骸骨と言えば……やはり現れる。
とても、とてもお久しぶりです。
元気です、が、仕事は忙しくなり更にゲームが忙しくなったことで更新が全くできていませんでした_(:3 」∠)_
これからはまたちょこちょこと更新していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ベシャァッ!
まるでスライムの海にでも落ちたかのような洞窟には似合わない音が響き渡った──実際に骸骨と透は凶悪なスライムの海に落ちているのだが。
「あーあ……なのだ……」
「そんな落ちた奴の事なんかよりもこのよくわからない敵をなんとかする事を考えないと!」
洞窟の横幅いっぱいに広がった穴を挟んで停止した骸骨達と対峙するツキミとリア。
穴の中からはジュウ……ジュウ……といった何かが溶ける音が微かに聞こえ、透の情けない悲鳴が上がってくるが、2人は聞かなかったフリをして戦闘態勢に入る。
そこに緊迫した空間に似合わない声が響き渡ると同時に、穴の前で停止していた骸骨達が消え骨でできた椅子に座り頬杖をつきながら手を上げポーズをキリっと決める人物が現れた。
「フハハハハハハハ、驚かせてしまったようですまない。我が名はユーリウス・イグナルト・D・オンハルト。闇の使者達に悪気はなかったのだ、許してくれたまえ」
突然現れた変人に理解が追い付いていないリアが口をポカーンと開け、ツキミはやっぱりといった表情でため息をついた。
「全くオンハルトは本当にいつも突然現れるのだ……大丈夫なのだ、リア。知り合いなのだ」
パチンッと指を鳴らしたと同時にオンハルトは座っていた骨の椅子の上から消え、ツキミとリアの背後に現れる。
「まさかこんな広大なダンジョンの中で会う事になるとは思わなかったな。そういえばもう1人はどうかしたのかね?」
「あぁ……、透ならオンハルトが出してた骸骨と一緒にこの穴の底でエヴォスライムの餌食になっているのだ」
3人で穴を覗き込むと必死に洋服が一部溶けて破れつつも、溶けている骸骨の上で情けない声を上げている透がいた。
「おい、オンハルト!イテッ!お前のせいで落ちたんだからな!早くなんとかしてくれ!いてててててててて!!」
「なんか……元気そうね」
ボソッとリアが呟き興味を失ったように顔を引っ込めた。
やれやれといった様子でオンハルトは首を振ってため息を付きながら手を掲げる。
透の足元が盛り上がり下から骨の台座が生え押し上げてくる。
その最中に骨を具現化し、透に張り付いて消化をしようとしているエヴォスライムたちを削り取ろうと殴りかかる。
「てめっ!ふざけんな!イテッ!喧嘩売ってんのか!もう少し優しくしろよ!スライム投げつけんぞ!」
「とは言われても……我は骨に関する魔術しか使えぬのでな……」
「全くもって透は仕方ないのだ、出でよ滝!なのだ!」
フフンとどや顔をしながらツキミが叫ぶと、透の頭上から大量の水が落ちてきた。
まさにそれは誰がどこからどう見ても滝だ。
一瞬のうちに透にまとわりついていたエヴォスライムが高圧の水によって剥ぎ落され水が止まる。
「ツキミありがとう……なんて言うと思ったか!馬鹿野郎!死にかけたわ!」
「煩いし細かいわね、みみっちい男は嫌われるわよ」
リアの言葉にツキミとオンハルトが頷きで同意する。
それでも「元はと言えばオンハルトのせいで」とか「防具もスライムに溶かされて穴だらけで使えねえじゃねえか」等と騒いでる透を見て大事には至っていないと判断した3人は安全地帯に向けて歩き出した。
置いて行かれかけた透は更に文句を増やしながらも3人の後をボロボロの防具でずぶ濡れのまま追いかける。
安全地帯は少し大きさのある広場のようになっており、まばらに冒険者達おり休憩をしている。
「さーて、今日の予定はここまでよ!皆お疲れ様!長瀬さんは装備の替えを持ってるならさっさと着替えてしまって、いつまでも濡れ鼠みたいな恰好してると風邪ひくわよ」
「わかってるよ」
いそいそと壁に向かって縮こまりながら着替えを始める透を目の端だけで捉え、野営の準備を始める3人。
無防備な所を他の冒険者に襲われないように気を配るのは一緒に旅をするメンバーの優しさなのだが、それに気が付く様子のない透は今でもブツブツと文句を垂れ流していた。
「そういえばオンハルトはどうしてここにいるのだ?案内人はいないのだ?」
「あぁ、我は幼き日に父上とここのダンジョンに訪れていてな、その頃最終的に訪れた場所に我が家の印をつけた石が置いてある。それを持ち帰るのが我が家の試練みたいな物でな、条件に案内人を付ける事を禁じられているのだよ」
自ら聞いておきがらあまり興味なさそうに「ふうん」とツキミは返答をする。
それに反応したのはリアだ。
「いくらお家の試練だからってこんな広いダンジョンに1人は危険だわ!それに上層ならまだしも中層だなんて……、一歩間違えば命を落とすような罠だってあるのよ!?」
「フッ、心配には及ばぬ。我は闇の眷属たちを従えてる故、最大の守りを展開させたまま道を進む事ができるのだよ。我の前にトラップ等とは存在しないも同然」
着替え終わった透がジットリとした目でオンハルトを見ながら口を開く。
「はいはい、要するに骨で作った要塞の中に引きこもって移動してるから自分は危なくねえってわけだろ、今回みたいに」
「癪に障る言い方だが、内容に否定はせん」
オンハルトはフッと鼻で笑いながらやれやれと言った様子で両手を振る。
悪態をつきオンハルトの肩を軽く一発殴る事で怒りを収める透だったが、そこにのんびりとした声がかかる。
「男の嫉妬は醜いのだ」
「嫉妬じゃねえよ!むしろどんな流れで嫉妬になったんだよ!」
今度はツキミが先ほどオンハルトがした物と同様の恰好をして透に哀れみの目を向ける。
一度抑えたはずの苛立ちが再度燃え上がりそうになった所で、リアがパンッと手を叩き野営の準備を進めるよう促した。
そのリアが浮かべる笑顔の後ろに般若の幻覚を見た3人は口を閉じ食料等を出しせっせと準備に戻るのであった。
鍋を出し調理を始めるが、今日の分の鍛錬ができないからと魔術を使い調理を始める透とツキミ。
透が収納魔術から野菜と肉を出しながら空中で風の刃を使って切り刻むと、「あー、野菜が飛び散ったのだー」という呑気なツキミの言葉と同時に食材の周辺に四方を囲む結界が現れ、それに当たった食材たちが跳ね返り下に落ちていったのでそのまま鍋で受け止めた。
「今の結界出さなかったら、お野菜もお肉も無くなってたのだ!感謝するのだ!」
「へいへい、ありがとなー」
唸るツキミを放置して何事も無かったかのように手をかざし鍋いっぱいの水を出し、空中に浮かせると下から火を起こし煮込みだした。
「ほう、あの変な形をした武器からじゃなくとも水や炎等出せるようになったのか」
「ん?ああ、ルドニールな。いざという時の為に練習だよ、まだ飯作るくらいの威力しかねえけどな」
魔術を使い料理をするのを当たり前のように会話をする3人を見て唖然とする人物が1人。
頭を押さえながら、誰にも届かない小さな声でブツブツと呟く。
「なんで当たり前のように調理に魔術を使ってるのよ……、安全地帯とはいえここはダンジョン内なのよ、危機感とか無いのかしら……。それこそ他の冒険者に襲われたりした時に魔力切れなんか起こしたら……」
そこでふと2人が持ってきた紹介状を思い出す。
(のほほんとした若い子達で忘れてたけど、この子達は中央ギルドマスターが直々に送り出した濃紺ランクの冒険者だったわね……。ここまでのアホっぽさを見てると危険な感じが全くしないんだけど……、気を引き締めておかないと)
スープを煮てる最中にダンジョンの土を成形して器と竈を作り皿を焼き始めた透と、それを当たり前に受け入れている2人にリアの頭痛は更に増した。
まだまだ2章が始まったばかりで、書きたい部分の1/3も進んでいませんが、
2章を書き終えたら少し1章の手直しをしたいな、と今の所考えてます。
……いつになるやら。




