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最強の武器はこの妄想力  作者: 緒嶋まゆ
第一章
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とあるツキミの1日

2021/1/30 改稿

※物語の流れに変更はありません。

 ツキミは鼻歌まじりで、白いワンピースを纏い王都を歩いていた。


 太陽の光を受けて輝く桜色の髪、半袖ミニスカートのワンピースから覗く白く透き通った肌、好奇心旺盛でキラキラと輝く大きい瞳に、ぷっくりとした唇とほんのり色づいた頬が、綺麗な顔立ちに可愛らしさをプラスしている。

 更に今まで見たことのない王都の都会っぷりに、楽しそうにぴょこぴょこと動く猫耳が見る者全てを引き付けている。


「そこの綺麗なお嬢さん、ペッシェは如何かな?甘くて美味しいよ」


 フルーツをたくさん置いているお店の店主がツキミに思わず声を掛ける。

 ツキミの髪の毛と同じ綺麗なピンク色でハート形の果実を差し出して微笑んだ。

 ツキミはペッシェという果実を受け取り恐る恐る口に含むと、爽やかな甘さが口の中に広がり、じゅわっと果汁が溢れ出す。


「んんんんん♪美味しいのだぁ♪」

「それはよかった!よければコレとソレもあげるから、また遊びにおいで」


 店主がまた違う果実を持ってきてツキミへと差し出す。

 ツキミは嬉しそうに微笑み、お礼を告げてお店をあとにした。


 店主はツキミのその笑顔に胸を撃ち抜かれ、ツキミを見送った後そのまま倒れた。

 貰った果実を収納魔術にしまい、スキップをしながらまた王都を見て回り始めた。


 普段は人間モードになる際に一緒に服まで具現化しているのだが、人間モードでいれる時間が長くなってきたので装備やちょっとお洒落な服を買ってもいいかと考え、服の品揃えが多い商店街のような場所に訪れた。

 色んな店の店員さんにチヤホヤされつつ服を物色していく。


「これもこれも可愛いのだー」

「よくお似合いですよ」


 サンロットで貯めた資金は旅の間の食糧に大半が消えて行っていた為、気に入ったもの全てを買う事はできなかった。

 その中でも特に気に入った物をいくつか購入する。


 試着した戦闘用装備には黒で統一し機動性を重視しており、7分袖位のワイシャツのようなトップスは胸元が大きめに開かれており弾むような双丘が主張をしていた。

 尻尾の部分を通す穴が開いているショートパンツと、編み上げのロングブーツを合わせて快活な印象を与える。


 黒色が元々締まっている身体をより細くみせ、陶器のような透き通った肌を際立たせる。

 魔力を糸に編み込み作られている為、見た目はペラペラの防具でも耐久はそれなりにあるそうだ。


 普段着用に購入したのは、パステルイエローのミニスカートのワンピースだ。

 胸下辺りで白いリボンが結ばれており、スカートの裾にはレースが縫い付けられており、ツキミの可愛らしさを倍増させている。

 ツキミは早速黄色いワンピースに着替え、そのまま王都巡りを再開した。



 可愛いツキミに吸い寄せられてくるのは、優しい人々ばかりではない。

 ガラの悪いチンピラみたいな奴らもあわよくばを狙って声を掛けてくる。


「ネエチャン可愛いね、どう?俺達とちょっと楽しい事しない?」


 美味しい物を貰い、服を新調しご機嫌なツキミは警戒を忘れ、そのままチンピラ達について裏路地へと入っていってしまった。


「楽しい事ってなんなのだー?」


 ツキミがウキウキと聞くと、男達は下品な笑い声を上げながら、ツキミを逃がさないように取り囲み路地を進んでいく。


「もう少ししたらイイ所に着くからよ、極上の体験をさせてやるぜ」


 ゲヘヘヘヘヘヘと、周囲から汚い笑いがドッと沸き上がった。

 その笑い声に不快な気持ちを募らせツキミは拒絶を告げる。


「やっぱり楽しい事はいらないのだ、帰るのだ」


「おっと、そうはいかねーぜ」

「折角見つけた可愛い子なんだからよ、楽しまねーとな」

「もちろん、俺達がな!ガハハハハハハッ!!」


 そう言って逃げようとするツキミの腕をつかみ、腹にパンチを入れ動けなくさせる。

 ツキミは空気を強制的に吐き出させられ、抵抗する間もなく男達に押さえつけられた。


 男達がツキミの服を破こうとした瞬間、頭上より「フハハハハハハハハ」という笑い声が舞い降り、骨の雨が降り注ぎ男達に突き刺さる。

 苦悶の表情を宿し上を見上げる男達の目に映ったのは、漆黒のマントをはためかせ屋上より路地へ飛び降りてきた大きな棺を背負った青年だった。


 青年はそのまま骸骨兵を出現させ男達へと切りかからせる。

 男達は堪らず一心不乱に逃げ出した。


「お嬢さん此処は深淵の入り口だ、すぐに光へともど……あれ?」

「オンハルトなのだ……、助かったのだ」


 オンハルトがツキミを認識し一瞬素に戻ったが、ツキミは気にせずお礼を告げる。

 すぐにいつもの調子に戻り、オンハルトはそのまま路地の奥へと姿を消した。


「オンハルトはいつも神出鬼没なのだ……」


 今度は変な人に絡まれないように、猫モードへと変身して表通りに戻っていった。



 人に踏みつぶされないように道の端を歩いていると、幼女がトテテテテとツキミに寄ってきた。


「もふもふ~、かわいい~!」


 幼女がツキミの頭から背をゆっくりと撫でてツキミに微笑む。

 小さな手で優しく一生懸命撫でてくる幼女が可愛らしく、ツキミもゴロゴロと喉を鳴らしながらその手に身を任せていた。


「ままぁ~、このもふもふつれてかえるの~!!」


 幼女がツキミを抱きしめて、母親と思わしき人におねだりをする。

 ツキミにはこの後も透との旅が待っているので、ここで幼女に連れて帰られるわけにはいかない。


 幼女を爪で傷つけないように慎重に、けれども必死で拘束を抜け出し塀の上に飛び乗り走り去っていった。

 後ろから幼女の泣き声が聞こえ心苦しくなりながらも、頭を振りながらそのまま走る。


 少し広い公園のような所まで来て一休みを決め、ベンチの上で丸くなり沈み始めている太陽の光を堪能する。

 気持ちよくうとうとしていると、間近から覗き込まれるような視線を感じ片目をあけ確認すると、すぐ真横に野良猫が立っておりツキミの匂いをふんふんと嗅いでいた。


「にゃぁ」


 ツキミは猫であるが、獣人族で人間と同じ言語を使っている為、猫語の理解ができず首を傾げていた。


「わからないのだ、ごめんなのだ」


 しょぼんとしつつ野良猫にそう返答すると、悲しそうに野良猫は「にゃぁ」と呟いてツキミの顔面をぺろぺろと毛繕いをしはじめた。

 気持ちよさげに目を細め毛繕いを受け入れていると、野良猫は徐々に鼻息が荒くなり甘噛みへと変化していく。


 若干鬱陶しそうに顔を振りながらも動くのが面倒くさく甘噛みを我慢していると、野良猫は更にヒートアップしていきツキミに覆いかぶさり襲い掛かってきた。

 流石に振り払い、軽い雷撃を撃ちこみ飛びのく。


「なにするのだ!!!!」

「にゃああああ」


 目が完全にハートマークになって鼻息の荒い野良猫は、雷撃を受け若干ビクンビクンしながらもジリジリとツキミへとにじり寄っていく。

 そんな野良猫を見て恐怖に染まった表情を浮かべ、ツキミは宿へと向かい逃げ出した。


「猫でも気持ち悪かったのだ……」


 後ろからまた「アオーン」という発情期特融の遠吠えが聞こえてくるのを、気付かないフリをして宿へまで走っていった。



 宿に戻るとベッドでぐーすか寝ている透を発見し、若干の八つ当たりを込めお腹の上にダイブをし透を叩き起こす。


「ぐへっ、何すんだよ」

「なんでもないのだ」


 いきなり叩き起こしても怒らないし、人間モードでも猫モードでも襲い掛かってこない透に安心感を募らせ、最初の店主に貰った果実を取り出し透と分け合う。

 すると透も机の上に置きっぱなしにしてあった、屋台で買った肉料理の数々を持って来てそのまま夕食にし、いつも通りの鍛錬を行いベッドへと入った。


「やっぱり透の隣が安心するのだ」


 ボソっと告げたツキミの思いは既に意識を失った透には届いてはいなかったが、透の寝顔を見て満足したように微笑みツキミも目を瞑り睡魔に身を委ねたのだった。


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