第41話 みんなにとっての夏休みは?
夏休み
普通の学生にとっては遅れた勉強を取り戻す時間、遊びまくる時間、だらける時間などなど様々なことをする長期休暇みたいなもの
そして、才色兼備で超ブラコンなあの人にとっては・・・
「チィ姉にとって夏休みってなに?」
「何?いきなり」
「なんとなく」
「ん~天国だね。だってふーちゃんと1日中一緒にいれるんだもん」
天国らしいです
「でも俺、明日から旅行に行くつもりだよ」
「えっ!?聞いてないよ、ふーちゃん!」
「だって言ってないもん」
「どこにいくの?」
「日本中」
「・・・」
チィ姉は冗談だと思ってるのか俺の方をポカーンと見てくる
「・・・ふーちゃん」
「ん?」
「悩み事でもあるの?」
「特に悩みは無いけど夏休み何もしないのも嫌だし、やること無いなら旅してみようかなぁって」
「ふーちゃん、宿題は?」
「ちゃんと持っていくよ。母さんも了解済みでお金も貰ってる」
「私の了解は?」
「なんでチィ姉の了解がいるのさ・・・」
「だって私はふーちゃんの姉でもあり、彼女でもあり、妻でもあるんだから」
「はいはい」
「あぁ~何その適当な返事は」
チィ姉は俺の返事の仕方が気に食わなかったのか、俺の頭を掴みぐるぐると回してきて目の前がグワングワンして気持ち悪くなってきた
そんなときに自分の部屋から母さんが出てきた
「あんたたち仲いいわね~」
「あ、おはようございます。お母さま」
「おはよう、千夏ちゃん。それ止めてあげないと楓吐くわよ?」
「え?あぁ!だ、大丈夫?ふーちゃん」
自分の顔が今どんなふうになっているかわからないが、目の前はぐらぐらと揺れていて、喉の辺りまで何かが来そうな感じがする
そんな俺をチィ姉は心配しているのか、それとも追い打ちをしてきてるのか知らないが今度は両肩を掴んで揺らしてくる
「ほ、ほんとにやめ・・・」
「大丈夫?ふーちゃん」
「うっ・・・ホントに・・・無理・・・」
あれから数分間、俺はトイレに引きこもって朝食べたものが流されていった
お腹の中はスッキリしたが、喉の辺りが気持ち悪く頭もまだクラクラしていて気分が悪い
俺はテーブルの方に座り、ベタ~っとだらける
テーブルの冷たい感じが気持ちよく喉の気持ち悪さも引いていく気がする
しばらくそういうふうにしているとチィ姉が横に座ってきた
「さっきはごめんね、ふーちゃん」
「うん」
「それで、さっきのことなんだけど・・・」
「妻とか彼女とかのやつ?」
「そっちじゃなくて旅行の方」
「あ~そっち」
「私もついていっていい?」
チィ姉は俺と同じような格好にして同じ目線の高さでお願いしてくる
意識していての目なのか、それとも無意識の自然な目なのかは知らないがものすごく断りずらい目だ・・・
「いい?」
「・・・母さんに聞いてよ」
「お母さまが良いって言ったらついていっていいの?」
「お金出すのは母さんだし、ついてくるだけならいい」
「ほんと?」
「迷惑かけないっていう約束つきだけどね」
「わかった、聞いてくるね」
チィ姉は嬉しそうに椅子から立ち、TVを見ている母さんの方に行く
そして、しばらく母さんと話をしてこっちに戻ってきた
「お母さまは良いってさ」
「ふ~ん」
「明日はどこに行くの?」
「どこでもいいよ、俺は。チィ姉はどこか行きたいとこある?」
「ん~私は・・・軽井沢にいきたい」
「軽井沢かぁ・・・遠いなぁ」
「ダメ?」
「ん~避暑にもなるしいいよ。そーいえば母さん、あそこらへんよく旅行行ってるよね?」
TVに集中して見ている母に聞こえるように大きな声で言うと、顔はTVに向けたまま返事をYESと返してきた
そして、見ていた再放送のドラマが終わったのか、こっちのテーブルに座ってくる
「軽井沢なら私の行きつけのホテルがあるわよ」
「んじゃそこにする?チィ姉」
「うん」
「それじゃ私が予約しておいてあげる。私お得意様だから今からでも予約入れられるわ」
「無茶苦茶だなぁ」
「何を言う、そこは私の別荘みたいなものなの。だから家に帰るようなものよ、だから安心してなさい」
母さんは自慢げに話すが勝手に母さんが思っているだけで向こうは普通の客人だと思っているのだろう、悪く言えば金づるだ
少し疑いながらも自分で予約するのめんどくさいので任せることにして明日を迎えた