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第31話 流れ出す時

 

 俺はスーパーから買い物を終え、家に帰ると沙羅さんがリビングで雑誌を読みながらくつろいでいた


「おかえり、楓太君」

「な、なんでいるんですか・・・」

「私は一応大家だから、部屋のカギぐらいは持っている」

「それはどうでもいいんですけど、なんで沙羅さんがここにいるんですか?チィ姉のマネージャーしてなくていいんですか?」

「今は悠斗に任せてるんだ、まぁここに座って。今から重大な事を教えてあげよう」


 俺は少し疑いを持ちながらソファに座り、話を聞く


「楓太くん、君と千夏の関係がマスコミにバレた」


 沙羅さんは雑誌を読みながら、特に興味も無いように言った

 というか、この状況は俺のことを知っている人はほぼ全員がこうなることを予想はしていた

 だから俺も沙羅さんから言われたときも「そっか」と思うしかなかった


「それで、チィ姉はどうするんですか?」

「とりあえず、仕事は続ける。変に休み入れたら怪しいからね」

「俺はどうすれば?」

「どうもこうも・・・君は一応一般人だから顔は隠されてるよ。ほら」


 沙羅さんは読んでいる雑誌を俺の方に渡してきた

 俺はそれを見ると、チィ姉の手を引く男性の写真、本屋の中で並んで話している写真、山の頂上で椅子に座りながら仲良く話している写真が映っていて、全部男性の方は顔モザイクされている

 そして、記事の方には“千夏に彼氏発覚!?夜中の密会デート?!”と古臭いタイトルで、男性の簡単なプロフィールも書いてあった


「これ、いつ発売の奴ですか?」

「明日だな」

「へぇ・・・。大学生・・・どこにでもいるような男性・・・一般人・・・高校の時に同級生だった・・・。最後のはおしいですね」

「どうせ、小さな情報源から適当に書いたんだろう」

「でしょうね」

「それで?君はどうするんだい?」


 沙羅さんはコーヒーを飲みながら、さっきとは真逆の俺の反応を少しでも見逃さないような目で見てくる

 俺は少しだけ考えてみたがあまり良い案は浮かばなかった


「今は何も思いつかないですね」

「・・・そうか、良いんじゃないかな。こんな噂なんて早くて数週間で無くなる」


 沙羅さんは残りのコーヒーを飲み干すと立ち上がり玄関の方へ向かう

 そして、靴を履いてドアを開けてから振り向いた


「まぁ千夏がそれまで耐えれるか分からないけど。それじゃ私は行くよ。

 何かあったら私か悠斗に言ってくれ」


 そう言うと沙羅さんは出ていく

 俺はその後ろ姿を見て、今後どうするかと考えながら家の中に入り、パソコンの電源を付けて仕事を始めた




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