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バウンティハンター 3

 道中、拳銃の弾や俺が砕いてしまったリトゥアの剣などを買い揃えながら、カナサの情報を集めていく。とは言っても、リトゥアの探知魔術は昨日のように月が出ていて、なおかつ地脈とやらの条件が揃わないと使えないらしいので、手配書を使った聞き込みによる調査だ。

 だが……

「ビヨンディアンの魔術師だァ?こんな男知らねぇな!」

 結果は芳しくない。

「あのクソ浮浪者。金だけひったくっていきやがった……」

 こうなってくると、そろそろ次の方策を考えるべきタイミングか。

「うーむ、このまま適当に動き回っても埒があかねぇな。いや、そもそも本土人が作った町で分離主義者の情報を聞くのが間違ってるのか?いくら分離主義者でも腹は減るし、食い物くらいは町まで買いに来てると思ったんだが……」

 俺は町での捜索に限界を感じてそう呟く。

 だが、リトゥアは他に何か思い当たることがあるようで、俺の地図を取り出すと、いくつかの地名を確認してから話しかけてきた。

「ねえビリー、もしカナサが合衆国人を憎む余りに伝統的なキシネルサの暮らしに固執しているなら、多分、食事は狩りや漁労を中心に自給自足のような形になっていると思う」

「ああっ!」

 なるほど、その線があったか! うん、自分たちの伝統に保守思想の人間がしがみつくというのはありそうだ。

「だとすると、探すなら町じゃなくて自然が多い郊外か。……いや、でも町から離れすぎたらヤツが神出鬼没なことに説明がつかない。それなりに近い所にはいそうだな」

 ここで、リトゥアはもう一度地図を広げると、二つの土地を指さした。

「今調べたけれど、この近くでキシネルサ式の狩りと暮らしに適した場所は、北のラック・リヴァーと西のファレト・マウンテン……私たちがリョス・カーやナラサルなんて呼んでいる土地。どちらも食糧と隠れる場所に困らない場所だし、地脈が整っているから監視用の結界も張れる。何よりここらのキシネルサなら土地勘もあるわ」

「なるほど……」

 俺も地図を眺めて二つの土地を確認する。確かに、カナサが狩猟をしながら人を襲っているなら、町からこれくらいの距離の位置に陣取っているはずだ。それに、リトゥアが言っていた通り、大きな岩場と洞窟が存在するラック川と、森と斜面に囲まれたファレト山はどちらも身を隠すのは丁度いいだろう。

「……うん、何となく掴めた気がするな」

「何かわかった?」

「この二つの土地は、隠れやすさと襲いやすさは同じくらいだ。だとすれば、次に重視するのは見つかったときの逃げやすさ。つまり……」

 俺もリトゥアに倣って地図を指差す。

「ヤツがいるのはここ、ファレト山だな」

「……逃げるだけならラック川でもできるわ。私たちは少しの木があれば簡単に船を作れるし、それを使えば川の流れを利用して別の町まで簡単に行ける」

「いや、川を下るのは逃亡者のよくある手口だけど、この手段は流路が少ないラック川じゃ厳しい。いくらここの統治官が無能とは言え、川に検問くらいは張るだろう。だったら、土地勘のアドバンテージを得やすくて、なおかつカナサが炎使いなら周りの木を燃やして戦える山の方に隠れたがるはずだ。セオリー通りに行くならこっちにいるって考えるべきだな」

「……なるほど。こういうの、得意なのね」

「元兵器の癖だよ。別に褒められるようなものじゃないさ。そんなことより、さっさと出発しようぜ」

 そうして、リトゥアのアドバイスのお陰で次の方針は決定した。あとは、決めた道を進むだけだ。


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