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最強の武器はこの妄想力  作者: 緒嶋まゆ
第一章
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プロローグ

プロットすら書かず見切り発車です。

やりたいを詰め込んで執筆して行こうと思いますので、

どうぞよろしくお願いします。


2020/7/1 改稿

※物語の流れに変更はありません。

「駄女神があああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」


 雲一つない青い空に青年の絶叫が吸い込まれていった。

 辺りを見渡してもそれに反応する人はいないどころか人の気配や建築物も全くない。


 広大な草原のど真ん中で、青年は肩で息をしながら悪態をついていた。

 すると、その大声に吸い寄せられるように遠くから一匹の猫が猛烈な勢いでこちらに向かってきた。

 その後ろから筋肉の塊といえそうな巨大な熊3匹に追われる形で。


「たーすけてええええええええええ」


 猫が泣き叫びながら青年に向かって突進を続ける。

 その後ろにいる大熊3匹も猫を追う形で突進を続ける、時折その前足から通常の熊ではありえないような光の刃が発射され草を刈り地面を抉り猫の首を狙う。


 喋る猫と筋肉達磨かつ数メートル先まで飛ぶ殺傷能力の高そうな光の刃を放つ熊3匹という尋常ではない光景が急接近をしてくるので、青年はとりあえず背を向け……。

 そして逃げ出した。


 現代の日本育ちで特に突出した身体能力があるわけでも無く新しい世界に来たばかりで能力の使い方も分からない青年の足と、能力の使い方を熟知しており身体能力の高い獣の足、どちらが早いかは明白である。


 この猫と熊達が青年に追いつけばそこで青年の命は熊によって簡単にもぎ取られるだろう。

 青年は走りながらも頭をフル回転させていた、先ほど絶叫と共に罵った女神の言葉を思い出し生存への道を切り開く為に。


 そして青年の体が青く光ったかと思うと手には大きなロケットランチャーが召喚された。

 初めての魔術が成功した事に青年の口角がニヤリと上がる。


 くるりと獣達に向き直ると青い光が銃口に集まり弾を創り上げていく。

 それが銃口から発射されたかと思うと迫りくる獣達を捉え、辺りを爆風が包み込んだ。


 青年はロケットランチャーの発射直後から急に身体中の力が抜け、糸が切れたようにそのまま意識を手放した。

 薄れゆく意識の中に猫の絶叫と力が流れこんでくるような不思議な感覚を覚え、いつもの日常から唐突に放り出されたこれまでの非日常を夢に見た。


 ◇◆◇


 人に聞かせる気があるのかと疑うほど淡々と参考書を読み上げる講師の声と、明らかに講義を一切聞いていない奴らの話し声を聞き流し、四枚の黒板を埋める程の数式を脳死のままノートへと書き写す。

 今時の大学生らしいチャラっとした感じも一切無いいたって平凡そうな長瀬透(ながせとおる)は、他の生徒と話す事も無く板書を写しながら妄想の世界へとトリップをする。


 透はアニメや小説などが好きなオタク寄りの人種であり、暇さえあれば思考の片隅で異能力を使い冒険をしハーレムを作る妄想をしている。

 そして無いとはわかっていつつも、その世界の主人公のように自分も異世界へ行って非日常の中で生きたいと願っていた。


 本日の講義の終了を告げる鐘が鳴り、生徒が続々と帰路へ着く。

 透も皆と同じように荷物をまとめ教室から出て大学の門をくぐった所で非日常は起こった。


 トラックが道路に飛び出した生徒を避けようとハンドルを大きく切り、透の方へとスピードを落としきれず突っ込んできた。

 世界が遅くなり走馬燈が流れ透は呆気なく散る自分の命を感じ、家族や今までの人生について思いを巡らせていた。

 目の前にもうトラックが迫り思考が更に加速し、最後にポツリと呟きが残された。


「こんなんで本当に転生できるわけじゃないし……求めていた非日常はこれじゃない……」


 そのまま痛みを感じる間もなく意識が途絶えた。




 全身に痛みを感じ悶えつつ目を開けると、そこには何もない空間が広がっていた。

 ここは天国か地獄か、はたまたそんな物は存在せず死後の世界というのはただの無が広がっているのか。

 そんな事を透は考えつつ辺りを見渡していると、光が降り注ぎ目の前で集束し女神となり透へと囁くようで明瞭な声で語りかけた。


「不運にも亡くなってしまった人の子よ、貴方には選択をする権利を与えましょう。元の世界の輪廻へと戻り新たなスタート切る、もしくは、その記憶を残し別世界へと転移する。お好きな方をお選び下さい」


 死にしろ神にしろ、それは何時だって唐突に降ってきて理不尽を振りまく。

 透はそんな理不尽は御伽噺の中だけだと思っていたが、どうやら身を持って体感する事となった。


 だが、日頃から妄想の中で異世界での戦闘をしていた透には願ったり叶ったりの話が降ってきたのだ。

 勿論透の中で回答は悩む間もなく決まっているわけだが、逸る気持ちを抑えウキウキした心情が露出しないよう極力冷静に話しを切り出した。


「別世界へと行った際のデメリットを教えてはくれないか」

「お答えしましょう、まず世界を渡った者は元の世界、更には渡った世界の輪廻へも戻る事は出来ません。生きたまま元の世界へ帰る事も叶いません。そして訪れた世界を救って下さい。その代わり武器となるよう貴方の望むモノを1つ用意しましょう」


 女神はそのまま元の世界の輪廻へと戻る事についての説明も行ったが、どちらにせよ透は一度死んでしまった身の為、元の長瀬透としての人生に戻る事はできず新しく生まれ変わる順番を待ち、次の転生時には人間としての生命を授かるかは不明だと語った。


 透の中で気がかりだった事は、平凡で何もできない透をそれでもかわいがってくれていた祖父母であり、長瀬透の人生はどちらを選択しても終わりを迎えているのであれば異世界へと渡る事を悩む理由はなくなった。


「何を武器として望むか考えたい、渡る世界の事を教えてもらう事はできないだろうか」


 女神が語る新たな世界はまさに透にとってはどんなアニメの世界よりも魅力的だった。

 魔力を使う事により、イメージを具現化する。


 あのアニメの世界や小説の世界の能力を、どんな物でも自分の力とし使う事ができる場所は、まさに透が望んだ異世界その物であった。

 イメージは透の中でずっと燻っていた、後はそれを創造する手段、その能力さえあれば世界最強になる事もできる自信すらある。



「俺は枯渇する事の無い膨大な魔力を望む」


 声高々にそう宣言すると透の中に莫大な力が流れ込んでくる……という事はなく、女神は少々困惑した声で囁いた。


「それは……無理ですね」


 ポカーンと気の抜けた顔のまま氷りついてしまった透を見て、女神は慌てて代わりの能力付与を提案し始めた。

 降り立った瞬間から世界最強となる事はできないが、努力により最強になる事は十分可能だという。


「レベルが上がる事によるステータス上昇幅を最大へと固定、また特殊能力として魔力が枯渇する度に最大魔力量が増える女神の加護を捧げましょう」


 女神の出した条件は十分魅力的な物ではあったが、最初から世界最強、あんな物やこんな物を創造する事を目論んでいた透は落胆を隠せないまま渋々その条件に頷いた。

 とりあえず安全な場所での魔力枯渇を繰り返して魔力最大量を伸ばし、レベルを上げればいいかと考えながら。


 女神は頷いた透を見て安堵した様子で女神の加護の付与を始め、終了すると世界を渡る為の詠唱を開始した。

 その心地よい詠唱を聞きながら透は目を閉じ新たな旅立ちに思いを馳せていた。

 その表情には先ほどまでの落胆や新しい世界への不安など微塵も感じさせないような自信に満ち溢れた笑みが宿っていた。

 詠唱が最後の節へと入る。


「主よ、この新たな希望の道筋に幸ありゃん……あっ、ミスった……。」


 最後の最後で女神は詠唱を噛んだのだ。

 透が驚きのあまり目を見開いた瞬間、足元に魔法陣が広がり辺りが光に包まれた。

 

 強烈な浮遊感に襲われる中で「が、がんばれ~……おまけでなんとなく、凄そうな能力を付けておきますので……」と焦ったような声が耳に届いた。

 本来だと始まりの町のような場所に送り出してくれると女神は話していたが、目を開けてみるとそこには何も無い草原が広がるのだった。


 ポンコツな女神に悪態をつきながら空に向かって絶叫した。

 駄女神が、と。

 そして変な猫と熊に襲われ、必死の思いでロケットランチャーをぶちかます。


 ◇◆◇


 視界が白く染まっていき、真新しい倦怠感と草と獣の匂いに鼻孔をくすぐられ、透はゆっくりと目を覚ます。

最後までお付き合いありがとうございます。

誤字脱字等ございましたらご報告頂けますと幸いです。


亀更新ではありますが、ゆっくり書いていこうと思いますので、

よろしくお願いします(*´▽`*)!


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