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最強の武器はこの妄想力  作者: 緒嶋まゆ
第一章
3/87

襲撃者

初めての評価とブックマークありがとうございます♪

自己満足で書いていこうと思ってましたが、見てもらえることがこんなにうれしいなんて( *´艸`)

張り切って仕事中に更新していきます!!笑

どうぞお付き合いください!


2020/7/15 改稿

※一部流れに多少の変更がありますが、概ね変わらずです。

 ぺろぺろ、べちゃべちゃ、ざりざり。

 傍から見れば猫が人間を襲っているようにも見えるが、捕食しようとしているわけでも発情しているわけでもない。

 ただただ無表情でツキミは透の顔が涎でびちょびちょになるほど舐めまわしていた。

 それでも起きない透に苛立ちを募らせたツキミは耳へと強めに咬みつく。


「いってえええ!!」


 咬みつかれた痛みで飛び起きた透は目を白黒させながら、状況を把握しようと周囲を見回す。

 目の前には起きた際に吹っ飛ばしたツキミと、何もない草原があるばかりだ。

 透は少し落ち着きを取り戻し顔に違和感を覚え触れてみると、ねちゃぁと顔から糸が引いた。


「うっわぁ……一体なんの襲撃にあったんだ……?」

「透が悪いのだ。いくら呼んでも起きないし、お腹の上で飛び跳ねても起きないし、舐めまわしても起きなかったのだ」


 状況を把握しきってない透に対して、ツキミはすまし顔でそっぽを向きつつ文句を返した。

 どうやら思っていた以上に疲れていたのか透は屋外にも関わらずぐっすりと眠っていたようだ。

 バツが悪そうな表情で謝り、見張り役を交代する。

 ツキミは透の横で丸くなり眠りへと落ちていった。


 辺りを警戒はしつつもツキミの寝息しか聞こえてこないので、透はぼんやりと空を見上げている。

 周囲は闇に包まれており、空の明るさを一層際立たせている。

 日本にいた頃は見たことも無い、降ってきそうな程の満天の星空がそこにはあった。

 普段は空なんて見上げないが、「たまにはこんなのも悪くない」と呟き星空に見入っていた。


 暫くすると透は目の端に光を捉えた。

 警戒レベルを急上昇させ、右手にロングソードを具現化し左手でツキミを叩き起こす。

 眠そうに欠伸をしつつ目を覚ましたツキミは、光が近づいてくるのを発見しすぐに戦闘態勢へ入った。


 不思議な光はゆっくりと音も無く二人へと近づいてくる。

 二人の前へと表れたのは、白光りしている上半身はマッチョで胸元に刻印があり、足は存在しない幽霊のようなモンスターが現れた。


 透は先制攻撃を決めようと地面を勢いよく踏み込み白光りの幽霊へと斬りかかる。

 幽霊は縦に真っ二つとなり霧散したかと思うと、透の後ろで再度形を取り戻し腕を振り下ろした。


 その腕からは三本の光の刃が飛び、透に傷を負わせる。

 すかさずツキミが雷撃を発しようと魔力を練っていると、背後から闇と同化する程黒紫色をした同様の幽霊が襲いかかってきて、ツキミは透の方まで吹き飛んできた。


「あいつ等に物理攻撃は効かないのだ……」

「くっ……早く言え……」


 透は痛みに表情を歪めながら、右手に魔力を集結させ魔力弾を発射する。

 左手にはダメ押しとばかりに塩を具現化し投げつけ、どこかで聞いた除霊方法である卑猥な言葉を連呼しだす。

 隣のツキミがギョッとドン引きした様子で、少し距離をとりつつも雷撃を発して追撃する。


 どの攻撃が効果あったのかわからないが、幽霊が苦しみだした。

 幽霊は最後の力を振り絞り、周囲の景色と同化するように変色しはじめる。


 だが、それを許す程二人は甘くない。

 完全に変色が終わる前に倒すべく、魔力弾と雷撃へ込める魔力を増やし追い打ちをかけた。


 透はついでに大声を張り上げ、自主規制音が鳴りやまなくなりそうな程叫び続ける。

 程なくして幽霊は力尽き粒子となり空へ吸い込まれていった。


「透には近づいてはいけないのだ……」


 ツキミはそう呟き透から距離を取って、軽蔑した眼差しで見つめながら浅い眠りに入った。

 指一本でも触れられようものなら、すぐに咬みつけるようにと。



 その後も何度かモンスターに遭遇したが、休憩を取りつつも翌日の夕方にはサンロットが近くにまで見えてきた。

 透が転移した場所はサンロットから半日の距離だとツキミが最初に言っていたが、結局到着までに丸一日以上かかってしまった。


 草原に出てくるのがいくら弱いモンスターだとしても、一人や少人数で狩りを行うにはある程度の戦闘経験をサンロットで学ぶという。

 集落や種族によっては生まれた時から徐々に戦闘経験や魔術の使い方を学ばせてから冒険者へとなる事が多く、何も知らない状態で草原を歩くというのは自殺行為なのだ。


「いや、むしろ最初に教えてくれよ」

「忘れてたのだ~」


 えへへ、とツキミが笑いながら目を逸らす。

 そんなツキミをスルーして、初めての異世界の町に感動をしつつゆっくりとサンロットを観察する。


 町をぐるっと囲む白いレンガで作られた外壁。

 建物は高くても2階建てまでが多く、すべて赤いレンガで綺麗に揃えられている。


 日も沈みかけてきているので、今日は宿を取り冒険者登録等は明日行う事を決め、町に入ろうとするとガラの悪そうなチンピラが二人声をかけてきた。


「よう、ここを通る為には俺たちに通行料を払って貰わないといけねぇんだ」

「手荷物置いて失せな」


 手にはナイフを持ち口元にはニヤニヤと下品な笑みを浮かべ、ガニ股歩きでドカドカを音を立てながら透達へと近づいてくる。

 無論ツキミはそんな規則は無いと首を振り、嫌そうな顔をしながら雷撃を撃てるように魔力を練り始める。

 透はどうしたらいいかわからずポケットの中をあさる……が、転移してきたばかりで何かを持っているはずもない。


「あー……えーっと……すみませんが、何も持ってないんです……見逃してくれませんかね……?」


「そいつぁ、できねぇ相談だな!何もねぇなら薬草でも何でも取ってきな!」

「もしくは身包み全部置いていけ」


 ガハハハハ、と下品な笑いが木霊する。

 透が仕方なく引き返して薬草を探しに行こうとしたが、隣から雷撃が放たれた。


 かなりの高出力なのか、チンピラ2人が「「あばばばばばば」」と声にならない奇声を発し黒焦げになった。

 ツキミは一仕事終えた達成感に満ち溢れた顔で鼻を大きくさせている。


「つ……ツキミ……さん?」

「にっしっしなのだ!あたしはいつも塀をひょひょいと登って帰るから関係なかったけど、この辺りでは有名な悪い奴らなのだ!成敗してやったのだ!!」


 透はショートソードを具現化し警戒しつつ、チンピラへと近づく。

 ピクッピクッと動くチンピラは暫く再起不能そうな感じをしている。


「こいつらはどうしたらいいんだ?」

「んーむ……ギルドへ連れていってもいいと思うけど、偶に他の冒険者に返り討ちにされてはギルドで怒られてるような奴らなのだ。きっと連れてっても、またか、って思われるだけなのだ」


 うーん、と唸りどうするかを考える。

 成人男性を2人も連れて移動するのは骨が折れそうな程大変であり、尚且つ意識を失っている人間は想像よりも重たい。

 ツキミは猫なので元より戦力外。


 透は諦めてチンピラを放置し、宿屋を探して歩き出した。



 そうこうしているうちに宿屋を発見し訪れた。

 受付のおばちゃんは恰幅がよく親切そうなオーラを放っており、訪れる人に安心感を与えている。


 部屋を取ろうとして透はふと悩み始めた。


(ツキミは猫であるが一応は女の子(?)なわけだ、猫なので間違いが起こる事は無い自信が透にはある、猫は可愛くて好きだが如何せん猫だし……猫だし……)


 考えているうちに何故人間じゃなかったのか、と悲しみを背負っている透を放っておいてツキミはおばちゃんとの話をまとめていた。


「透いつまでボーっとしてるのだ?鍵貰ったからもう行くのだ」


 その言葉に透はハッとしていそいそとツキミについていく。

 どうやら取った部屋は一部屋のみで同室になるようだ。

 その代わりに猫だから、と宿代を半分以下まで値切っており、ツキミの顔はホクホクとしている。


 透は部屋に到着しベッドに座ると気が抜けたのかすぐに気を失って眠りへと落ちていった。

 透が寝息を立て始めたのを横目にツキミは椅子へと上り丸くなる。

 久々に気を抜いて睡眠を取れる事を喜び、ツキミもすぐに夢の中へと落ちていった。

透は唐突の変態


今月中にもう一話アップできたらいいな、と考えています('ω')


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