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最強の武器はこの妄想力  作者: 緒嶋まゆ
第一章
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養成所編◆校内ダンジョン 後編

2021/1/23 改稿

※物語の流れに変更はありません。

 下の階に降りた二人の目の前に現れたのは、先ほどと変わらない狭い通路だった。

 少し進むと奥からボヨンボヨンとした音が大量に近づいてきており、拳銃モードへと戻したルドニール改を握る手が汗ばむ。


 角を曲がってきて現れたのは大量のスライム達だった。

 即座にツキミが多くの雷撃を放ち、透は押し寄せてくるスライムに飲み込まれるのを阻止する為に前方に通路の高さ半分ほどの結界を張る。


「倒しても倒してもキリがないのだああ」


 涙目で雷撃を撃ち続けるツキミをよそに、結界の外にはスライムの群れが到着したが、知能が低いのか立ち止まろうとも結界を乗り越えようともせず、ただただ前に前にと進んでくる。

 結界にボヨンと当たっては弾かれ、後ろのスライムに弾かれ、また結界に当たってというのを繰り返している。


「ツキミ、結界の維持を代わってもらう事はできるか?」

「はいなのだ、任せるのだ」


 ツキミの結界が、透の結界の内側に張れたのを確認し、透は結界魔術を解く。


「チェンジ、マシンガンモード」


 ルドニール改に向けてそう呟き魔力を込めると、青く光り始め主の想像に答えるように姿を変形させていく。


 回転弾倉が無くなり全体的にずんぐりむっくりしていた銃身が細く伸びスタイリッシュになっていく。

 弾帯は無く、代わりになみなみと魔力が詰め込まれた弾倉が機関部へ付けられていた。


 弾倉部分は透明になっており中で波打つ透の青い魔力が光っている。

 機関部から銃口まで掘られた溝に沿って、透の青い魔力が流れているが、弾倉とは()()()()()()()


 光が霧散した後には秒間100発の魔力弾を放つ事ができるマシンガンへと、戦闘に関係ないデザインを含めて姿を変えた。


 スライム目掛けて魔力弾を乱射していく。

 結界の外に大量にいたスライム達は瞬く間に屠られ、ダンジョンへと吸い込まれていった。

 最後の一匹がダンジョンに返った事を確認してツキミは結界を解いた。


「透に良い所取られてばかりなのだ……」

「まだまだダンジョンは始まったばかりだろ、これからいくらでもモンスターはいるさ」

「うむなのだ……」


 自分の雷撃ではスライムの物量に敵わず少ししょげてるツキミを慰め、2人は再び迷路を進みだした。

 途中でスライムの群れにもう1度出会ったが同じように殲滅した。


 ボス部屋前に到着し息を整え扉を開くと、地面を埋め尽くすほどのミニスライム達と奥に2m程のでかいスライムがいた。

 大量のスライムを前に透はマシンガンをぶっ放し、ツキミは結界を張る。


「ツキミ!結界を張りながらでかい奴を殺れるか!?」

「任せるのだ!!!」


 ツキミは今まで良い所無しの鬱憤もこっそりと込め、特大の雷撃を巨大スライムへと撃ち込む。

 その一発で巨大スライムは消滅し、周りのミニスライムも数十匹は巻き添えを食らってダンジョンへ吸い込まれていった。


 透が残りのミニスライムをマシンガンで倒しながら、援護を頼むと雷撃を飛ばし殲滅していった。

 全てを倒し終わり、肩で息をしている2人は少し休憩をする。

 魔力回復薬を飲みツキミに疲労回復魔術をかけてもらうと、気を取り直して下層へと進んでいった。



 その後順調に2人は3、4、5階層を下っていく。


「やっと6階層か、折り返しって事だな」

「これならなんとかなりそうなのだー」


 今までの階層では蝙蝠だったり、宝箱に擬態したミミックだったり、1m級のサソリだったりが襲ってきたが、驚きはしたものの落ち着けば難なく処理する事ができた。

 少し余裕が出てきた2人はダンジョンに入った当初のような、ガチガチの緊張はしておらず肩の力が抜けてきていた。


 ガコンッ


「……ぇ?」


 透が音の鳴った足元へと視線を移すと、足先の石畳が少し凹んでいた。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ、という大きな音と共に目の前の通路がスライドして壁が現れた。

 代わりに今まで壁だった場所に通路が出現する。


 どうやら迷路の形が変わる罠のスイッチを押してしまったようだ。


「そういえばダンジョンには罠があるって言っていたのだ」

「あぁ……忘れてた……」


 透は少し気を落としながら、新しく出現した通路の奥へと進んでいった。

 その後も罠に嵌るわ嵌るわで、ボス部屋の前に辿り着いた時には2人とも土埃でドロドロになっていた。

 泥水が張ってある落とし穴に落ちたり、上から水が滝のように降ってきたり、大きな岩に追いかけられたりと……定番の罠がぎっしりと詰め込まれた階層だった。


「疲れた……」

「モンスターが出なかったのがまだ良かったのだ……」


 ボス部屋を開けると中にモンスターはおらず、周囲への警戒を強めながら部屋へと入っていく。

 すると後ろの扉がバタンッと勢いよく閉まり、周りの壁が狭まってきた。


 急いで奥の階段と思われる所へ向かって走り出すと、左右の壁から炎が噴射され2人を襲う。

 素早く結界を張って階段へと滑り込み、なんとか無事に通り抜ける事に成功した。



 その後、7、8、9階層は罠とモンスターが組み合わさって出現した。

 透はもしやと思い魔力絨毯を展開すると、床に仕込まれている罠の部分に違和感を感じ取る。


 試しに違和感の部分を押すと、壁から土柱が飛び出してきて隣にいるツキミを吹っ飛ばした。


「ああああ、ごめん……」

「いたいのだ……絶対わざとなのだ……」


 涙目で恨み言を言うツキミに暫く謝り倒して再びダンジョンを進みだす。

 戻ったら美味しいお肉を御馳走するという約束をして、やっと機嫌を直した。


 その後は魔力絨毯に集中して極力罠を回避しつつ、ツキミがモンスターを迎撃するという作戦でなんとか突き進む事ができた。

 9階層のボスが終わると2人は疲れにより座り込み回復薬を飲む。


 残すところはあと最下層の10階層のみとなり、そこはダンジョンボスのみが存在する場所である。

 2人は覚悟を決め階段を下りて行った。


 10階層へ降りるとそこには座った状態でも、透の身長を超える程の巨大な美女が玉座で眠っていた。

 透とツキミは警戒を緩めず、にじり寄っていく。


 水色の髪の毛を高い位置で1つに括っており、縛った所から流れている髪の途中には金色の装飾具がついている。

 頭上には中央に大粒のサファイアがはまった金色のティアラが輝きを放つ。


 美女が目を覚ますと2人を見つめながらゆっくりと立ち上がり、その手に身長ほどもある大きな杖が現れた。

 身体のラインがくっきりと出る青いドレスで膝あたりから裾が広がっており、まさにマーメイドのようだ。


「汝の力、妾に示せ」


 美女が言葉を紡ぐと同時に攻撃が仕掛けられ、最終戦闘が始まった。


 杖を1振りすると辺りの床が凍り、冷気が二人を襲った。

 ツキミは氷を溶かすように炎球を放ち、透も炎を纏った魔力弾をぶっ放す。


 それを氷の壁が現れ、容易く防いだ。

 そのまま氷の壁の横から巨大な氷塊が2人に襲い来るのを、左右に飛んで回避する。


 だが、飛んだ先の足場は既に凍らされており、着地した2人はツルりと脚を滑らせながら壁に向かって流されていく。

 それを透はガンブレイドの刃を地面に突き立て停止し、ツキミは爪を立て踏ん張ると更に踏み込み壁に向かって加速した。

 そのまま壁を蹴り空中で態勢を整えると雷撃を美女へ向かって放つが、新たに現れた氷の壁によって容易く阻まれてしまう。


「壁は何とかする!でかいの1発ぶちかましてくれッ!」

「任せるのだっ!」


 壁までの地面に炎弾を放ち、走れる道を作った。

 そのまま壁へ向かって全力で駆け抜けるながら、ルドニールに魔力を注いでいく。


 剣身が炎を纏って鮮やかな赤白い光を放ち、精一杯の力を込めて氷の壁を切り刻む。

 壁が崩れた瞬間、ツキミが特大の炎球を放った。


 透は巻き込まれないようにサッと距離を取り、ダメ押しとばかりに炎弾を撃ち込む。

 美女は炎の攻撃を防ごうと氷の壁を出そうとするが、二人の炎によりすぐさま溶かされていき、その身を灼熱で焦がした。


「見事だ……」


 呻き声を残して美女は消えていき、そこには5cm程の魔石が落ちていた。

 それを拾うと二人は抱き合い、初めてダンジョンを踏破した喜びを分かち合う。



 地上へと戻りギルドへ顔を出すと、すぐにラティが駆け寄って出迎えてくれた。


「お疲れ様!怪我は無いかい?」


 2人して「大丈夫」と返答すると、安堵した様子で微笑みを浮かべる。

 そして校内ダンジョンの真実を教えてくれた。


 弱いモンスターでも色々な種類との戦闘に慣れる事、罠への警戒や対応を学ぶ事等、目的の為命を落とすことは絶対無いダンジョンだったと言う。

 どれだけモンスターに痛めつけられようが、罠に嵌ろうが、潜っていた冒険者の生命の危機に陥ると魔術陣が展開し直ちに地上へ戻れるようになっていた。


 だからこそ、傷を負っても()()()()()()()()()()、痛め続けられてしまう。

 なんとなく現状を打破してがっつり稼ぎたいという理由で冒険者になった者たち程、その経験で挫折し冒険者を辞めると言う者も少なくない。


「勿論辞めてしまうのは悲しい事だが、それよりも自分の実力を把握していないままダンジョンや強いモンスターに出会って命を落としてしまう事よりかはマシだからね」


 仕組みを聞いてなるほど、と頷く2人。

 そして僅かばかりではあるが、ダンジョンで入手したアイテムを出しどうしたらいいかを尋ねる。


「魔石はギルドで買取もできるし、より強力な武器等を作る際に用いられる事がある。持って行ってもいいし売るもいい、君達の自由だ」


 透の武器は自分で具現化させる為特に魔石は必要が無く、ツキミも猫モードで戦う事が多い為武器を持たない。

 2人は現状では使い道が思いつかない為、とりあえずギルドで買取をして貰う事にした。


「必要になったらその時きっとまた手に入るのだ」


 その後他愛もない話をして、ラティが明日以降の予定について話し出した。

 明日はゆっくりと休養を取って、明後日に卒業模擬試験を行うという。


 ブロンズランクの冒険者と模擬戦を行い勝利する事ができれば、ランクも上がり養成所で教える事は無くなったと判断され、卒業となる。

 2人は力強く頷き、明後日に備えて宿へと戻っていった。

やっぱり戦闘シーンはテンションが上がってサクサクと書けますね!

ついつい細かく書きたくなってしまいますが、先は長くダンジョン10階層全部描写していると何話も続いてしまいそうなので端折ってしまいました……。

それでも長くなった……。



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