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第五話 掟と旅出。

修行パートとか要らないと思うので飛ばします。

 

 そろそろ生活にも慣れた頃、話があると言われて部屋に呼ばれた。


 なんだ?


「ヴェルくん、あと一年でこの家出て行かなくちゃならないのよ」


「……はい?借金のカタに家持ってかれるって事ですか?」

「……違う。そこまで我が家は貧窮していない。白虎(シガル)の系譜での掟でな、産まれて一年で旅の準備、そこから四十年間旅に出て見聞を広め、力をつけてくる。という物があるのだ」

「生後一年の子供を四十年も旅に出すんですか?!」

「そう、母さんも、お父さんもそうだったのよ?」


 えぇ……それは普通なのか?獅子は我が子を千尋の谷に落とす。というが、

 虎だし、獅子じゃないし、苦難ではなくただの長い旅だし。


 でも、掟なら仕方ないのか?

 納得しておこう。ここはそうするべきだ。


「わかりました……実感が全く持てないけど……」

「それは誰だってそうよ、他の系譜だと三年っていうのが多いんだからね、白虎(シガル)の系譜だけ急ぎ過ぎなのよ。私たちの寿命は3000年もあるのに」

「100年周期で多くの者が蘇生もできずに死んでいくのだから仕方ないだろう。白樹神さまが降臨なされてから試練(レイド)の回数も増えてきたしな」

「だったら尚更長い期間をかけて準備させてあげるべきじゃないの?死んじゃうわよ?」

「加護持ちだから蘇生できるだろう?」

「私は系譜全体の話をしてるんだけど……」


 言い争いだした。話について行けないんだが。

 わかるのは系譜っていうのが一つの部族に近くて、俺達家族の系譜名は「シガル(白虎)ニー(祖から二番目の子)」なのはわかる。


 系譜っていうのは種族神が広めたクロニクルっていう、種族神の子供の血を引いた人たちの事だ。

 系譜(クロニクル)の血を継ぐだけで『身体制御』スキルが確実に遺伝し、魔力が増え、寿命が十倍くらいに延びる。


 なので精霊領(エルフ領)と魔族領の人々ほぼ全てが系譜(クロニクル)の血を引いている。



 蘇生については、文明が発達しすぎて、死んでも、各都市にある蘇生院というところでクローンのホムンクルスにすぐ転生することで死を防いでいる。

 魂を壊されたり、邪素に侵されたりしてるとそのまま死ぬけど。


「ヴェルドは死なないんだから良いだろう?」

「……もうそれでいいってことにしておく」

「すまんな」



 終わったみたいだ。


「それじゃ、ヴェルド、外での生き方を教えてやろう」

「え、今から外に出るんですか?」

「お前も目くらいは操れるだろ?夜目の作り方も教えてやるから、こい」

「そんなに急がなくても良いのにね〜」





 それからというもの修行と勉強の日々だ。


 この一年の間に全部詰め込まんばかりに詰め込まれた。


 武器も全部使える様にされたし、身体が消し飛んだ時の対処法だとか使う時が来るのかわからないものまで教えられた。


 魔法は下手くそだったが、なんとか雷だけは物にできた。






 そして今日が旅出の日だ。辛い修行の日々だった……


 荷物は収納したか?食事は十分に持ったか?など色々と確認されながら門へ近づく。


 眩しい。

 世界樹の白い空が今日は一段と眩しい気がする。


「世界樹もお前の門出を祝っているみたいだな」

「眩しいのでいらん……」

「なんて不敬な事をいうの。白色が強いと私たちの雷も強くなるのよ?嬉しがらないと損よ」


 目を改変して光の入る量を減らす。

 やっと眩しくなくなったぞ……


「では、父さん、母さん。行ってきます」

「ああ、……気をつけてな」

「お嫁さん連れて来るのよー!」


 さて、出たは良いが、まずは浄化樹を何本か買っておかないと。

 家では食事とお金の準備しかしていない。

 武器と防具は現地調達らしい。

 持って行っちゃダメなんだと。



「みゃ?お客さんですにゃか?」

 普通にしか見えない黒猫が店員の木材屋に入る。

「ああ、浄化樹を12本くれ。あと浄化樹の指輪も」

「苗木じゃないですにゃよね?サイズは……」

「7m台でお願いする」

「じゃあ90万くらいかみゃ?……全然違ぅ"、89万ですにぃ」


 結構近かったんじゃないかな?

 メニュー魔法で決済する。150万貰ってたのが一気に減った。

 でも浄化樹ないと危険だしな……


 邪素に侵されて魂が壊れなくても、魔法の威力が落ちるし、邪神の落とし子と呼ばれる強い魔物の能力は上がる。


 浄化樹があれば邪素は払えるし、浄化樹を削ると出る聖素という物質を撒いて道中で精霊契約ができるかもしれない。


 便利だし、ここヤドリギと白国とかの大きな国じゃないと買えないから。

 遠いしね。


 次は防具だ、


「ん?おお、雷虎の坊ちゃんじゃねぇか。もう門出か?」

「ええ、はい。そうです。それで……」

「装備だろ?注文してたのはできてるからそこから持ってきな、60万だ」


 もう金が無くなった。10日宿生活できる程度しか残ってない。

 円とこの世界の通貨、名前がないので公共通貨と呼んでおくが、3円が1公共通貨ぐらいだ。

 残りは1万、どうせ直ぐに森に入るから関係はないが。


 防護膜と呼ばれるこの世界の下着のような防具の上に服を着て、下級聖鋼(オリハルコン)の粒子で作られた粒子鎧という物をつける。


 粒子鎧は作動機と金属の粒子からできる。

 作動機を飲み込むと登録が行われ、全ての粒子鎧を構成する金属粒子が身体に数センチ間を開けてくっつく。

 粒子一つ一つに登録者に向かい重力が作用するようになっていて、


 一切行動を阻害せず、


 身体の形状を変えても付けたままでいられるというコンセプトのもとに作られた防具だ。



 作るのが難しく、結構高い。

 下級聖鋼(オリハルコン)なんて世界樹だと腐るほど取れるのにそれでも高い。

 技術料に58万くらいは取られてる。


 下級といっても聖鋼(オリハルコン)は硬いのでいまはそれで良いのだが。

 それに上級の聖鋼(オリハルコン)になると七色に光りだすので非常に目立つ。

 下級聖鋼(オリハルコン)だとほぼ透明なので全く目立たない。

 この差は大きいだろう。



 さて、そろそろ出ようか。



#ヤドリギ


 邪神によって滅ぼされた木、

 白樹神が残っていた最後の苗木を引き受ける。

 白樹神が使い続けた木であったと言われる。


 神殺しの力があるとされる。

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