第15話 袋の中身は?
「姉さんはいつもこういうパーティー逃げ出すんだ・・・」
悠斗が俺たちのところに来ると愚痴りだした
「なんか挨拶してくる人たちの目が気に入らないらしいんだけど・・・」
「まぁまぁ悠斗くん、ご飯食べようよ」
「ありがとうございます」
チィ姉はテーブルから皿を持ってきて悠斗に渡した
「それにしても、あの大人の人たちは何なんだ?」
「あれは父さんの会社関係の人だよ。あそこで飲み物飲んでる人は確か国会議員だったかな?」
「へ〜すごいなぁ・・・あんな人に頭下げられる悠斗って」
「そうでもないよ、皆僕が後継ぎだと思ってるから頭下げてるだけだよ」
「そんなもんなんだなぁ・・・」
さっきまで悠斗のことを羨ましいと思っていたけど、今はなんとなく今のままのほうがいいと思える
そんな自分を利用しようとする大人を小さいころから見てきたからこそ、今のような大人っぽい悠斗がいるのかもしれないけど
「悠斗さま、おつかれさまです」
「うん」
気がつくと悠斗の後ろにチィ姉の着付けをしてくれたメイドさんがいた
「あ、さっきはありがとうございます、加奈さん」
「いいえ、千夏さまはスタイルが良いですから私も衣装選び楽しかったですよ」
加奈さんは微笑んでお礼を言って、ポケットから薬っぽいのを出した
「悠斗さま、時間ですので」
「そっか、ありがとう」
悠斗と加奈さんは息の合った動きで、薬を渡して、水を渡して・・・っという動作をしていた
それが俺には主人とメイドの関係以上に感じてしまった
「悠斗・・・その加奈さんとどういう関係?」
「え?」
「いや、なんとなく思っただけだから気にしないで」
「・・・・・うん。それじゃ加奈さん、楓くん、千夏先輩、僕はまだ挨拶の続きがあるので」
薬を飲み終わると悠斗は再び大人たちの中に入っていく
「加奈さん、悠斗君は小さい頃からあんな世界に入ってたんですか?」
「そうですね、悠斗さまは7歳の頃からよくパーティーに出てらっしゃいました」
「沙羅さんはどうだったんですか?」
「沙羅さまも悠斗さまと出ていましたが10歳頃に出なくなりましたね。私はあーいう大人たちが嫌いだって言って」
加奈さんは昔のことを楽しそうに話していた
でも悠斗たちが5歳の頃には加奈さんは居たとなると加奈さんは何歳なのか気になってそのあとの説明は頭に入らなかった
加奈さんが自分の仕事に戻ると、チィ姉はまたテーブルの方に行って自分の皿にいっぱい乗せては俺のところに戻ってきて食べるの繰り返しをしていた
1時間ぐらい経つと、アナウンスでパーティーの終了をお知らせがあり、次々と人が出て行く
しばらくその流れを見ていると悠斗が来た
「楓くん、千夏先輩、おつかれさまでした。楽しめましたか?」
「うん、楽しかったよ〜」
「うん。楽しかった」
「よかった。それじゃ着替えましょう」
俺とチィ姉は悠斗についていって、途中で加奈さんがいたのでチィ姉と別れて俺と悠斗はさっき着替えた部屋で着替える
「今日は送らせてもらうよ」
「いや、別に数十分ぐらいだし、別にいいよ」
「でも・・・」
「悠斗も今日は疲れているだろ?大丈夫だって」
「ん〜・・・」
「それじゃ、今日パーティーに出てた料理持って帰ってもいいかな?」
「それはたくさん持って帰ってもいいけど・・・ホントに送らなくていいの?」
「ああ、大丈夫。それじゃチィ姉が来る前に料理もらっておくよ」
「わかった、こっちだよ」
俺は悠斗に調理場まで案内してもらって、たくさんの料理をもらいチィ姉が来るまで玄関で待つことにした
「それにしても、こんなにもらってよかったのか?」
「いいよ、あとで僕も食べるけど、どうせ食べきれないし持って帰ってくれたほうが嬉しいよ」
「ふ〜ん、てっきり捨てるものかと思ってたよ」
「あはは、もったいないよ。それにパーティー中は食べられないことが多いから、あとから皆で食べたりするよ」
「へぇ〜そんなもんなのか」
「ふーちゃんと悠斗くん、おまたせ」
チィ姉が制服姿で片手に袋をもちながら来た
「それじゃ楓くん、また明日」
「ああ、また明日」
「ありがとうね、パーティー呼んでくれて楽しかったよ〜」
「いつでもお呼びしますよ、それじゃおやすみなさい」
俺は家まで帰っている途中、チィ姉のもっている袋のことを聞いてみるとかなり嬉しそうな顔で「メイド服!」と叫んで、何度も見たい?見たい?と聞いてきた
シルバーウィーク中、更新できなくてすみませんでした。
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