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第16話 2人きりの1日。

 

 新幹線で今住んでいる自分の家に戻るとテーブルの上に美羽の字で置手紙が置いてあった

 内容は、小牧さんの所にしばらく世話になると言った感じで、たぶん美羽なりに俺への気遣いなのだろう

 俺はもう夜遅いので寝るためにお風呂に入って汗を流し、眠ることにした



 次の日、朝起きると何も変わっておらず、携帯に美羽からメールで3日間、小牧さんの所で世話になると書いてあった

 俺は美羽に返信してから、学校へ行くために準備をしていつも通り大学へ向かう

 そして、いつも通り大学の授業を受けて帰ろうとすると前から真美先輩が走ってきて、いきなり謝ってきた


「あ、九十九くん!ごめんなさい!!!!」

「な、どうかしたんですか?真美先輩」


 いきなり謝られて何事かと思いながら真美先輩を見ていると、珍しくモジモジしながら俺の方を見てきた


「い、いや・・・その・・・この前ね?」

「この前?・・・あ~あの酔い潰れた」

「ちょ!ちょっと!そんな大きな声で!」

「普通の声の大きさだと思いますけど・・・で?それがどうかしたんですか?」

「いや、あの~・・・あの時の記憶は無いんだけど・・・なんかものすごく迷惑かけたことは覚えてて・・・」

「まぁ・・・真美先輩が想像していた以上に迷惑なことが起きましたけど・・・」


 まさか今、インフルエンザで休んでいる千夏に関わってるなんて、千夏の大ファン真美先輩には言えるわけがない


「あ、あの・・・私、九十九くんに何かした?」

「俺にしたって事はあるって言えばありますけど・・・聞きたいですか?」

「う・・・い、いい。やめとく」

「そうですか。それじゃちょっとは反省してお酒控えてくださいね?」

「わかりました・・・」


 シュンとしながら俺の横を歩いている真美先輩を見ながら、珍しいこともあるんだと思っているとすぐに普段の真美先輩に戻った


「今ね、千夏がインフルエンザで休業中なんだ。もうすっごい心配で・・・」

「そうなんですか」

「なんかブログでもあまり元気のない感じだったから、コメントしてあげたんだ」

「へぇ~」

「九十九くんもしてあげなよ!」

「そうですね。メールでもしておきます」

「あははは、メールじゃなくてコメントだよ。私たち普通の人が千夏のメルアドなんて知るわけないでしょ」

「そうでしたね、コメントしときます」

「うんうん。あ、でも美羽っちなら知ってるかな?同じ事務所だし」

「美羽ですか?知ってても教えないでしょ、そういうのプライバシーだし」

「だよね~、あ~私ももう少しモデルしとけばよかったなぁ」


 真美先輩はガラスに映る自分の体をポーズを取りながら見ていて、俺はそんなことを気にせず携帯ででチィ姉のブログにコメントを書き込む

 見た目は良いけど、あんな街の中心であんなことをする不審者と友達だとは思われたくない


「こら、置いていくな。あ、今日九十九くんの家に行っていい?」

「ダメです。今日は俺しかいないので」

「あれ?美羽っちは?」

「知り合いの所に遊びに行ってます。だから今は俺1人」

「そうなんだ、それなら行っていいでしょ?」

「嫌ですよ。またあんな酔われたら襲われますから」

「えっ!?私そんなことしようとしたの!?」

「それに近いことはしようとしてきましたけど、回避させてもらいました」

「うわぁ・・・それは悪いことをした・・・」

「反省してくださいね。それじゃ俺はこっちなんで、んじゃまた」


 真美先輩は頭を掻きながら反省している感じで、俺はさっさと家に向かって歩く

 アレ以上真美先輩と一緒ににいたら無理やり家に来る可能性もあるから



 俺はマンション内に入り、エレベーターで自分の部屋の階まで上がると俺の家の前に人影がある

 それはドアの傍でしゃがんで地面に何かを書いているようだった


「・・・何書いてんの?」

「猫」

「そっか。寒かったでしょ。中入ろう、チィ姉」


 俺は手を差し出すとチィ姉は俺の手を見て、じーっと見た後、俺の手を掴まずに立ち上がり家の中に入っていった

 俺もその後から入って暖房を付け、時間も時間なので夕食を作る

 俺が作っている間、チィ姉はTVに流れる自分のニュースをただじーっと見ている感じだった


「できたよ。チィ姉」

「うん」


 今日の夕食はグラタン

 特にチィ姉が好きってわけでもないし、俺が好きってわけでもないけど、なんとなく作った

 俺とチィ姉はテーブルに向かい合わせに座って黙りながらご飯を食べる


「・・・・・」

「・・・・・」


 前でチィ姉は淡々とグラタンを口に運んで食べ続けていて、無表情っていうか・・・ちょっと無表情と言うよりは、なんというのだろう?どこか悩んでいるというか、とにかく無表情に近い感じだ

 俺と目があっても、特に気にせず淡々と食べ続けるチィ姉に少しため息が出そうになったが、出さずにご飯を食べる


「よいっしょ・・・お風呂、もうできてるから入ってきていいよ」

「・・・わかった」


 皿を洗いながらチィ姉に言うと、スッと立ってお風呂の方へ入っていく

 俺は皿を洗い終わると、自分の部屋からノートパソコンを持ってきてテーブルに置いて起動させる

 そして、チィ姉が出てくるまでに仕事をする


「・・・・」

「お風呂開いた」

「ん?わかった。あっ、寝るなら美羽の部屋使って、許可は貰ってるから」

「わかった」


 俺は送信ボタンを押してから、パソコンを落とし、お風呂へと向かう

 そして、お風呂から出てくるとチィ姉はリビングにおらず美羽の部屋に電気が付いていたから美羽の部屋にでもいるのだろう。

 俺は髪の毛を乾かしながら自分の部屋に入ってパソコンに電源を付ける

 ノートの方でも書いてたけどやっぱりこっちの方が仕事しやすい

 さっき送っておいた物を開いて、音楽を聞きながら続きを書いていく


 何分ぐらい経ったか分からないが、やっとの思いで今回の分が書き終わり、出版社へとメールを送信する。そして、送信完了を確認して背伸びをするとポキポキ鳴った


「んあぁ~・・・うわ、もう1時か・・・寝よ・・・」


 さっきまでずっとパソコンを見ていたせいか目がモヤモヤするけど、眠ってしまえば関係ない

 俺はベッドに倒れるように潜り込んで、目をつぶる

 そして、もう少しで眠れそうな時に部屋のドアが開いた



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