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第16話 放送部の秘密基地?

 俺たちが悠斗のパーティーに出てからしばらく時が経ち、GWの日が近づいてきていた

 そして、今日も相変わらず放課後は放送部の部室に向かっている

 別に何をするわけでもないので、部室には行かなくていいのだが、行かずに家に直帰するとチィ姉が帰ってきたときに嫌がらせ(俺が寝ているベッドに入ってくるなど)をされるため、できるだけ行くようにしていた

 

 

 放送部の部室は部員が少ないため、部室棟の最上階の端っこで行くのがメンドクサイ

 いつも通り階段を上って部室の前に行く

 

「・・・・なんじゃこりゃ?」

 

 部室のドアを開けようとすると、カギが閉まっていて紙が貼ってあった

 そこには

 −放送部員へ

 部室は放送室に変更になりました

 ただちに来るべし!―

 

 と書かれてある

 

「放送室ってどこだ・・・」

 

 この学園に入学してから1カ月近くが経つが、放送室なんて一般生徒が使わないところは知らない

 とりあえず部室棟から出て、職員室に行き担任の久美先生のところに行く

 

「久美ちゃん、放送室ってどこですか?」

「おぉ〜これはこれは優等生の九十九くんじゃないか」

「放送室はどこ?」

「スル―・・・あれ?放送室ってことは九十九くんは放送部なの?」

「そうですよ」

「珍しいな・・・ちーちゃんが部員入れるなんて・・・まぁあとで聞きだそっと。

 ちなみに放送室はこの階の一番右の部屋だよ」

「ちーちゃんってチィ・・・千夏先輩のこと知ってんですか?」

「だって私、放送部の顧問だもん。名前だけだけど」

「へ〜そうだったんだ。それじゃ俺は行きます、教えてくれてありがとうございました」

「いいってことよ〜。あと高峯姉に今度顔出すって言っといて」

「了解です」

 

 俺は職員室から出ると久美ちゃんに言われた通り、一番右の部屋に入ると、チィ姉と沙羅さんと悠斗がいた

 そしてチィ姉は飛びついてくる

 

「やっと来た〜ふーちゃん待ってたよ〜」

「飛びついてこないでよ・・・今日からここが部室になるんですか?沙羅さん」

「そうだぞ、あそこじゃ設備がないからな」

「設備って何かするんですか?・・・チィ姉ちょっと離れてよ、重い」

 

 チィ姉を引き離そうとするが、しつこく俺の腕にしがみついてくる

 それを見ているのか見ていないのか、悠斗は奥の部屋で何かをしていて、沙羅さんは雑誌を見ながら俺たちのことなど気にしていないみたいだった

 

「この前言ったじゃないか、ラジオをするって」

「あれって冗談じゃなかったんですか?・・・チィ姉、今すぐ離さないと怒るよ」

「千夏、そろそろ離してあげな、あと冗談じゃないよ。今から計画立てるんだ」

 

 チィ姉は俺が何度言っても離さなかったのに沙羅さんが言うと素直に離してきたが、まだピッタリと横についている

 

「あ、そうだ。忘れてました、久美ちゃんから沙羅さんに伝言です」

「ん?なんだ?」

「えっと、そのうち顔出すって言ってました」

「そうか、そういえば顧問久美ちゃんだったな・・・まぁいいや、計画立てよう」

 

 雑誌を読み終わったのか、ポイっと投げて悠斗がいる奥の部屋へと入っていった

 俺とチィ姉もそれに続いて放送室の奥の部屋に入るとかなり広めの部屋で、ソファ、大きいテレビ、コンポ、ゲーム、漫画・雑誌と色んなものが置かれていて、ここで誰か暮らしているのでは無いか?と思うぐらいの部屋があった

 

「・・・・なんですか?この空間は」

「ここは私のプライベートルームだ、これからは放送部の部室だけどな」

「秘密基地みたいでしょ〜。沙羅は授業さぼってよくここで寝たり雑誌読んだりゲームしたりして時間つぶしてるんだよね」

「ああ、楓太くんも使っていいぞ」

「楓くんはそんなことしないよ、姉さん」

 

 さらに奥の部屋から出てきた悠斗がカップを持って出てきた

 意味がわからない・・・

 

「そりゃ残念だ、授業の合間に楓太くんに恋のアタックをしようと思っていたのだが・・・」

「あー!!!沙羅もふーちゃん狙ってるの!!ダメだよ!ふーちゃんは私だけのものなんだから!」

「いやいや、チィ姉のものじゃないし、誰のものでもない」

「え・・・ふーちゃんは私のものじゃないの?だって好きって言ってくれたじゃん。それに一緒にお風呂にも入ったし、ベッドの中で抱き合った仲でしょ・・・」

「ちょっと!誤解生むような発言やめ!全部そっちが侵入してきたやつでしょ、それ」

「違うよ!私をギュって抱いてくれたり、お風呂でふーちゃんの背中流してあげたでしょ」

「ギュっと抱いてくれたり、ってそれ寝がえりの時に偶然でしょ!あとお風呂場って脅してきたから・・・って沙羅さんも悠斗もそんな冷たい目で見ないで・・・」

 

 チィ姉が軽く暴走し出し、沙羅さんと悠斗は俺の方を見て、かなり冷たい目+引いた感じで見てくる

 

「ま、まぁ・・・楓くん、僕は気にしてないから」

「あ、ああ。私も気にしていない」

「そんな目で言われても悲しくなります・・・もう始めましょうよ、ラジオするんでしょ・・・」

 

 2人の微妙なフォローのおかげでさらに凹んでしまったが、これ以上この話を引っ張るとさらに落ち込んで学校に来れなくなりそうだから自ら話を変えていく

 そして、その作戦は成功してちゃんと会議っぽくなり、次々と計画が決まっていく

 

「パーソナリティはどうするんですか?」

「そうだなぁ・・・楓太くんと千夏でいいんじゃないか?なんか面白くなりそうだし、楓太くん声がいいからな」

「もぉ〜沙羅わかってるなぁ。私とふーちゃんが組んだら横に出るものないよ」

「嫌です」

「えぇ〜なんで〜私と嫌なの?」

「だって、チィ姉盛り上がりすぎてバレそうですし、やるなら悠斗とのほうがいいです」

「悠斗は機械の方をしてもらうから無理だな・・・・ん〜」

 

 沙羅さんは前髪をくるくるいじりながら何かを考えていると思えばニヤ〜とニヤケ出して目が怖い

 

「・・・私と組むか?それで楓太くんの恥ずかしい過去とか調べ上げてバラすコーナーを作るんだ」

「チィ姉とさせてもらいます」

「それじゃは楓太くんと千夏でOKだな」

「さんせ〜い」

「僕もそれでいいですよ」

「・・・・」

「ちなみに放送時間は6時間目が終わる16時〜18時までの予定だ」

 

 高校生2人が2時間も話し続けるのは難しいのでは?と思うがよくよく沙羅さんの話を聞いていくと、学生からリクエストなどを取ったり、音楽を流したりするから適当に話してたら2時間なんてあっという間だと言っている

 

「でも音楽流すのって著作権とかうるさいんじゃないんですか?」

「ん?そこらへんは大丈夫だぞ、高峯の名を使うから」

「さすが沙羅だよ」

「ほめてくれてどうも。で、あとはラジオの宣伝なんだが・・・」

 

 高峯の名を使えばできないことはない。とまぁすごい財力に任せてやっているのだが悠斗もコーヒーを飲みながらパソコンをカタカタ叩いていて、目が合うと少し困ったような笑い方をして再びパソコンに目を戻す

 悠斗の笑みは「姉さんはこんな人なんだよ」とでも言いたそうな笑みだった

 

 

 

 


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