁ~~~れだ」
後ろの方から楽しそうな声が聞こえてくる
それも、急に暗くなったもんだから頭が追い付かない
「だぁれだ」
「だ、誰って」
少し冷静に考えてみると後ろから聞こえる声はあの人の声で、それもこんなことをするのは1人しかいない
頭が良くて、なんでもできるあの人
「本読めないから離してよ、チィ姉」
「ファイナルアンサー?」
「いいから早く離してよ」
「ファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサーだって、早く離してよ・・・ってあれ?」
2回目の「ファイナルアンサー?」と聞いてきた声はチィ姉の声と違う
けど、どこか聞いたことのあるような声だ
「はずれ」
頭の中が混乱している中で俺の視界は急に明るさを取り戻したため、モヤモヤする
そして、はっきりしてきたので後ろの方を見る
すると、そこにはTVでよく見る人とチィ姉が笑いながら俺の方を見ていた
「え、あ、あれ?小雪?あ、じゃなくて小雪さん」
「むっ・・・」
「ぷっ、あはははは。ふーちゃん、慌てすぎだよ」
俺の後ろの席ではチィ姉が笑っていて、小雪はなんだかものすごいキツイ目つきで睨んでくるが俺はなんで睨まれてるのかわからない
「な、なんでここに小雪さんが?」
「小雪さん・・・」
「あ~、ふーちゃん。有名人を怒らせた~」
「え、あ、すみません・・・じゃなくて!」
完璧に2人のペースについていけない
そんな戸惑う俺の姿を見ながらチィ姉は大爆笑している
小雪の方はまだ睨んでくるが、急に小雪の目から涙が流れた。
「あ~、ふーちゃん。女の子泣かした~」
「うぅ・・・」
「え!あ、すみません!」
「ひっく、酷い・・・」
小雪は手で顔を覆い、肩を揺らす
そしてチィ姉は小雪を抱きしめて、頭を撫でる
「酷いよね~、私もいつもこんな感じに苛められてるんだよ」
「ひっく・・・お姉ちゃん可哀そう・・・」
「苛めてないって!チィ姉嘘つくな」
突っ込んでみるがチィ姉は気にせず小雪の頭を撫でる
すると、パッと小雪が俺の方を見てきた
「お兄ちゃんはお姉ちゃんに謝るべきだと思うよ」
「そーだ、私に謝れ」
「勢いに任せて何言ってんの?チィ姉。・・・って、お兄ちゃん?」
俺のことを「お兄ちゃん」と読んだ人がいる
チィ姉は「ふーちゃん」と読んでいるので残る1人、小雪しかいない
しかし、小雪に「お兄ちゃん」と呼ばれることの意味が分からない
「あ、あの・・・どっかで会ったことあります?」
俺が小雪に問うとまたキツイ目つきで睨んでくる
そして、俺は訳がわからないという顔をしているとチィ姉と小雪は話出した
「ホントに私のこと覚えてないんだね」
「そりゃ、もう見た目は変わっちゃったもん」
「でも、お姉ちゃんはわかってたでしょ?」
「当り前でしょ」
「お姉ちゃん、大好き」
「私も~」
そう言って抱き合っている
「あの~・・・」
「あ、そうだった」
やっと俺の存在に気が付いたのか、小雪とチィ姉は俺の方を見てくる
そして、小雪が一枚の写真を渡してきた
「はい、お兄ちゃん。これ見れば思い出すと思う」
「はい?」
小雪から写真を受け取り、見てみると小さな子供が3人楽しそうに写っている
右側の女の子は満面の笑みで笑っていて、真ん中の男の子も右側の女の子ほどではないが笑っていて、左側の子は真ん中の男の子の服をちょびっと掴んでいて照れたような笑顔をしている
「ん~・・・あれ?・・・」
真ん中の男の子は俺の小さい時に似ている気がする
というか、たぶん俺だろう
ということは、右側の方で楽しそうに笑っている人はチィ姉の小さい時のだろう
そして、左側にいるのは・・・
「・・・これって美羽?」
「正解」
俺の左側にいるのは麻上 美羽と言って、小さい時によく遊んでいた近所、というか横の家にいた2つ下の女の子で俺、チィ姉、美羽とよく一緒に遊んでいた
でも、美羽が小学生に上がる時ぐらいに東京の方へ引っ越していった
「思い出した?お兄ちゃん」
小雪は後ろから抱きつくようにしてくるが椅子が邪魔で俺は首に抱きしめられ息が止まりそうになる
「懐かしいな~、まさかこんなところでお兄ちゃんとお姉ちゃんに会えるとは思わなかったよ」
「私も美羽ちゃんと会えるとは思ってなかったよ」
「は・・・はな・・・し・・・」
「お姉ちゃん、ホントに綺麗になったね」
「美羽ちゃんはもう有名人じゃない」
「偶然だよ~、お姉ちゃんもこっちに来たらすぐ有名人になれるよ」
「は・・・なし・・・て・・・」
「わっ!?ふーちゃん大丈夫?」
「あ、ご、ごめん」
「げほっ・・・げほっ・・・はぁはぁ・・・」
ようやく解放された俺は必死で体中に酸素を送ろうとしていているのに、後ろから揺らされたりしてるため、気持ち悪くなっていった