第12話 部員は4人だけ?
俺が何もしない部(今後ラジオ放送をする予定)、放送部に入って一週間が経った
「こんにちわ」
「ふーちゃんだ〜」
「楓太くん、悠斗はどうしたんだ?」
「なんか先生に呼ばれて、俺だけ先に来ました。それに俺は楓です」
「そうか」
沙羅さん俺の名前をこのままどこかのレッサーパンダと同じ名前だと勘違いし続けるのだろうか・・・
俺は部室の中にある椅子に座ると近くにチィ姉が横に座ってきた
何か言おうかと思ったが、言うと何かまた嫌なことが起きそうなので言わないでおく
「そういえば、1週間来てますけど、他の部員いないんですか?」
俺がこの部室に来るといつもチィ姉と沙羅さん、そして悠斗と俺しかいない
「それは君のお姉さんが厳選しているからな」
「はい?」
「だから、部長が気に入った人しか入れない特別な部だからだ」
「なんですか・・それ?」
詳しく聞くと、チィ姉はこの学校でも人気があるらしい
そして、気分で作ったこの放送部に大量のチィ姉目的な入部希望者が殺到し、その部員を入れていくと恐ろしい人数になるため、部長であるチィ姉が気に入る人を沙羅さんが探して、それをチィ姉に見せてOKが出たら入部ができる
「ということだ」
「へぇ〜沙羅さんは入れたんですね」
「当り前だよ。ふーちゃん、本当の部長は沙羅なんだから」
「意味がわからないんだけど・・・」
「まぁ気にしなくていいよ。楓太くん」
沙羅さんはそう言って雑誌を読み始めた
そして、しばらくして悠斗が入ってくる
「こんにちわ〜。あっ楓くん来てたんだ」
「うん。来ないとあとがうるさいからね」
「あはは。大変だね」
悠斗には入部したその日に現場を見られてしまったので隠す必要性はなくなり、沙羅さんがその場で俺が家でチィ姉に何されているかをバラされた
悠斗は指定位置となっている出入り口から一番近い椅子に座った
「あ〜悠斗、母さんが今日なんかあるから準備しとけって言ってたよ」
「うん、わかった。どうせパーティーかなんかだと思う」
「またか・・・好きだなぁ」
前で繰り広げられる沙羅さんと悠斗の会話に俺は不思議な顔をしていたのか、横で俺にくっ付いているチィ姉が2人の会話の中に入っていった
「2人とも〜ふーちゃんがわからないって顔してるよ」
「楓太くんは知らなかったのか、私と悠斗は姉弟だよ」
「え?あ〜確かに似てると言えば似てる・・・」
「普通、苗字で気がつかないか?高峯なんて珍しい名だろ?」
「あ、沙羅さんの苗字 高峯だったんですか」
「ひどいな・・・この学校じゃ有名なんだが・・」
「あ、すみません」
沙羅さんは対して落ち込んだ風なことを見せず、雑誌に視線を戻した
そして、悠斗が補足説明をする
「高峯ってどこかで聞いたことない?楓くん」
「高峯?・・・・この学校の名前か・・・って、えぇ!本当!?」
「なんだ今まで気がついてなかったのか?楓太くんは」
「みたいだね。まぁわかってたんだけど」
確かこの学校の理事長は高峯というお爺さんで、その息子は巨大企業を一代で作り上げ、投資家としても有名な人で、噂では個人資産は数兆円とまで言われている大金持ちだった気がする
「ってことは悠斗は超金持ち?」
「そうなるのかな?」
「そうだよ〜沙羅の家すっごい大きいんだから」
「大したことないだろ、あんな家。悠斗の家の方が大きい」
「僕はお母さんと暮らしてるからね。ちょっと大きすぎるけど」
今まで他のクラスメイトは悠斗と話す時、なんとなく変で何か恐れているような尊敬しているような目をしていたと思ってたがやっとわかった
悠斗と沙羅さんはこの学校の理事長の孫
そして、日本、いや世界も動かせるほどの資産を持つ親の子供だった
「なんというか・・・すごいな、悠斗は」
「そうかな?父さんが凄いだけだと思うけど」
「何言ってるんだ?悠斗はそれを継ぐんだろ?」
「姉さん、それはまだ分からないよ。姉さんが継ぐかもしれないし」
「私は無い、断固お断りだ。私は爺さんの位置を狙っているんだから」
「また・・・姉さんの方が頭良いんだからやればいいのに」
悠斗と沙羅さんはもめているが俺たちとは別世界の話だった
俺とチィ姉はお互い目を合わせて一つため息をついてから2人の話を聞いていた