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青春怪奇譚 ごーすとれいと   作者: しゃぼねっと
其之壱 トイレの花子さん編
12/35

後日談② 「お泊まり(今年の5月21日)」

無駄に字数を使った女の子同士のイチャイチャです。

トイレの花子さん編、完結です。


前書きで言うことではないかもしれませんが、ユナもハルカも別にレズではありませんからね。

ちょいと距離感が近いだけなんです。

うふふのふ


夕令せきりょう高校

この物語の舞台。通称ユーレイ高校。怪談の絶えない私立高校。


殴坂おうさかユナ

黒髪ロングで美少女の不思議ちゃん。

「赤ジャーの殴坂」と恐れられる元伝説の不良。


聴波(きくなみ) ハルカ

焦げ茶の髪を二つに結ったメガネ少女。魂の声を聞くことが出来る。

 今日は五月二十一日です。花子ちゃんとお別れしてからもう三日。

 私、聴波ハルカは放課後もユナちゃんたちと居ます。最近は近所まではいっしょに帰るのです。

「げほげほ」

 私はちょっと咳き込みました。一日前にカラオケに行ってから喉をちょっと傷めてしまったのです。楽しすぎて歌いすぎちゃいました。

「ハルカちゃん大丈夫?楽しんでたのはいいけど、張り切り過ぎたみたいね。」

 ユナちゃんが心配してくれます。

「ううん、だいぶ良くなってきた」

「メイに負けず劣らず歌が上手かったわねハルカちゃん」

「そんな、メイちゃんほど上手くないよ!普通だよ。」

 メイちゃんは感動してしまうくらいに歌が上手かったです。カケル君と息の合ったデュエットをしていました。ユナちゃんも上手でしたが、声が大きすぎて隣から怒られていました。

 今何をしているかと言うと、学校の玄関前でユナちゃんと噂堂くんを待っています。私達はほぼ毎日一緒に帰ります。ちなみにメイちゃんは、気梨先生に居残りを言い渡されたみたいです。泣きの電話がかかってきました。

「ユナちゃんが数学教えたあげたらいいのに、なんで?」

「嫌よ……あんな喧嘩もうしたくないわ。」

 本当に辛そうな顔をするあたり、とんでもない大ゲンカをしたのであることが伺えます。この前の休み時間の調子だと、おそらく言い争いになったのでしょう。この二人なら多分殴り合い以上の争いも発展しかねません。想像して苦笑いしてしまいます。

「にしても遅い……」

 ユナちゃんは噂堂君に待たされてイライラしているようです。ユナちゃんはちょっぴり彼に当たりが強いです。どうしてでしょう?

「噂堂の癖に私達を待たせるとはいい度胸ね。万死に……いえ、億死に値するわ。」

「あっあそこ、噂堂君だ!」

 私は一階の教室の窓に彼がいるのを見つけました。窓を開けずにジェスチャーでごめんなさいしています。

「あいつも居残りか……まぁ、馬鹿だしね。」

 ユナちゃんは手でも振り返すのかとおもいきや、カケル君に向かって首を掻き切るジェスチャーをしました。ついでに親指を下にします。それを見たカケル君が苦笑いしていました。

「さっさと連絡しろよ」

 口の動きでも彼にわかるように言っています。

「許してあげなよ」

 私は自転車のスタンドを上げました。他のみんなは歩きだけど、私は自転車で通学しているのです。今日はユナちゃんと二人で下校です。

「ムカつくわね」

 ユナちゃんが眉毛をピクリとも動かさずに言います。常に無表情なユナちゃんですが、何故かその感情はよく伝わります。今彼女はムカついているのでしょう。

「あいつどうせこの後、メイとデートよ」

「で、で、デート!?」

 あの二人は付き合ってたの?と尋ねると、ユナちゃんは少し驚いた顔をしました。こういう顔をする時は、ユナちゃんの冗談が通じなかったときです。彼女は冗談よと付け足します。その時にする微笑みがとても素敵な顔でした。

 ユナちゃんはとっても美人です。まず顔が小さいです。それからたくさんの睫毛に囲まれた紺色にも似たの二重の瞳がすごく綺麗です。見とれてしまいます。髪の毛も私と同じ人間とは思えないです。最早絹です。あとは……。

「ハルカちゃん?私の話聞いてるかしら?」

「ごめん!なんだっけ?」

 思わず注視してしまいました。その可憐さに溜息が出てしまいます。

「だからね?どうせ楽しそうにいちゃいちゃするなら、私もあの二人に誰かとのイチャイチャを自慢したいのよ」

 ……イチャイチャ。仮にユナちゃんとそういうことが出来る相手がいるとするなら誰なんでしょうか?羨ましいです。ユナちゃんは彼氏とかいるのでしょうか?

「誰とイチャイチャするの?」

 私は聞きました。ユナちゃんはまた驚いた顔をします。あれ?なにかの冗談だったのでしょうか?

「流石。天然ちゃんね。今の流れで分からなかったなんて。」

 ユナちゃんは私の事を指さします。

「どう?ウチに泊まりに来ない?」

 どうやら相手は私のようです。


 私が中学三年生の時、怖い人たちに取り囲まれてしまった時です。怖くて震え上がって何もできませんでした。そんな私を助けてくれたのが当時の『赤ジャーの殴坂』、ユナちゃんでした。その名前の通り、着崩した制服の上に赤いジャージを着た女の子でした。髪型はまるで切り刻んだかのように無茶苦茶で、目付きは今のような素敵なものではなく、世界の全てを憎んでるような顔でした。

 あの時のかっこいいユナちゃんに惹かれた何人かの中学生、高校生で出来たのが赤いジャージ同盟です。当時夜道を歩くときは皆赤いジャージを着て、怖い人が近寄らない様にしていました。今もたまに赤いジャージを着ている人を見かけるほどです。

 高校に入って、今みたいな可愛いユナちゃんになりました。時期で言えばメイちゃんが転校したぐらい……五月ですね。あの時、男女問わずユナちゃんファンが増えた事を覚えています。

 そんな私がまさかユナちゃんのお友達になれるなんて思わなかったです!正直あの昼休みに詰め寄られた時は声が出そうでした!いまや私は他の古参ファンに恨まれてしまうのではないか?少しそれが怖いです。

 さて、そんな不安はよそに、私はユナちゃんのお家の前に辿り着きました。しかしびっくりです!ユナちゃんの家は凄くおっきいのです!和風で巨大なお屋敷です。長く続く塀の前を歩いた後、やっと正門が見えてきました。

「大きいね……ユナちゃんの家!」

「普通じゃないかしら?」

 ユナちゃんは私が持ってきていた宿泊用荷物の詰まったバックを片手で持ちながら言います。中に入ると大きな庭が見えてきます。枯山水の庭に……あのカッコンカッコンなるやつだ!

「ユナちゃん!あれなんだっけ!」

こけおどし(・・・・・)よ」

 そんな名前だったっけ……?

 玄関を通り過ぎたあと、靴を脱いで私は玄関で待たされました。誰かを呼んでくるそうです。……それにしてもこの大きさ凄いです!すごいお金持ちなのでしょうか?庭師さんまでいらっしゃいます。

「ユナちゃん遅いなぁ。どうしたのかな?」

 待っていると、ユナちゃんが消えた廊下の反対から男の子がやって来ました。男の子は中学生くらいで、ジーンズに和服を着ています。こういうの、作務衣っていうんでしょうか。かなり使い古されている感じがします。男の子は私を見るとひどく驚いた様子で指をさします。

「お、お、お前誰だ!?」

「えっ、えっ、あの」

 人と話すのはようやく慣れてきましたけど、初めましての人と話すのはまだ大変です。言葉がどうしても詰まってしまいます。

「誰だか知らないけど!ここに入っちゃあいけないんだぞ!観光地じゃあないんだぞ!」

 す、すごい怒っています!とっても可愛い顔立ちをしていますが、なんだか険しいお顔をしています!

 でも驚くことに、次の瞬間男の子が視界から消えうせてしまいました。あれ?何処に行ってしまったんでしょう。代わりにユナちゃんが現れました。その横を見ると、彼が玄関で倒れている事が確認できました。どうやら蹴り飛ばされたようです。

 あれ?……反対側に行ったのでは?

 そんな疑問を他所に、ユナちゃんは自信満々な顔で彼に言います。

「あら。あなた私のお客さんに何を無礼なことをしているのかしら?」

「お……お客さん」

 彼はピクピクしています。

「今日泊まりに来た聴波ハルカちゃんよ」

「泊まり……?」

 彼は素早く起き上がりました。

「ユナ!お前、そうならそうと連絡しろよ!びっくりするだろうが!!」

「うるさいわね。……あ、ショウ君これ部屋持ってっといて」

「……はい。」

 文句たらたらの顔で、ショウ君は私の荷物を持っていきました。

「ハルカちゃん、こっち。お父様にあいさつしましょう」

 気になった私は彼が誰なのか聞きました。

「まあ私達のような役職はそれぞれの地区と言うか、担当があるの。私はいくつかの地区を取りまとめるいわゆる支部長の次女なの。それでもって家を継ぐ予定なのだけど。」

 メイは本当なら支部で働く部下にあたるわ。と言葉を続けます。……色々事情があるんだなぁ。私は真剣に聞きます。あれ?……普通長子が家長を継ぐものなんじゃ。ユナちゃんはお姉さんが居たと言っていましたが……。

「んで……本部っていうものが京都にあるのだけども、ショウ君こと本永(もとなが)ショウはそこの本部長の次男よ。三番目の子なの。ちょっとワガママが過ぎて、躾けるために送られてきたって話。」

「そうなんだ……。」

 よく分からないけど、本部長と呼ばれる方の子にあそこまで横暴が出来るユナちゃんは本当にすごい人だと感じます。というか年下相手に蹴りなんてなかなかできません。ユナちゃんはたまにとってもバイオレンスです。

 そのあとユナちゃんのお父さんとお母さんにご挨拶しました。お父様はお髭をたくわえた精悍な方で、お母様は和服の似合う大和撫子という言葉に違わない方でした。……このお家には美男美女しかいないのでしょうか?ちょっぴり妬けちゃいます。

 ユナちゃんも和服に着替えた後、私達は持ってきたビデオを見る事にしました。我が家から持ってきたジョジョの奇妙な冒険です。一部からです。

「原作は一度立ち読みしたっきりね。三部の途中で終わって……アニメは見てすらないわ」

 そんな話をしているとショウ君がノックをして入ってきます。

「失礼します。……あ!ユナ!」

「なによ」

「お前制服は脱ぎ散らかすなって言ってんだろ!シワになっちゃうだろ!」

 ショウ君は落ちているセーラー服を拾うとハンガーに引っ掛け始めます。それから私が持ってきたお菓子を見つけます。

「おい聴波」

 さっきまで優しい顔をしていたユナちゃんは、カケル君に怒るみたいに怖い顔に豹変しました。

「てめー誰に向かって……」

「聴波さんが持ってきたの?そのお菓子」

 ショウ君はビクッと一度震えると、正しい言葉遣いでもう一度言います。

 どうやらユナちゃんの躾はここでも同じなようです。でも自分の事は呼び捨てにさせているのかな?それはなんだか可愛いですね。私はショウ君にうんと返事をしました。

「……晩御飯前なんだから食べ過ぎんな……食べ過ぎないでくださいよ」

「あ……はい!気を付けます」

 お母さんみたいですね、ショウ君。ユナちゃんの事考えてあげているのが可愛いです。

「心配しないで、ご飯後に食べる予定よ。そうだ」

 ユナちゃんはお菓子を漁ると、ポッキーをとりだしました。

「ショウ君、あーん。」

「ええっ、ちょ」

 ショウ君の顔がすぐ真っ赤になります。照れているみたいです。可愛いなぁ……。

「あーん!」

「あ…………ん」

 恥ずかしそうな顔でショウ君はポッキーを頬張りました。わあ……なんて素敵な景色なのでしょうか?ほっこりします。これが巷に言うおねショタでしょうか。尊いです。

「ハルカちゃん、あーん」

「あーん」

 私にもしてくれました。ユナちゃんは素敵な女の子です。

 初めてのお泊りはとっても楽しいです。皆でわいわい晩御飯を食べたことの無い私にとってはすごく新鮮な物でした。驚くことに、ユナちゃんとあの厳格そうなお父様はギャグセンスが全く同じでした。笑いすぎてなかなか晩御飯が食べれませんでした。

 部屋に戻ってからアニメ鑑賞会の再開です。ショウ君も途中から見に来ました。見てる最中もよくユナちゃんがショウ君にちょっかい出していました。仲が良いんだなぁとにっこりしていました。

 鑑賞会も盛り上がって、例の名シーンではユナちゃんと二人で叫びました。

「シーーーーザアァァーーー!!」

 二部も終わった頃、退室していたショウ君が部屋にやってきます。

「ユナ。風呂沸いたよ」

「はーい。……ショウ君も入る?」

「入んねーよ!!」

 顔を真っ赤にしてショウ君はどこかに行ってしまいました。

「さ、ハルカちゃん」

「?」

「一緒に入るわよ」

 私は初めて誰かといっしょにお風呂に入ることになりました。お風呂もこの家はとっても広いかったです。シャワーが三つも付いていて、ヒノキの湯舟は六人くらい入れそうです。

「まぁメイとはよく入ってるから。」

 よく分からないですが、メイちゃんはかなりの頻度でユナちゃんのお家に遊びに来ているみたいです。というかどんだけ仲良いんでしょうかこの二人。一年も付き合ってないと思うんですが……。

 そ、そんなことより聞いて下さい!お風呂に入るということは、それは当然ユナちゃんの裸を拝観させてもらうことになるんですけど、ユナちゃんの裸すごいんです!!脚が長い!体の半分脚なんじゃあないでしょうか?背が一六五.八センチの高めの彼女なので、余計長さが映えます。

 さらに体がすごく引き締まっているんです!腹筋とか腕の筋肉とか、もう……芸術品のレベルです!パルテノン神殿でしょうかここは!?アクロポリスです!!黒い艶のある髪がその肢体を流れて行くのがよもやこの世の物とは思えません。例えるなら天の川でしょうか?私の一五二センチのちんちくりんな体が恥ずかしくなります。同じ人間ですか?

 というか……ユナちゃんおっぱいそこまで小っちゃくないですよね?そりゃおっきくないけど普通にある気が……。そう言うと。

「ごめんなさい。そこに言及しないで。あなたに手を上げたくないわ」

 本当に地雷のようです。出来るだけ触れないようにしないと……。

 あと蛇足かもしれませんが、ストッキングを脱いでいる画がすごくえっちな気がしました。

 体を洗い終わったあと、湯舟にゆっくり浸かります。乳白色のお湯がすごく扇情的です。ユナちゃんが髪を括って気持ちよさそうにお湯に入っています。

「ふぁ~今日はごめんね?急にお泊りだなんて」

「ううん!誘ってくれてありがとう!楽しいよ!」

 お父さんに許可を取る時には、お父さんが逆に喜んでいました。『ハルカがお泊りにいく!……ケーキだ!』お父さんはお祝いのケーキを作りだしました。パティシエの悪い癖です。

「それにしても……ハルカちゃんみたいな友達が出来てよかった」

 ユナちゃんは私の横に移動して、私の肩にもたれかかります。ちょっと……ドキドキしますね。

「私みたいなのが友達でよかったの?」

 謙遜とかそういう意味では無くて、私は人気者の彼女たちに釣り合うのか……そういう気持ちが私にはありました。

「いいよ。私らにとって、この仕事を理解してくれる人がなによりも嬉しいの。人に言えないしね。」

「私も……この聴こえる能力の事、誰にも言ったことないから分かる。」

 あなたじゃなきゃだめだったよ。そう言ってユナちゃんが私の顔を覗き込みます。なんだかプロポーズでもされている気分です。お湯で顔がピンク色になっていて、すごく色っぽいです。私はのぼせているのか恥ずかしいのか、顔が熱くてボーっとします。この前までただのファン風情だったのに、いまや友達です。こんなこと許されるのでしょうか?

 それから私達はいろんなことを話しました。お風呂の広さについても話しました。

「お風呂広過ぎない?」

「前は昔ながらの釜風呂だったのよ。火加減が大変でね。」

「改装したんだね」

 やっぱりお金持ちは古いの嫌なのでしょうか?

「私がぶっ壊しちゃったからねぇ……」

 えぇ……。そんな理由?そういえばこのおうち、至る所に修復した跡がありました。もしかして全部ユナちゃんでしょうか?怖くて聞けません。

 私達はそれから、特にここで載せられないような話をいっぱいしました。恥ずかしいのでカットです。

 会話をしていると、急にユナちゃんが言います。

「ねぇ、ハルカちゃん」

「え、どしたの?」

「やっぱり大きいわね……胸が」

 ユナちゃんは突然私の身体に触り始めました。腰から胴に向かって這わすようにゆっくり手をずらします。わわっ!触り方がちょっとやらしいよ!?私は声も出せません。

「メイほどじゃないけど……こりゃDはあるか……?」

 嘘……。どれだけ大きいのメイちゃん……。

「一緒にお風呂に入りたかったのはこれもあるのよ?」

「え……?」

 急に始まったフェザータッチでの触診で、私は何が何だか分かりません。息が上がってきます。ユナちゃんはあまりに魅力的で、蠱惑的で、小悪魔的な笑顔で私に詰め寄ります。そのまま顔がくっつく勢いで密着するのです。からだが……芯があるけど柔らかいからだが私にひっつきます。それから彼女はぽそりとまるで内緒話をするように呟きます。

「あなたの身体に触ってみたくて……」

「!?」

 えっ!?ええ!!女友達ってこんなに距離近いの?私はまるで脳みそを巨大な洗濯機に投げ込まれたかのようにぐるぐる回っていました。あれ……な、何がグルグルで……。

「ぶふっ」

「あっ」

 は……鼻血出た。



 私は浴衣を着せられて、髪も乾かす前に布団に寝かされました。ユナちゃんはと言うとタオル一枚です。足が長すぎてちょっときわどい感じになってます。

「ご、ごめんね。鼻血なんてだしちゃって」

「いいのよ。私が悪いの。前にメイぶっ飛ばされたこと忘れてたわ。」

 彼女は前科者らしいです。

「言っても私だって友達そんないないのよね。ちょっと距離が近過ぎちゃうってたまに言われるわ。あと冗談とスキンシップがひどいって。……自覚無いのよね。」

 やっぱりないんですね、自覚。そんな気はしてました……。見上げると少し悲しそうな顔をするユナちゃんがいます。なんだか申し訳ないです。

「ユナ!氷嚢持ってきて……わぁ!だから服着ろお前!!」

 ショウ君が氷の入った袋を持ってきてくれたみたいです。タオル一枚だけのユナちゃんを見て飛ぶほど驚いていました。うぶで可愛いです。

「ユナ!湯冷めしないようにしろよ!聴波……さんもドライヤーしてやれよ!!」

 ショウ君はそういうと飛んで帰っていきました。ショウ君は気使いが出来る素敵な子だなぁ。ニマニマしてしまいます。リアルおねショタを見れるなんてとっても桃源郷です。実は私は死んでいて、ここは天国でしょうか?

 そんな事を考えているとユナちゃんが私の頭に氷嚢を乗せて、お母さんみたいな優しい顔でおでこを撫でてくれます。慈しみの表情です。安心します。

「まだ寝ちゃダメよ。これから修学旅行みたいにお話するんだから」

「いいねそれ。私、生きているうちに一度はやってみたかったんだ」

「ピロートークよ。」

 ユナちゃん。使い方間違ってるよ。それかなりやらしいやつだよ。流石というか、ボケが分かりにくいよ。

「恋バナするの?」

「するわ。」

「でも恋バナってよく分からないんだ。東京の土産……」

「それ東京ばな奈じゃないの……?」

 ユナちゃんが困惑しています。普段しない顔をしていて面白いです。

「租税回避地?」

「それパナマ」

「They say it was in India〜♪」

「ガンダーラ?」

 私はユナちゃんの反応が面白くって笑いました。私はゲラと呼ばれる人種らしくて、簡単なことで笑ってしまうのです。

「まったく……からかってたのね」

 ユナちゃんも愉快そうに笑っています。私はそれがとても嬉しかったです。私は本当に幸せ者だと思います。こんな風に新しい友達とお泊まり会が出来るだなんて。これからどう仲良くなっていくのか、楽しみで仕方ありません。私はニコニコ笑いました。

「ハルカちゃんもう片方からも鼻血出てる」

 笑ってはいましたが、とってもみっともない外見でした。

読んでもらってありがとうございます。

花子さん編としてはおわりなので、良ければ評価、ブクマ、感想お願いします。

また軽い気持ちで読める話を作らせていただきます。


其ノ二 塗り壁編でお会いしましょう

Twitter @shabonet71232 しゃぼねっと

更新情報載ってます。

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