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第34話 母さんの罠

「おかえり、楓」

 

 家に着いてドアを開けるとものすごい不気味な笑顔をした母さんが立っていた

 

「た、ただいまです」

「覚えてるわよね?楓」

 

 何を約束したのか覚えてないが、おそらく恐ろしいことだろう

 

「そういえば、千夏ちゃん元気になったわね。なんか千夏ちゃん、ふーちゃんと仲直りできた!って嬉しそうに話してたわよ~」

「ふ~ん、そうなんだ」

「そういえば千夏ちゃん、楓から話しかけてくれたって言ってたわね~」

「ん~よく覚えてないけど、そうなるのかな」

「それじゃ楓から話しかけたってのは本当なのね?」

「うん。でも、なんでそんなこと聞・・・・・あっ・・・」

 

 母さんはそれはもう獲物が罠にかかった時のように嬉しそうな顔をして俺の腕を掴む

 そして、俺はGW前に母さんと“俺から話しかけない”という約束を思い出した。いや、思い出してしまった

 

「それじゃ約束通り手伝ってもらおうからしね」

「い、いや俺勉強しないといけないから」

「いつでもできるわよ。そんなの」

「1週間後にテストなんだけど・・・」

「今訂正したら許すけど、もし嘘言ってたら量増やすわよ?」

「すみません・・・嘘です」

「よろしい」

 

 俺は母さんに完全敗北し、着替えて母の部屋へ行く

 部屋の中には母さんと母の仕事仲間の元気いっぱいな渋谷さん、無口だけ優しい雰囲気を持つ加賀さんが机に向かって仕事をしている

 

「あら?楓くん、また手伝い?」

「手伝わされるんですよ、渋谷さん」

「あはは、ご愁傷様」

 

 母の仕事は小説家兼漫画家(ペンネーム 星井鈴ほしい すずとして出している)

 詳しく言えば、本業は小説家。漫画家の方は趣味で時々出しているって感じだ

 本業の小説の方は出版した全6作品は大ベストセラー

 6作品のうち、2作品は映画化、ドラマ化、漫画化、アニメ化と社会現象まで起きた

 小説の印税は数億近くに及ぶが、ほとんど貯金。使うとすれば俺たちの生活費、ネタ探しという名の旅行などしか使わない。家自体も普通の家なので、まさかこの地域に社会現象まで起こした作家がいるとは近所の人も気が付いていない

 そして、趣味で作る漫画の方は同人誌。これは母さんの完全な趣味の世界なので俺とチィ姉は読まないようにしているがコミケとかいう祭りでは人気らしい

 

「んで母さん、俺は何をすればいいの?」

「そうねぇ・・・この原稿に誤字・脱字が無いか見て頂戴」

 

 母さんは俺にノートパソコンを渡してきて、画面を見ると文字があり得ないぐらい並んでいて目がチカチカする

 

「プロの人が見てくれるんじゃないの?」

「念には念によ。あ、あとそれ明日の夕方までに担当さんに渡さないといけないから」

「はぁ・・・明日は休み?」

「そ、学校には風邪引いたって言っといてあげるわ。あと千夏ちゃんにも手伝ってもらうからは2人で頑張って」

 

 母はそれだけ言うと渋谷さん達の方に向かい、他の物を寄せ付かないオーラを出して異世界に入っていった

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