褪せない
傷が疼く
一度負えば
簡単に治ることなどなくて
まるで治ったかのように
振る舞い
ある瞬間に
崩れ落ちる
それを何度
繰り返して来たことだろう
それでもまだ
強がりを手放さないと
泣きつくような気持ちで思う
実像と虚像
できることなら
前者をとり
実寸の痛みのまま
抗いたい
何度優しさに触れても
慣れることができずにいる
温もりと呼ばれるものから
久しく離れすぎていたから
鉄格子に触れすぎた手は未だ
信じることという
言葉さえ知らない
ただ足が求めようとするの
歩き出してしまうの
今はその導きに似た受動に
身を任せる
瞳の光は
色褪せない
心の中で
今日も育つ