第29話 最終日は?
GW最終日
今まで前半は俺の風邪で無くなり、後半はチィ姉の風邪で無くなった
そんな悲しいGWだったのだが最終日の今日は2人も元気になったのでショッピングに来ている
「これなんてどうかな?」
「いいんじゃない」
「それじゃこれは?」
「それもいいんじゃない」
「これは?」
「いいんじゃない」
「も〜ふーちゃん、ちゃんとした感想言ってよ」
「ん〜正直どうでもいい」
「それはダメ」
「正直に言えって言ったのそっちでしょ・・・」
俺とチィ姉はさっきから服屋を回っているのだが、すでに俺の両手は袋で塞がれている
「もうそれぐらいにしようよ、買うの」
「ん〜そうだね、・・・あ、ふーちゃん、男の人ってこういうの好きなんだよね?」
チィ姉は手にニーソックスの黒と白を両手に持って見せてきた
「皆が皆好きとは思わないけど好きな人はいるね、それ」
「そうなんだ。それじゃふーちゃんのために買っちゃおうっと、待ってて」
チィ姉は何足か選んで会計の方に行く
チィ姉は俺のためにニーソックスを買うと言っているが俺のためなら買わないって方が俺は嬉しい
だってどうせ俺が荷物持たないといけないんだから・・・
結局俺の予想通り、ニーソックス数足と何故か服が数着入っている袋も俺が持ち、そのあとも色んなところへ連れ回された
「ごめんね、ふーちゃん。全部持たせちゃって」
「別にいいよ」
「お詫びにクレープ奢ってあげる。・・・これください」
ちょうど近くにクレープ屋が来ていてチィ姉はその列に並ぶ
そして数分待って、ようやくチィ姉が戻ってきた
「ふーちゃん、おまたせ」
「今更だけど、外でふーちゃんって呼ぶのやめてくれない?」
「はい、ふーちゃん」
「・・・・どうも」
聞こえてないというか聞いてないのだろうけど、チィ姉の楽しそうな顔を見ているとそれ以上言えなくなりクレープを受け取る
「あれ?チィ姉のは?」
「ん〜・・・私はいいよ」
「ふ~ん」
チィ姉は羨ましそうにクレープと俺を交互に見てくる
そして、俺はそんな視線を感じながら一口食べる
ちゃんと俺の好み通り、中はチョコと生クリームだけ。シンプルな形だが好きなのだ
「・・・・」
「・・・・」
「ジー・・・」
「・・・た、食べる?」
「え!あ、いいよ。ふーちゃん全部食べなよ。私今ダイエット中だから」
「あ、そなの?んじゃ全部・・」
「・・・・ジー」
もしかしてチィ姉は自分の口で「ジー」と言っていることに気が付いていないのだろうか・・・
それともわかっていてやっているのだろうか・・・
どっちにしても、その姿はとってもバカっぽく見え、そして見られ続けているのでものすごく食べにくい
「やっぱり食べる?ちょっとぐらいならいいんじゃない?」
「うっ・・・そ、それじゃちょこっとだけ・・・」
チィ姉はそう言うとクレープを受け取り、本当に少しだけ食べた
しかし、少しでも食べてしまうと自分の欲求に耐えれなくなったのか一口、二口、三口と次々口の中に運んでいき、いつの間にか全部食べきっていた
「あ〜おいしかった〜」
「・・・・」
「やっぱりクレープだね、ふーちゃ・・・あ・・・」
「チィ姉はダイエットできない人だよね、絶対」
「う・・・ごめん・・・」
「別にいいけど、そろそろ帰ろうよ。最後の日ぐらいお粥じゃなくて豪華な食事作ろう」
「うん、クレープのお詫びに最高においしい料理作るね」
「期待してます」
こうして久々のチィ姉との買い物は終わり、夕食には手巻きずしを食べて、長く苦しかったGWが終わりを告げた
そして、俺はこの後にまさかあんなことが起きるなんて思ってもみなかった・・・・・・・ってのがベタな展開なんだろうけど、そういうのはやっぱり漫画だけだと思いながら夢の中に入っていった