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竜種狩り 2

「そんで、リトゥア。狩りに適した場所ってのはどんな所だ?」

 俺はスチームバイを運転しながらリトゥアに話しかける。

「燃えるものが少なくて広い場所が最適。ここら辺だと西にある岩場がそれに当たるわ」

「よし、そこに行こう。案内してくれ。ちなみに、ドラゴンはどれ位で俺らに気付く?」

「まだカナサの私たちを殺したいという念の影響を受けているから、直ぐに魔力を万全まで高めた状態で追いかけてくるはず。それに、竜種は鼻が利くから猶予は恐らく3時間ほど。岩場までの時間を考えれ、ばゆっくり体制を立て直す時間はない」

「……その3時間が勝負の分かれ目だな」

 そうなれば一分一秒でも時間が惜しい。そんなわけで、ここからはスチームバイの上で移動しながらの作戦会議と言うことになった。

 まずは確認しておきたいことがある。

「ドラゴンの鱗を俺のサンダラーで貫けるか? もちろん、しっかり当たればの話だ」

「それなら殺せるはず。竜の空気弾はビリーの大砲と互角だからあなたの腕なら防御もできるわ。ただ……」

「空気弾で相殺できるのは向こうも同じ。そんで、その隙があれば二発目は躱せるってわけか……」

 さらに、いざとなればまた大きく逃げることもできる訳で、この戦いは存外長くなりそうだった。

 だが、長期戦になったときに不利になるのは、残弾、体力、魔力と言ったものに乏しい俺たちだ。街に逃げ込んで人数を揃えれば別かもしれないが、長期戦でヤツが真っ先に警戒するのも、それだろう。

 下手したら、俺たちを止めるために町までドラゴンが追いかけてきて、町に被害を出しただけで終わる可能性もある。そして、それは俺たちが今の内に町まで逃げられない原因でもあった。

 つまり、俺たちが確実に勝つには電撃的な攻撃を成功させるしかない。

 うん、有意義な情報を聞けた。そして、次はリトゥアが俺に質問する番だ。

「その大砲、あと何発撃てるの?」

「5発だな。まあ、一撃で決めなきゃダメな勝負だし、残弾は気にしなくていいだろう」

「でも、牽制射撃や弾幕戦に近い戦い方は不可能ね」

「要するに、どっかでヤツの防御を掻い潜ってサンダラーを一発当てなきゃ負けって事だな。なかなか面倒臭い……っと、話しているうちに狩場に到着だな」

 ちょうど目の前に荒れた岩場が見えてきた。うん、条件の確認が終わった時に岩場に着けたのは僥倖だ。ここからは具体的な戦術を考える時間であり、その際に現地の地形を確認できるのとできないのでは天と地ほどの差がある。

「しっかし辺りに何もねぇな〜。でっかい岩だけゴロゴロあるが」

 とりあえず周囲を見回してみたが、利用できそうなものは遮蔽物に使えそうな岩くらいしか見当たらない。

 そもそも物自体が少なく、近道でもしようと思ったのか、無理な道を通って横転したであろう幌馬車の残骸と、こっちは何をしたかったのかすらわからないピッケル以外には何も転がっていなかった。

「そういう場所を選んだのだから当然よ。物が多いというのは、それだけ奴に燃料を渡すことになる」

「なるほどな。それがビヨンドの竜狩りのやり方か。他には何かある?」

 これは、少しでもドラゴン攻略の足がかりになればと思っての質問だ。

「竜種狩りの方法とは違うけど、私たちは竜を見かけたら飛竜避けを張ってやり過ごそうとするわ。そもそも、私たちの部族は積極的に竜を狩らない」

「飛竜避け?」

「竜は、他の竜がいる土地には向こうから襲われない限り干渉しないわ。だから、竜同士の戦いはどちらかが相手に攻撃しない限り起こらない。飛竜避けは、竜に見立てた大きな布を地面に張ってその習性を利用するための道具。これで集落に竜が寄らないようにする」

 前にも痛感したが、ドラゴンの生態というものは、本土人にとっては、まだ未知の領域だ。そんな中でリトゥアが知るビヨンディアンの知恵は上手く利用できれば有利に立ち回れる。いいぞ、攻略の取っ掛りが掴めてきた。

 だが、ヤツに勝つにはもう一押し欲しい。敵は「有利に立ち回る」程度で競り勝てる相手じゃないのだから、勝利にはもっと状況を穿つような策を考えなければ。

 俺は、さらにリトゥアに質問していく。

「積極的に、ってことは自衛とかで仕方なくドラゴンと戦うことはあるのか?もしあるなら、やり方みたいなのを教えて欲しい」

「噂になるほど凶暴な個体の場合は集落を守るために狩りに行くこともある。私たちの武器は剣が中心だから、まずは峡谷とかを使って高さを合わせてから拘束魔術で動きを鈍らせる。そうして、そこからは剣で筋肉を削ぎながら倒すわ。それでも、竜種には再生能力があるから、その狩猟法は大人数でようやく成功するもの。この場では再現できない」

 そう言って、俯くリトゥア。だが、

「いや、十分参考になった。ありがとな」

 竜種の習性、筋肉を削いで拘束、渓谷を使った高さ合わせ。確かに、全てをこの場で再現することは出来ないが、方向性としては間違っていない。これらを統合して今の状況に合わせていけば――うん、一つ戦えそうな道がある。

 時刻を見やればドラゴンの到着予想まで約2時間。今から準備に取りかかれば間に合うな。

「リトゥア、やって欲しいことがあるんだが――」

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