バウンティハンター 1
翌朝、洞窟に差し込む日差しで俺は目を覚ました。まだ日は昇りたてで、辺りは柔らかな光に満ちている。
「おーい、リトゥア。起きてるかー?」
リトゥアが寝ていたハンモックを見てみると、
「……いない?」
そこにリトゥアの姿は無かった。散歩にでも行っているだけならいいが、何かの事件に巻き込まれたりしているのかもしれない。俺はサンダラーと拳銃を装備してから、書き置きを残して捜索に向かおうとする。
だが、そのとき洞窟の入り口から聞き知った声が聞こえた。どこまでも届きそうな透明の声。リトゥアのものだ。見れば、その手には籠のようなものが抱えられている。
「木の実を採ってきたわ。どれも熟れているから美味しいと思う」
そう言って、俺の前に果物の山を置くリトゥア。
本土では見たことのない不思議な形をした果物だが、確かに赤や黄色に熟れていて、思わず齧り付きたくなる。
「おー、見たことない果物ばっかだが、どれもうまそうだ! これで朝メシにするか!」
不測の事態とはいえ、せっかくの野宿なのだから森で採れたての果物を食うのも悪くないだろう。
ポケットからナイフ取り出して、朝食の準備を始める。いくつか皮を食べない果物があるらしいので、それをリトゥアに教わりながらいくつかの実を処理していった。
その間、少し手持ち無沙汰だったのでリトゥアに話を振ってみた。
「なあ、リトゥア。なんで果物なんか取りに行ってくれたんだ?そりゃまあ、ありがたいけど、これだけの量は大変だっただろ」
「たまたま早く起きたからよ」
「そういう理由か。でも、だったら寝ててもよかったんだぞ? 俺はお前を奴隷にしたい訳じゃないんだから自由に過ごしてくれ」
自由を求めてきた俺は、抑圧の辛さを知っている。それ以上に自分の無力さも知っているから、ビヨンド中から抑圧を無くそうなどと夢見ることはできなかったが、それでも手の届く範囲では、……雇った少女くらいは自由に生きさせてやりたい。生意気かもしれないが、それを否定することは、やっぱり俺がここにいる意味を否定することになってしまう。
そんな俺の言葉を聞いたリトゥアは、少し考え込むように黙った後、顔を上げて答えた。
「……あなたが私に求めていることとは違うことはわかった。けれど、私はあなたのために何かをしたいと思った……。理由は……、わからないわ」
いつもよりさらに小さな声で紡がれたのはそんな言葉。そのセリフに俺は、
「それもまた、生きてればいつか分かるさ」
とだけ答えた。理由を言えば、ただの照れ隠し。……流石にそのセリフを言われるのは気恥ずかしい。
ちなみに、一連の推測。つまりリトゥアが俺のことを悪く思っていないという想像が間違っていたときはさらに恥ずかしくなるので、絶対にこの事は口に出すまいと心の中で誓うのも忘れない。




