ショートショート「異世界」
作中に説明が無い場合はN博士とW君の二人が登場します。
N博士:発明家。
W君:N博士の助手兼モルモット。
「W君、暇かね」
「なんですか博士、とうとつに」
「いや、異世界に行ってみたいかと思ってな」
「そんなマンガじゃあるまいし、行けませんよ」
「行けたら、行くか?」
「まあ、1泊2日ぐらいなら」
「温泉旅行と勘違いしとらんか」
「こっちの青い飴をなめれば、異世界へ行き、赤い飴をなめれば戻ってこれる。赤い飴はなくすなよ」
「ずいぶん簡単なんですね」
W君はなんのためらいも無く、青い飴を口にした。
N博士の前でW君の姿がぼやけたかと思うと、W君の姿は消えてしまった。
「予想通りとはいえ、肉体ごとどっかへ行ってしまったのは驚きだな。服も移動してくれて良かったわ。まあ、明日ぐらいには戻ってくるか」
「博士、N博士、ここは僕の世界ですか」
「おいおい、どうしたW君、電話もなしにいきなり帰ってきたと思ったら、泣きそうな顔しとるぞ」
「だから、ここは僕のいた世界なんですか」
「そりゃ、そうじゃろ赤い飴を舐めたら、戻ってくるようになっとるわい」
「うわぁ、やっぱり違うじゃないですか。僕の世界は黄色の飴で戻れるはずの世界なんですよ」
「なんと!!」
「分かった、この青い飴をやろう、これでこの世界からは抜け出せるぞ」
「ありがとうございます」
「博士、N博士、ここは僕の世界ですか」
「「僕がもう一人」」
「ここは、赤い飴で戻ってくる世界じゃが」
「はあ、そうですか。バナナミント味のガムじゃないんですね」
「すまんな、この青い飴をやろう」
「これで、また違う世界へ行けっていうんですね」
「二人とも、達者でな」
「この世界のW君は無事に帰ってこれるかのう。貴重な被験者なのに」
最近流行り?の異世界ものを書こうと思ったら、気が付くとこうなってました。
なぜか、異世界に行った先での話を書く前に、話が終わってしまいました。
さすがにこの内容で「異世界」のキーワードを入れる勇気はありませんでした。
飴はビレッジマンズストアの「夢の中ではない」の歌詞から着想を得ましたが、その歌詞は映画マトリックスがネタですね。
最後はポピーザぱフォーマーで、けだものが無限増殖する話をイメージしてますが、私の文章力がないため、W君は同時に二人しか登場していません。
ポピーザぱフォーマーのケダモノ増殖回は、爆弾が爆発するとケダモノが過去に戻って、過去を改変しようとするのですが、そのシーンを見直した瞬間に「バイツァ・ダスト(負けて死ね!)」と思ってしまいました。