第22話 漫画の影響力はバカにできない?
会うのは何年振りだろう?
俺が小学6年の時に別れて、それからずっとだから、もう7年近くだろうか?
俺は待ち合わせ場所の駅前で待っていると、次々と人が駅から出てくる
その人たちを見ていると待ち合わせの相手が俺の前に立った
「え~っと・・・楓か?」
「それが7年ぶりに会う息子への一言目か」
「いやぁ~違いすぎて分からんかった」
「どうでもいいけど、仕事は?」
「なんとか休みを貰ったけど夕方にはここを出ないといけないんだ」
「相変わらず・・・まぁいいや。母さんから伝言、今度帰ってきなさい。だってさ」
「ん~・・・次いつ休み取れるかわからんしなぁ」
「とにかく早めに帰った方がいいと思うよ?俺と会うって言ったら怒ってたから」
「うっ・・・電話しておこう」
父さんは頭を掻きながら携帯を取り出して、母さんに電話をする
しばらくは楽しそうに話していたのだが、少しするとペコペコと頭を下げ始めた
この様子だとものすごく怒られているのだろう。
たぶん母さんも話すのは半年とかそのぐらいだから、色々と話したいこと(文句)もあるんだと思う
父さんは俺が小6の時に家を飛び出し、アメリカのとある病院に行った
急なことだったから俺も母さんも怒っていたけど、2週間もするとどうでも良くなった
というか、元々日本にいた時も、心臓外科の権威とかなんとかで病院に泊まりっきりだったから普段の生活と変わらないことに気が付いたと言うべきだろう
まぁあとからなぜ父さんがアメリカに行ったかと言う理由を聞かされた時は俺も母さんも怒りが噴き出して電話で怒鳴ったことは良い思い出
なんせ、理由がチィ姉が俺の部屋から持ち出した漫画を父さんが読んで、その漫画の影響を受けてしまったから。こんな理由を聞いて怒らない方がおかしい
「すっごい怒られた・・・」
「当り前でしょ。離婚しないだけでもありがたいと思わないと」
「だなぁ・・・。さてっと、それじゃ夕方までだけど何する?」
「何するって・・・父さんお金あんの?」
「・・・あ、変えるの忘れてたな」
父さんは財布の中を見るとドル札しか入ってなくて、カードも無いってない感じだ
俺はため息を吐きながら自分の財布の中を確認して、今日遊べる分のお金があることを確認する
「俺持ってるからいいよ。とにかくどっかの店に入ろう」
「すまんな、楓」
「別にいいよ」
俺と父さんは駅前から近くのファミレスに入って席に座る
そして、適当に注文してからちょっと早めの昼ごはんにした
「それにしても・・・大きくなったなぁ楓。今大学生だっけか?」
「うん。2年」
「はぁ・・・時が経つのは早いなぁ。そういえば千夏ちゃんはどうなんだ?」
「チィ姉は・・・あ、ほらTV見たらわかる」
ちょうどTVのCMでチィ姉と小雪がこのファミレスのCMをしている所だった
父さんはそれを見て何度も目を擦って確認する
「有名人になったのか?」
「うん、日本で知らない人たぶん居ないぐらい有名になった」
「いやぁ・・・それ星井さんたち聞いたら驚くぞ・・・」
「知ってるよ。CDとか出たらチィ姉が送ってるから」
「俺だけ知らなかったのか・・・」
「・・・元々チィ姉はそういう才能みたいなのがあったし、別に知らせる意味は無いかなぁと」
「まぁ千夏ちゃんは何でもできたからなぁ」
父さんはそう言いながらコーヒーを飲んで再びTVの方を見る
俺が小6で居なくなった父さんはチィ姉がブラコンだったことはたぶん知らない。
出ていって、しばらく経った時からだったから
俺は話そうか話さないか迷った結果、過去のことを今話すと嫌な気持ちになるため黙ってることにした




