第19話 その後の2人
真美先輩と別れてから5分後
待ち合わせのカフェまで行くと俺の友達が待っていた
「ごめん、待ったかな?」
「いや、全然。それにしても久しぶり、九十九くん」
「前に会ったのは夏休みだったっけ?」
「たぶんね」
オープンカフェでコーヒーを飲んでいるのは大学に入る前に知り合った北谷 輝くん
合格発表の時に彼女の葵ちゃんと来ていた所で知り合って、葵ちゃんと同じ大学に入学した時に友達になった
と言っても、輝くんは違う大学に通っていて葵ちゃんも別キャンパスなので滅多に会わない
「そういえば、メールのやつ本当?一昨日の」
「ん・・・まぁ。だよね?葵」
「うん!式はまだだけど、結婚しちゃった。私、北谷 葵になっちゃいました」
「本当だったんだ。おめでとう」
「ありがとう、楓くん」
「どうも」
葵さんは嬉しそうに笑っていて、輝くんは照れてる
この2人は本当に良いカップルだと思う
輝くんはカッコいいし、葵さんは綺麗だし
昔、聞いたけど2人は幼馴染で兄妹のように仲がよかったらしい
「あ、そうだ。葵ちゃんって千夏の大ファンだったよね?」
「そうだよ。本当は今日のライブ行きたかったんだけどチケット取れなくて」
「だよね。これ、結婚祝いにどうぞ」
ポケットからさっき真美先輩から買い取った千夏のチケットを渡す
「え、こんなチケットいいの?」
「うん。そんなので悪いけど」
「ううん!ありがとう、楓くん。ねぇ輝」
「あんまり飛び跳ねたりするなよ」
「わかってる。それじゃありがとうね、楓くん」
「楽しんできて」
葵さんは真美先輩みたいに嬉しそうに笑いながら近くのコンサート会場に向かって走っていった
そして、俺は輝くんの横に座ってコーヒーを頼む
「本当によかったの?あれ」
「うん。大丈夫、もらったやつだから。それにしても・・・輝くんが結婚かぁ。どう?新婚生活は」
「いつも一緒にいたからなぁ、特にってことは無いかな。
ただ、俺的には大学を卒業まで待ちたかった」
「へぇ、でもなんで急に?」
「いや・・・葵のお腹の中にね・・・」
「中に?・・・えっ、まさか」
「そのまさか・・・」
輝くんは苦笑いをしながらコーヒーを飲む
「分かった瞬間に葵の親にサインさせられたんだ」
「あはは、でも嫌じゃないんでしょ?」
「まぁ。付き合った時から早くしろって言われてたから」
「凄いね・・・俺は無理だなぁ。そういえば輝くんと葵ちゃんって幼馴染だったんだよね?」
「うん、小5の時に別れて、高2でまた再会したんだよ。んで、修学旅行の時に付き合ったんだっけな」
「その時どうだったの?今まで一緒に居たのに」
「ん?ん~・・・」
輝くんは少し何かを思い出すように空を見上げる
今まで幼馴染として会っていた2人が今は結婚するほどの仲になった。それは俺にとってちょっと興味のあることでもある
「どうしてそんなことを?」
「ちょっと興味があるからかな」
「・・・まぁ良いけど。俺は最初の頃は葵のこと妹としか見てなかったよ。
でもまぁそのうち好きになっていったんだよね」
「そのうち?」
「そう、そのうち。九十九くんはどうなの?」
「どうって言われても・・・ね?」
「ね?って・・・それじゃチケットもらったお礼にいいこと教えてあげようか?」
「ぜひお願いします」
「後悔しないように動くこと。これは難しいけど今を精一杯楽しんだらいいと思うよ。そうすれば悲しい思い出も楽しい思い出で上乗せできるからね・・・」
輝くんはなんとも言葉にしにくい表情で俺に笑いかけてきた
輝くんにも過去に色々あったんだろう
俺がじーっと輝くんの顔を見ていると気が付いたのか少し笑った
「まぁ後悔しない人生なんて無いけどね。後悔してからその後の行動はその人次第だと思うよ?
昔の俺は色々あって現実から逃げてたりしてたけど、葵ともう一人大切な人が近くで見守ってくれてたから今の俺がいる。
葵と一緒にいるのが楽しかったから付き合いたいと思ったし、それも今は結婚するまでなっちゃったしね。これからはどうなるか分からないけど、俺は葵と一緒にいることに対しては後悔しないと思う。葵といる時が一番落ち着くし、楽しいから」
輝くんは笑いながらコーヒーを飲み干して自分の言ったことが急に恥ずかしくなったのかトイレに行ってくると言ってトイレの方に歩いていった
俺は輝くんが居なくなった後、あの言葉を素直に受け取り、コーヒーを飲み干す
そして、俺と輝くんはカフェから出て、久しぶりに遊びに出かけた
特別ゲストを登場させてみました。
あの話のその後の2人は・・・って感じで登場させてみました。
これからも出るのかな?出ないのかな?(笑)
それじゃこれからもよろしくお願いします。