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最強の武器はこの妄想力  作者: 緒嶋まゆ
第一章
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養成所編◆校内ダンジョン 前編

2021/1/19 改稿

※物語の流れに変更はありません。

 翌日、心を躍らせながら透とツキミはギルドへとやってきた。

 受付に声を掛けラティが来るのをしばし待つ。

 透は勿論の事、ツキミもダンジョンという物に入るのは初めてだ。


「やぁ、おはよう」


 ラティへと挨拶を返し、ダンジョンについての説明を受ける。


 そもそもダンジョンとは基本的には地域の魔力が集結した部分に自然発生でできる物と伝えられており、中の様子は森林であったり、洞窟であったり、草原であったり、様々になっている。

 中に存在しているモンスターはダンジョンの魔力で生成された物で、倒しても一定周期で再度沸いて出てくる。

 モンスターを倒すと魔力の状態へと戻りダンジョンに吸収され、その際に稀にアイテムを落とす事もある。


 意図的に魔道具により人間が作成可能な物もあるが、作成には膨大な魔力を消費する為、上位の魔術師が数十人集まってやっと作る事ができる。

 今回のダンジョンは養成所用にギルドが管理している人間が作った、初心者向けのダンジョンとなる。


 全10階層から形成されており、小さい迷路のような階層となっており、各階層ごとの一番奥にはボスが存在している。

 ボスを倒すと奥にある階段が利用できるようになり、下層へと進む事が可能となる。


 最下層にはボスのみ存在しており、倒すと転移魔術陣が利用可能となり一気に地上に戻ってくる事が可能だ。

 他にも各階にはモンスターは勿論のこと、隠し部屋、罠、宝箱等が存在している。


「以上だ、何か質問はあるか?」

「いえ、大丈夫です」

「そうか、では今回のダンジョンは2人のみで行ってきなさい」


 この町を出れば2人で生きていくしかないので、基礎を教えたら基本的には冒険者のみで怪我をしつつも学んで成長していかなければならない。

 その為に養成所に通う人々は職員の許可が下りると、冒険者のみで校内ダンジョンの攻略へ挑む事となる。


  2人はラティがお守り役として来てくれるものだと思っていた為少し驚愕をしたが、緊張した表情を見せつつも力強く頷いた。

 その様子を見てラティも安心したように微笑み、ダンジョンの入り口まで案内をする。


 2人を送り出した後ラティは自分の部屋へと戻り、仕事をしつつもソワソワと窓の外を何度も見ている。

 その様子を見ていた秘書は苦笑いしながらラティを窘めた。


「そんなに心配しなくてもあの2人は規格外ですし、ギルド長が直々に教えていたんですから大丈夫ですよ」

「それも……そうだな……、久々に自分の教え子を持つとつい心配になってしまうものだな」


 若干の落ち着きを取り戻したラティは先ほどより集中して仕事を片付け始めたが、それでも若干のソワソワは隠せずチラチラと時計を気にしていた。



 ダンジョンの中は薄暗く、人が2人横に並ぶのがギリギリ位の道幅で、天井も3m程とそこまで高くない全体的に窮屈した印象を与えてくる場所だった。

 ツキミは機動性を重視して猫モードのまま探索へと挑む事にし、2人は身を寄せ合いながら恐る恐る進んでいった。


 ズリッ……ズリッ……


 前方から何かを引きずるような音が聞こえ、2人は臨戦体制に入り警戒をさらに強めた。


 前方の暗がりから現れたのは、緑と茶色が混じって濁った色をしている胴体から下がドロリと溶け出したモンスター。

 持ち上げている腕だと思われる所からも、ボタッボタッと何かが滴り落ちている。


 這いずって進んで来た場所には、何かの液体と思われるような物が跡を作っており、ゴーレムを創ろうと思って泥に命を吹き込むのを失敗しました、と言われれば納得できそうなモンスターだ。


 ツキミがお得意の雷撃を飛ばして、モンスターの頭を撃ち抜く。

 しかし、泥が電気を吸収してしまっているようで、焦げる事も爆散する事も無く、何事も無かったかのように2人に向かって歩みを続けた。


 モンスターが腕を勢いよく振り下ろすと、下に落ちるはずだった泥が2人を目掛けて飛んでくる。

 それをジャンプで避け、透はルドニール改を構え魔力弾を3発撃ち込んだ。

 頭1発と胴体に2発当たったモンスターは周囲に弾け飛びそのまま粒子となってダンジョンへと吸い込まれていった。


「雷撃が効かなかったのに少し焦ったのだ、ありがとなのだ」


 透はツキミにヒラリと手を振ると、ルドニール改をしっかりと握りしめて通路を進んでいった。

 警戒は緩めないまま手元の大きなガンブレイド姿をしているルドニール改を見つめ思案をする。


(もしかしなくても、こんな狭いダンジョンじゃガンブレイドなんて邪魔なんじゃ……)


 少し悲し気な表情を浮かべた透は一瞬目を瞑る。

 するとルドニール改に光が集まり、大きな刃を形成していた部分がスッと消え、元のずんぐりむっくりした拳銃へと戻った。


 広い場所になったらまた元に戻そうと決め、そのままツキミの後ろを追うように足を速めた。



 迷路になっている為、何度か道を間違えては戻りを繰り返し、大きい扉がある開けた場所へとたどり着いた。

 早速拳銃からガンブレイドの状態へとモードチェンジを行う。


 ここまで来るのに時間はかかったが、最初の奴を含めて3匹のドロドロとしたモンスターとしか出会う事は無かった。

 大量に襲われるよりはマシではあるのだが、思っていたより戦闘が少なく若干の気疲れをしている。


「この扉の先がボス部屋ってやつか……?」

「多分そうなのだ」


 深呼吸をし集中力を高め、透は扉にグッと力を込めて押した。


 扉の先には少し広いホールが広がっており、中央に3m程ありそうな巨大なゴーレムが1匹鎮座していた。

 胴体の真ん中部分に魔力が溜まっている部分があり、ユラユラと怪しく光を放っている。

 そこから四肢へと溝を伝って、光と共に魔力が流れているようだ。


 ゴーレムの目元に光が灯り、部屋へ踏み入れた透とツキミの方へと焦点を合わせたのが伝わってくる。

 動き出すゴーレムに合わせ、2人も飛び出した。


「ツキミ!雷撃じゃなく他の魔術は打てるか!?」

「いけるのだ!」

「よし頼んだ!俺が奴を引き付ける!」


 そのまま透はゴーレムへと向かう。

 走りの勢いを殺さぬままゴーレムにガンブレイドの刃を叩きつけると同時に、ツキミの水で作った球が勢いよく次々とゴーレムへ当たり後ろへ仰け反った。


 片足を上げて仰け反るゴーレムの支柱になっている足を集中的に横薙ぎに切りつけると、ゴーレムは堪らず後ろに倒れてしまう。

 倒れる際に大きな振動が二人を襲い、倒れそうになるのをグッと堪えて透はゴーレムの上へとよじ登った。

 真ん中の魔力が溜まっている部分を目掛けてルドニール改を突き立てる。


「グガアアアアアアアア」


 ゴーレムが唸り声を上げながら、透を潰そうと腕を振り回すが、すかさずツキミが水球を飛ばしそれを阻止する。

 そのチャンスを逃がすまいと刃は突き立てたまま、更に魔力を込め引き金を引いた。


 何発もの魔力弾が中央の核のような部分に撃ち込まれ、そのままゴーレムは力尽き粒子となってダンジョンへと吸い込まれていった。


「「ふぅ」」


 溜息を付きその場に座り込む2人。

 比較的すんなり倒せたとはいえ、これだけ大きなモンスターを相手にするのはこれが初めての体験だ。


 相対中は恐怖心を必死に抑え戦っていたが、ゴーレムが消え倒せた事を実感すると、徐々に安堵が溢れそれと同時に恐怖で震えてくる。

 冒険者になる者は皆が皆最初から勇敢なわけではなく、それぞれ恐怖を乗り越えて進んでいるのだ。

 その一歩を2人は無事に踏み出す事に成功した。


 ゴーレムが消えた場所には小さいが魔力の塊の魔石と呼ばれる物が落ちていた。

 透がポケットへと魔石をしまいツキミへ歩み寄った。


「立てるか?」

「なんとか大丈夫なのだ」


 少し休憩した2人は揃って体の土埃を叩いて落とし、下層へと続く階段を下りていった。

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