エピローグ
さて、こんな三文小説紛いの騒動にも、いくつかのオチと言うものがついた。
今は、あれから――俺がハクロヌを倒しリトゥアを取り返してから一週間が経とうとしている時だ。
ネスメアを狙うビヨンディアン過激派は指導者と頼りにしていた兵器を失ったことにより敗走。現在のネスメア、及びセブリア準州は、新たに就任した対ビヨンディアン穏健派の統治官や、ジャクソンの跡を継いだ彼の隠し子と共に、再び本土人とビヨンディアンの共存を目指して動き出した。まだ差別は各所に残り、その道は長く険しいだろうが、きっと、俺たちが諦めない限り、いつか誰もが笑っていられるネスメアが戻ってくるだろう。
当然、町に平和が戻れば、ファナさんの教会にも、また温かな平穏が戻ってくる。今日も、あのステンドグラスを覗いてみれば、きっと楽しげに笑う子供たちとファナさんがそこにいるだろう。
一方、保安官としてネスメアを守護する側にいるジェームズだが、なんとこの度、異例の若さでの昇進だそうだ。何でも、一連の事件の中で、バートン派の保安官が大量に抜けたため、繰り上げ的に優秀な保安官は昇進していったらし。……羨ましくないと言えば嘘になる。
そして肝心の俺たちだが……、
「おお〜! 立派な家だな〜!」
「ほら、ビリー。ぼうっとしてないで、早く家具を入れましょう」
ネスメアに一つ家を買った。しっかりした造りのいい家だ。
竜種狩りのときに手に入れた金がまだ残っていたので、その資金で購入したという次第である。二人で住むにはちょっと広いが、ここが新たな俺たちの拠点だ。
「ビリー、テーブルはここでいい?」
リトゥアが、魔術でテーブルを浮かせながら聞いてくる。ちなみに、このテーブルや家具も、残った金で揃えた。
「あー、そこでいいんじゃない?」
「……適当ね」
「いやさ、これまで自分の家ってものに住んだことないから、勝手がわかんねぇんだよ。それにこれからだって、どうせ仕事だ何だでいっつも家に帰ってこられるとは限らないし」
するとリトゥアは、ちょっと怒ったように目を細める。
「そんなことはわかってる。でも、だからこそ、いつかは帰ってこれる私たちの家をネスメアに買ったんでしょ?」
「……そうだったな。じゃ、テーブルの位置も長く住みながら落ち着く場所を探そう」
「そうね」
俺たちは、そんな下らない話をしながら新居を整えていった。
「ねえ、ビリー。次はどこに行くの?」
「さあ、どうだろ。ジェームズのヤツが、隣町で人手不足だから手伝ってくれって言ってたし、ちょっくら行ってやろうかな」
「なら、私もついて行くわ。子供っぽいあなたを一人にしていたら不安だもの」
「ハハ、言うようになったな」
「あなたのお陰よ」
どちらともなく、笑みが漏れる。
きっと、これからだって楽なことだけじゃないだろう。俺とリトゥアだって、もしかしたらぶつかり合うときだってあるかもしれない。
けど、その先がわからない荒唐無稽さこそがきっと……、俺たちの……!
「自由なんだ……!」
もし、ここまで読んで下さった方がいましたら、心から感謝申し上げます。




