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最強の武器はこの妄想力  作者: 緒嶋まゆ
第一章
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養成所編◆オリエンテーション

2020/8/7 改稿

※物語の流れに変更はありません。

 翌朝、時間通りに透とツキミはギルド裏にある校舎へと向かう。

 養成所の校舎はギルドと同じように赤レンガと木で建設された1階のみの建物だ。

 建物自体はそこまで大きくなく、4部屋くらいしか無い。

 ただし校庭は広く、魔術や剣の練習を行っている人が見受けられる。


 校舎へと入ると案内板が設置されており、指定された部屋へと入室した。

 部屋には誰もおらず、適当に席へとつく。


 暫くすると昨日見掛けたギルド長が部屋へと入ってきた。

 ツヤのあるブロンドの髪を高い位置でポニーテールへと縛っている。

 白と金を基調とした洋服に身を包んでいる事もあり、聖騎士と言われれば納得ができるような美人だ。


「長瀬君、ツキミ君、揃っているね。では、説明を始めようか」


 ギルド長はそう言って今後について説明を行っていった。



 養成所の授業は基本的に初日以外は午前中のみとなっている。

 午後は校庭の貸し出しを無料で行っている為、自主練に使用しても良い。

 もしくはギルド依頼やモンスター狩りを行ってレベルを上げたり、鍛錬を行う事も可能だ。


 養成所で学べる科目は座学、剣術、魔術、魔剣術、校内用ダンジョン実習、模擬戦の計6つあり、その中から受けたい物を選択する事が可能だと言う。


 透とツキミが全ての科目を受講する旨を伝えると、ギルド長は嬉しそうに微笑む。

 透のステータスが前代未聞の数値となっている事から、全ての科目の授業をギルド長自ら受け持つ事になった。

 その為他の人と合わせる必要がなく、時間に融通が利くらしい。

 可愛い子と一緒に切磋琢磨しその後恋仲に……と妄想していた透には残念なお知らせとなった。


「ああ、そういえばまだ名乗ってなかったな。私はラティだ、よろしく頼む」

「お願いします」


 女慣れしていない透は、ただの握手でも美人の手を握り近くで微笑まれるという、生まれて初めての経験から若干頬を赤く染めラティへと見惚れていた。

 その様子をツキミがジトーとした目で見つめていた事に気が付いた者はいなかった。



「さて、早速ではあるが、午後から授業を行う事も可能だがどうするかね?」


 早くこの世界の事を学んでおきたい気持ちはあるが、如何せん生きていく為の食糧やお金を稼がないといけない。

 ツキミが今まで稼いできたお金で今のところ宿代や食費を賄っているが、そんなに多くないのでそろそろ稼ぎに出る必要があるのだ。

 少し悩んでからツキミへアイコンタクトで確認を取ると、通じたのか頷きにて返答を得た透は今日は辞めておく事をラティへと伝える。


「今日の午後はギルド依頼からできそうな物を少しやろうと思っています、だから授業は明日からでお願いします」

「わかった、では今日はここでお開きとしようか。明日は朝8時から座学を行おうと思うがいいかね?」


 ラティの問いに首を縦に振り教室をあとにする。

 透達はその足でギルドの依頼掲示板へと向かった。


 ギルド依頼には推奨ランクがあり、推奨よりも上のランク依頼を受ける事は可能だが、期限内に依頼が達成できなかった場合には違約金が発生する。

 ランクには、アイアン・ブロンズ・シルバー・ゴールド・ルビーと存在しており、現在のランクはブレスレットに嵌っている石の色でわかるようになっている。

 冒険者になったばかりの透達は勿論一番下のアイアンランクだ。


「一応初めての依頼だから簡単そうな物にしたいが、ツキミはどれがいいと思う?」


 一応は冒険者として若干の先輩であるツキミに確認を取ると、うーんと悩みながらツキミは3つの依頼を指さした。


 1つ目は低レベルのギルド依頼といえばコレ!とばかりにお馴染みの薬草収集だ。

 草原のどこかに生えている下級ポーションの素になる薬草を探して集めてくるというもの。

 ツキミ曰く、草原は広いが比較的生えているので10個程度なら今日の夜までには終わるだろうとの事。


 2つ目は鉄鉱石の収集クエスト。

 サンロットの裏手にあるダンジョンの上層階から鉄鉱石を掘ってくるというもの。

 草原に比べれば範囲が狭いので探しやすいが、掘るのが結構重労働だという。

 上層階なので初心者向けのモンスターが多いが、狭いので草原よりエンカウントしやすい。


 3つ目はラパンというモンスターの討伐クエストだ。

 依頼書に対象モンスターの絵がかいてあるが、ウサギのような見た目をしている。

 ラパンの肉を集めるというものなので、倒し方に注意をしなければならない。

 ラパンも草原に出現するモンスターで、強くはないが逃げ足が速い為中々捕まえられない事が多い。


 透はとりあえず薬草収集のクエストの受け、ラパンを見つけたら積極的に倒す事を提案する。

 依頼数分集まればそのまま報告し、集まらずに依頼が先に無くなってしまった場合には自分たちで食べる事もできるので、その分食費を浮かす事ができると踏んで。

 ツキミもその提案に同意し依頼を受け、早速透達は草原へと向かった。



「どこら辺にいったら薬草は生えてるもんなんかな」


 サンロットを出て10分くらい真っ直ぐ進んだ所で透がボヤく。

 周りを見渡してもただの草原しかなく、薬草っぽいものは見当たらない。


「こっちなのだ~」


 ツキミはクンクンと匂いを嗅ぎながら歩いており、数十歩進むとツキミが立ち止まった。


「このギザギザの草が薬草なのだ」


 透は差し出された草と周りの草を見比べる。

 確かに他の雑草に比べると若干葉がギザギザとしており、草の枚数が多いように感じるが、普通に歩いていたら雑草だと間違えてしまう程の違いだ。

 この見つけにくさから常時ギルド依頼として掲載されている。


 ツキミは薬草と雑草の微妙な匂いの差がわかっており、鼻をヒクヒクさせながら草原を進んでいく。

 その後ろを付いて歩きながら透は何か簡単な方法はないか考えていた。


「ツキミ。ちょっと試してみたい事があるんだ、次の薬草が見つかっても口には出さないでくれるか?」


 ツキミは首を傾げつつも透の提案を飲み込んだ。


 透は目を瞑り魔力を練り全身を巡らせて五感を研ぎ澄ませる。

 そして手にもっている薬草の形に添わせて魔力をゆっくりと放出し薬草の形をスキャンする。

 その形を探すように地面に薄く円状になるよう魔力を放出していく。


 透の青い魔力が波打つように草を飲み込んで広がっていく様子は幻想的だ。

 ツキミがその光景に見惚れていると、1分ほどして透が目を開けた。


「あったぞ、確認してくれ」


 ニヤっと笑みを浮かべ魔力の絨毯を維持しながら目的の薬草へと移動する。

 透が見つけた草をツキミがクンクンと嗅いで驚きの表情を見せる。


「確かに薬草なのだ、透すごいのだ」


 ツキミの素直な賞賛に透は得意げな表情で返した。

 そのまま次々と薬草を見つけ、サクッと残りの本数を集めた。


 この方法なら簡単に薬草を見つけられるので、明日も同じものを受注しても問題ないだろうと考え2人はギルドへと戻っていった。

 そして空いた時間でもう少ししっかりラパンを探そうと決める。

 今回は以前倒したカエル3匹くらいにしかエンカウントしなかったのだ。



 ギルドで報酬を受け取り、町で多少のパンと塩を購入し宿へと帰る。

 今日倒したカエルの肉を塩で焼いてパンと一緒に頬張る。

 見た目さえ多少我慢すれば味自体は美味いのだ。

 二人とも満腹にはならなかったが、稼ぎが少ないうちは仕方ないと諦めシャワーを浴びてさっさと寝る事にした。


 透は今日もベッドの上で翼を出す訓練をし、魔力枯渇で倒れそのまま眠る。

 今日は日中に大きく魔力消費をしていた為に昨日より背中から放出された魔力量は少なかった。


 そんな様子をツキミは眺めてこっそりと真似をする。

 ツキミは翼を出す練習ではなく人間の形になる練習だ。


 本来獣人族は本能的に人への成り方を感じ取り変身する事ができる。

 ツキミは体外へ魔力を放出する攻撃魔術等は得意ではあるが、変性系魔術の使い方がとても下手だった。


 透という人間が近くにいることでよりイメージを掴みやすくなった為、頭の中に人型をイメージし魔力を練り上げる。

 ツキミの体が淡い桜色の魔力に包まれ光を発する。

 人の形が完成しようとした所で魔力枯渇に陥り意識を手放した。

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