第20話 勝負宣言
「それじゃまた暇な日に」
「うん。輝くん、お幸せに」
「あいよ」
照れくさそうに笑って手を振って駅の中に入っていった
いつまでもあの2人は仲良くやっていくんだろう。お似合いだし、お互いのことを何でも知っている
それにいつも一緒にいて安心できる人だろうから
10時近くだったので、家に向かって歩く
今日は美羽も特別な用事とかで遅くに帰ってくるって言っていたし、仕事の締め切りもそろそろ近くなってきている。それに専念しようと思いながら家に向かった
夜12時
帰ってくるのが遅くなるって言っていたけど、いくらなんでも遅すぎる
俺はパソコンの手を止めて、美羽にメールを打とうとするとドアの開く音がした
俺は玄関に向かうと疲れ切った美羽が座り込んでいた
「あ、ただいま。お兄ちゃん」
「遅かったけど何かあった?」
「ん~・・・ちょっと待ってね」
美羽はそういうと携帯を取り出してメールか何かをし出す
そして、すぐに返信が返ってくると美羽は深呼吸をして俺の方を見てきた
「あのね、お兄ちゃん」
「ん?」
「私ね、芸能界に戻ることにしたよ」
「・・・いいのか?」
「うん、決めたことだから。それでね、私は小牧さんの所で住むことにした。
これ以上お兄ちゃんに迷惑かけられないし・・・これからはお兄ちゃんの横にいると私おかしくなりそうだしね、えへへ」
「いきなりなんで」
「ううん、実は前から決めてたことなんだ・・・
本当は手紙でって思ってたけど、やっぱり口で伝えた方がいいね。
私ね、この前お兄ちゃんのこと諦めるって言ったでしょ?
やっぱりあれ止める!今のお兄ちゃんとお姉ちゃん見てたら隙だらけ。
変な間があって、前みたいに私が入れないなんてことが無い気がするんだ。だから私、ここで宣言するね?私はお兄ちゃん・・・ううん、九十九楓の気を引くためにお姉ちゃんと勝負する
もちろん、今みたいに一緒に暮らしてる方が良いけど、それは私もアイドルの小雪としてのプライドが許さない。だからお姉ちゃんと同じ環境で、お姉ちゃんと同じ芸能界で争って、勝ってお兄ちゃんの心を射止めるよ。覚悟しててね」
美羽はそういうとニコッと笑って自分の部屋に入っていった
俺は突然のことに何か言おうとしても、驚きすぎて部屋に入っていく美羽の後ろ姿を見ることしかできなかった