第四話 確認、把握、実践、また実践!
「これが『捕食変身』の効果なのかしら?」
「恐らくそうだが……ヴェルド、変身するかしないかの選択はできるよな?」
どうなのだろう、
舌鼓を打つことに夢中で特に覚えてない。
そこんとこどうですかメニューさん?
『gmけwpqぁいtvs』
え?バグった?もしや聞いちゃダメだったのか?
『機能回復、特殊****権利を**より付与されました』
やっぱりバグってないか?
というより付与ってなんだ、ウイルスでも送られてきたのか?
『スキル『捕食変身』は操作可能です』
ウイルス送られてきたのかどうか知りたいのに、反応しないし。
『……』
まあいいや、
知ったところで恐らくどうしようもないのだろう。
「ヴェルド?どうだった?」
「操作は可能だってメニューが言ってます」
「そうか、だったらそれに慣れないとな。じゃないとまともに食事がとれん」
慣れるためにまた食べるらしい。
ちなみに野菜とか、パンは食べた。
しかし変身しなかった。
なので残るは動物なのだ。
ロブスターではなく豚人皇帝の肉とやらを食べる、
なのでまだ良い、いいのか?
豚人は本当に豚の人なので豚になる。
豚獣人なら、豚の耳が付いてて、かなり人っぽいらしい(メニュー魔法より)。
やはりこのカッコいい虎獣人のビジュアルから豚になるのは少々抵抗があるのだが。
それでもロブスターとか虫とかよりはマシだ。
さて、いざ、実食。
……美味い。軽く焼いただけのブルーという焼き加減なのだが、この鋭く白い牙のおかげで簡単に嚙み切れる。
肉が良いのもあるだろうが、なんだか生ユッケとか食べたがる人の気持ちがわかった気がする。
食感がふわふわもちもちしていて、嚙み切ると出てくる血が蜂蜜を入れたホットミルクのような甘さであるし、
下手に調理するとこの食感と味は薄れてしまうのだろう。
『スキル発動条件を満たしました。変身します』
この肉は生で食べるのが最も美味いのだろうか?
って、ヤバい身体が変わる、止まれぇ!
……?止まったか?
「……変わらんな?」
「もう少し習熟するのに時間がかかると思いましたが、一発成功ですか。素晴らしいです、ヴェルド様」
「あぁ、実に簡単だった。止まれって思っただけだしな」
「そうなの?他にある転生ギフトの『吸血種族覚醒』だとか、『捕食強奪』だとかは制御が大変らしいわよ?」
「それは吸血衝動と殺人衝動がデメリットなだけだろう、ギフトは普通切り替えができんのでな、心配だったのだ」
切り替えできなかったら一生野菜とパン生活だったのか……死ぬわ。
「じゃあ次は変身してみましょう!あと『解析』してステータスの変化とかも取っとかないと」
『解析』……あぁ、よくある鑑定らしい。
でも神様がいっぱい関わってて、
歴史を見て、身体の構造を把握して、
メニュー魔法の知識の元……
『黒機神』のスキル、『記録庫』とかいうのに繋げて検索。
そうやって全ての情報を統合した結果を数値化して表す。
なんていうシステムらしい(理解してない)
つまりは少し時間がかかるよくある鑑定だ。
そして『解析』結果はこれだ。
#===解析結果=========
種族:下級雷虎獣人 lv.8 Stage.5
「シガルニー・サーグ・シーヴェルド」
男性 0歳
#===ステータス===========
HP:2300/2300
身体損傷率:0%
予備身体残量:-22%
邪素侵食率:0%
MP:997/1000
物理攻撃力:1692+8%=1827
物理的防御力:1530+8%=1652
身体速度:2826+8%=3052
魔法抵抗力:48
魔力増幅力:+12%
#===メインスキル=========
種族スキル
『身体制御+』
ー『身体制御能力超強化』
ー『細胞分裂速度5000倍』
ー『霊体化:身体全損による死を無効、幽体離脱可能』
『白き雷の担い手』
ー『精神耐性:極大』
ー『雷耐性:極大』
ー『雷系魔法の構築速度上昇』
ー『白色強度+』
『種族神の加護』
ー『『身体制御』の強化』
ー『七色強度+』
ー『絶対保護|(最高神):魂を完全に保護する』
先天スキル
『捕食変身』
ー『捕食時に捕食対象に変身』
通常スキル
『魔力循環』lv4
#===色強度=========
白:13
赤:5
橙:5
黄:13
緑:5
空:8
青:5
紫:5
黒:0
時:0
空間:0
重力:0
精神:0
#================
結構長い、stageは攻撃力とかの4桁以上の数字の合計で、
ステータス補正の%はレベル分元の筋力とかに補正が掛かるのだとか。
HPは0になると魂が身体から剥がれて、死ぬ。
スキル『身体制御+』にある『霊体化』がないと脳が破壊された瞬間死ぬ。
MPは身体の中に入る魔力の合計。
魔力増幅力は魔石のある生物だけが持つステータス。
そして色強度が魔法を使うのに必要らしい。
知識インストールするにも容量が大きすぎたので、あまり分からなかった。
恐らく身体の色とも関係があるのだと思うが。
ちなみに雷魔法は白色で、黄色も混ざるらしい。
「それじゃあ変身してみよっか?」
「ああ……これって強いの?」
「ん?将来有望だけど、レベルが低すぎて全然ダメよ、せめて5000lvは欲しいわ」
めちゃくちゃ要求水準が高かった、インフレ激しくないですか?
+5000%って、なんだそれ。
まあいい、食べよ。
『スキル発動条件を満たしました。変身します』
豚になってしまった、予想よりはマシであったが、
ムキムキの人型豚である。
それより母親と黒メイドさん見てすごい興奮するのだが、これ危険だわ。
『感覚の一部を遮断しました』
これで良し。
「基礎ステータスが加算されて、通常スキル追加、それに色の変化、いいじゃない、あ、そだ、ヴェルくんあーんして?」
「おい、勝手に!?」
口開けた、
母さんから血が蛇みたいに飛び出して口の中に入り込む。
あ、結構美味しい。
『スキル発動条件を満たしました。変身します』
「奥様が二人になってしまいましたね?」
「おー、やっぱり私になるのね。でも元の姿からあんまり変わってないか」
「ヴェルド、身体の調子は大丈夫なのか?」
「大丈夫、変な気分にはなるけど」
目の前にいる人に変身してしかも女だからな。
結局エクスカリバー消えたわ。
「ステータスは……基礎ステータスの10分の2の加算で、通常スキルは10分の1追加で、色は、ん?ヴェルくんのほうが少し高い?あ、加護の分か」
「身体は自分で戻せるか?」
「む……いけそうだけど時間かかりそう」
「なら時戻しは必要ありませんか?」
「ああ、必要ないよ」
………………やっと戻った。5分くらい集中してたぞ。
おかげでなんとなくやり方がわかったし、
もっと慣れれば2分くらいにはなると思う。
でもその間にお茶してるしさ、結局ほとんど食事とれてないし。
「おお、戻ったか。食事を再開しよう」
「全然食べれてない、食べてる最中にロブスターにならないようにしなさいな」
「わかってますって」
やっとまともに食事がとれる、時間かかったなぁ。
#メニュー魔法
約500万年前にエルフが作り出した魔法。
脳に魔法陣を描き込むことで使用を可能にし、
主に思考の補助を行うために使われる。
最初期は魔法を使用する際のイメージの補強を行うための第二の頭脳であったとされる。
それから約10万年後に『体内収納』が発明されて、その中身の確認の為、メニュー魔法が大きく更新された。
その副次要素として全身の把握がメニュー魔法のみで可能となり、魔力循環を行う専用の意思が制作可能になったなど大きな進化を遂げた。
それから長く更新されず、
その約90万年後に『種族神』が現れ、
連絡機能、それによる知識共有機能、
そして『種族神』の妻、
『黒機神』のスキル『記録庫』全ての記録を保存するスキルに接続し、
その中で検索させることによって、最初の『解析』が生み出された。
それに目をつけた数字好きの転生者であり、全ての力の計測結果や、世界による力の修正、レベルを発見したりしていた神である『数学神』ガリレオがデータを種族神に提供。
それによってステータスが数値化されて、レベルも数値化された。
なお現在ガリレオは異世界へ旅立ったためこの世界には存在しません。
次に、魂にメニュー魔法を刻み、体が完全に破壊されてもメニュー魔法が消えなくなったという地味ながらも大きな更新を最後に大きな更新は途絶えている。
今も100年周期毎に小さな更新ではあるが行われている。