第28話 チィ姉の大切な思い出
GW4日目のお昼
チィ姉の容態は結構治ってきたが、まだ咳やくしゃみなどをしていた
そして、鼻をかみ過ぎて鼻のてっぺんが赤くなっていてトナカイみたいになっている
「っくしゅん!!・・・はぅぅ〜・・・ふぅ〜ちゃ〜ん」
「はい、チーして」
昨日から何度やっているかわからない行為をして、ティッシュをゴミ箱に投げる
「うぅ〜暑い・・・汗かいた・・・」
「んじゃ濡れタオルと普通のタオル持ってくるよ」
俺はタオルを取ってきてチィ姉に渡し部屋を出る
そして自分の部屋に行って漫画などを調達してからチィ姉の部屋に戻る
もちろん「できた」という返事を聞いてから
「ふーちゃんはこの熊のぬいぐるみ覚えてる?」
チィ姉は昨日渡した所々縫って直した個所のある熊のぬいぐるみを見せてきた
「いや何なの、それ?」
「これね、ふーちゃんが小学2年生の時にプレゼントしてくれたんだよ。私の誕生日に」
「そだっけ?」
「ふーちゃんってば、顔赤くしながら“お姉ちゃんお誕生日おめでとう”って言って渡してくれたんだから」
「全然覚えてないや」
「それで、この抱き枕は小学3年生。あの頃はもうこのキャラ好きじゃなかったけど、ふーちゃんが一生懸命探してくれてプレゼントしてくれた時は嬉しかったなぁ」
チィ姉は昔を懐かしむように話しているが、昔の俺はそんな感じの子だっただろうか・・・
たぶん、多少チィ姉の妄想が入ってそうな気がするけど、渡したのは事実だから黙ることにした
「あとこの腕時計はふーちゃんが中学2年生のときかな」
「よく覚えてるね、そんなこと」
「当り前だよ、だってふーちゃんからもらったものだもん」
そのあとチィ姉は俺が今まで誕生日にあげたものを言っては懐かしそうにする
ほとんど俺は覚えてなかったけどチィ姉にとっては大切な思い出なのだろう
「・・・・そっか、それじゃ思い出話もここまでにしてチィ姉は寝ないとね。せっかく回復してきてるのに無理したらダメだよ」
「うん、わかった」
俺の言うことを素直に聞いて、チィ姉は寝転び目をつぶり数分経つとスゥスゥと寝息が聞こえてきた
ふと思い出したのだが、俺が中学に上がった辺りから誕生日プレゼントというものをチィ姉からもらった思い出がない
中1のときは確かチィ姉のキスで、中2のときもキスで、中3のときもキスだった気がする
もちろん、俺はそんなこと欲しいと思ったことなかったけど・・・